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匿名希望
今年の春季、調べたいことがあり、筆者の住んでいる街の図書館へ出かけ、“症候群辞典”を探すと廃棄かどうかわかりませんがなくなっていることに気が付きました。内容の正確さはともかく、個人などの所有を別とすると現存する症候群辞典としてはわが国最古のものと思われただけに当時の貴重な資料が失われ、非常に残念な思いがしました。図書館の備え付きのコンピュータで蔵書検索サービスを利用すると隣の街の図書館に“医学症候群辞典”があることを知りました。明くる日、出かけて探してみると百科事典シリーズのひとつでかなり分厚い辞典でした。多少は期待したのですが筆者の知っている疾患を確認してみると主観的な言い方になりますが、やはり失望させられる内容でした。“まえがき”を読むと、1970年に初版が出版されたとありました。発行日の記録には記載されていないところをみると初版日が比較的新しいことから改正されて今日に至ったのかも知れません。さて、前回、網膜色素変性症(以下、RP)と聴覚障害を伴う疾患についてリサーチし、結果を取りまとめました。次回からはRPを伴う、または伴うことがあると言われる疾患についてリサーチしてみたいと思います。“アッシャー症候群やRPを深く知るにそれらの疾患だけをリサーチしてはほかの疾患との対比や実態がわからず、ひいては客観的なアンダースタンディングが把握しにくいという思いが筆者の考えのベースにあり、それゆえに多くの疾患の文献をリサーチしてきました。筆者がリサーチした疾患以外にRPを伴う疾患(症候群)が存在するか未知の部分がありますが、追求してみたい。実のところ、幾つかリストアップできるのですが、前回の反省を踏まえ、リストアップしないことにしました。既存の辞典を参照にしているので現存する疾患なのか正確なスペリングなのかわからないからです。しかし、RPの病名が記載されている以上、真実を探るべく可能な限り、RPを伴う疾患をリサーチしてみたい。また、最終的に客観的にまとめることができればと思っています。
ひとつ訂正があります。前稿、「続、RPと聴覚障害を伴う症候群について」において、“この稿を書くにあたり、書店に赴き、わが国のステータスクオをリサーチしたと前置きし、眼科学の書籍セクタが少ない印象を受けた”という旨の書き方をしましたがこれは正確ではなく、眼疾患を伴う疾患であっても症候群を含めた遺伝性の疾患については眼科学以外にも実に多くの分野で研究・報告されています。眼科学の報告はむしろ少ないほうかも知れません。例えば、NCBI のツールである PubMed(TM)などで調べてみると“Usher syndrome”の報告などは、鼻咽喉科学や遺伝学、神経科学など分野が幅広いことがわかります。遺伝性の疾患の研究は眼科学だけのテーマであるかのごとく誤解を与えるような表現でここにお詫びして訂正いたします。