法定雇用率の引き上げと障害者雇用制度について

◆法定雇用率の引き上げと障害者雇用制度◆
JRPS QOL委員会  
<JRPS会報誌「あぁるぴぃ」101号より>
2013年4月1日から、障害者の「法定雇用率」が引き上げられます。
ここでは、この法定雇用率と障害者雇用制度についてご紹介します。

●制度のあらまし
 障害者雇用制度の中心となる障害者雇用促進法(「障害者の雇用の促進等に関する法律」)
と、その施行令・施行規則には、次のようなことが定められています。

●雇用率
企業や国・自治体などは、職員数に対して一定の割合以上の障害者を雇用する義務を負います。
これを法定雇用率といい、労働者・失業者中の障害者の割合を基に決められます。
来年度の引き上げに伴い、雇用率は次のように変わります(左は今年度までの雇用率)。
民間企業: 1.8%→2.0%
国の機関・地方公共団体: 2.1%→2.3%
教育委員会: 2.0%→2.2%
ただし障害者雇用促進法では、障害者数を独自の方法で数えます(→次項)。

●ダブルカウント
 視覚障害の場合、身体障害者手帳があれば、雇用率に1人として算入されます。
ただし、1・2級の障害をお持ちか、3級の障害を2つ以上お持ちの場合は、「重度身体障者」
となり、2人として数えられます(ダブルカウント)。

●障害者雇用納付金と各種助成金
 法定雇用率未達成の企業は、不足人数分の金額を納付しなければなりません(障害者雇用納
 付金)。
この納付金を財源として、法定雇用率を達成した企業には、超過人数分の金額が支払われま
す(障害者雇用調整金など)。
また、雇用納付金を財源として各種助成金(後述)が企業に支払われます。

●支援機関
 障害者雇用を支援する機関としてたとえば以下の組織があります。
 ・ハローワーク
 ・高齢・障害・求職者雇用支援機構
 ・障害者職業センター(高齢・障害・求職者雇用支援機構が管轄)
 ・障害者職業能力開発校等

●具体的な効果
・障害者採用
 企業や自治体の中には、法定雇用率達成のために障害者枠を設けたり、ハローワークを
通じて障害者の求人を行なったりするところがあります。

●助成金による環境整備
  雇用納付金を財源として各種助成金が設けられています。
 「障害者作業施設設置等助成金」は、音声読み上げソフトや拡大読書器などの就労支援
機器を購入するのに活用できます。
  また、「障害者介助等助成金」により、視覚障害によって行ないにくい業務を手伝って
くれる人(職場介助者)を配置できます。その他各種の助成金があります。
  いずれも障害者本人ではなく事業主が申請します(障害者本人の希望が前提です)。
支給条件など詳細は、あらかじめよくご確認ください。

 現在、障害者制度改革の検討がされています。障害者雇用制度も大きく変更される
可能性があり、今後も動向に注意する必要があります。

【参考資料】
障害者雇用対策|厚生労働省(相談・支援機関の一覧もあります)
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/index.html

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