JRPSだより(20150929)

「難病対策基本方針案」のパブリックコメントに意見を提出しました

事務局

厚生労働省の難病対策委員会で「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針(案)」の検討が行なわれ、パブリックコメント意見募集が2015年8月14日まで実施されました。これに対してJRPSは金井理事長名で以下の意見を提出しました。
※提出されたパブリックコメント意見に対する回答および最終的に承認された難病対策基本方針は下記URLで閲覧できます。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000094667.html

難病の患者に対する医療等に関する法律第4条に規定する難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針を定める件(案)」に対する意見が、昨年成立、本年施行された難病法によって、難病対策を計画的・着実に実行する土台ができました。難病患者の願いの実現に向けて大きな一歩を踏み出したと言えます。難病に苦しむ患者のQOL向上を図りつつ、難病の根本的克服を目指して、基本方針に掲げられた諸事項を着実に具体化・実行することが、患者を含め、関係者に求められています。このような観点から、基本方針案の
【第二】難病の患者に対する医療費助成制度に関する事項、
【第三】難病の患者に対する医療を提供する体制の確保に関する事項、
【第五】難病に関する調査及び研究に関する事項、
【第六】難病の患者に対する医療のための医薬品、医療機器及び再生医療等製品に関する研究開発の推進に関する事項、
に関連して、以下の要望を提出します。

【1】難病の治療法確立のため指定難病患者データベースを長期に維持し、時系列で症状を把握することが重要とされています。軽症者のみならず、重症であっても(未だ有効な治療法がなく)医療費助成の必要性が少ない疾病の患者のデータベース登録を促進するため、診断書作成費など登録に必要な経費の助成、また疾病の特徴に応じた手続きの簡素化を要望します。

【2】難病の医薬品等の開発を促進するため、患者の、遺伝情報を登録するシステムの整備がのぞまれています。毎年の研究費等に依存しない登録システムの構築・維持を国の事業として推進することを要望します。
上記の前提として、安価で信頼性ある遺伝子診断技術の開発、遺伝カウンセリング体制の整備を疾患毎に推進することを要望します。
また、患者が遺伝子解析・診断を安心して受けられるよう、遺伝情報による差別を禁止する法律の制定を要望します。

【3】難病研究班の研究成果を、WEBサイトを通じて随時提供するとともに、登録患者に対して個別・定期的に情報提供することを要望します。また、公開シンポジウム、研究成果発表会等の定期的実施を要望します。

学術トピックス(JRPS主催ではないイベント情報も含まれます)
◆日本ライトハウス展で不二門理事が講演

10月17日(土)、18日(日)に大阪市・難波御堂筋ビルで開催される「日本ライトハウス展~全国ロービジョンフェア2015」のなかで、
10月18日(日)13時~14時 特別企画・7階ミニステージで大阪大学大学院・不二門尚教授が「人工網膜の現状と可能性」についてご講演されます。7階ホールでは38社・団体から200点以上の用具・機器が展示・一部販売。7階ミニステージでは、不二門教授をはじめ様々な情報を公開します。問合せ:日本ライトハウス情報文化センター・サービス部(06-6441-0039、火~土曜日の10時~17時)

アッシャー症候群が指定難病になりました!
アイヤ会 阿部 直之
難病医療法に基づく難病対策の新制度が今年1月から始まり、7月には医療費助成対象の指定難病は306疾病に拡大され、「アッシャー症候群」も対象疾病の1つとして指定されました。制度についての内容は、顧問の岩崎先生よりご説明いただきます。
以下は、8月13日の公明新聞からの抜粋です。
『難病対策は以前、法律の裏付けがない予算事業だった。一方、新制度では、難病医療法に基づく公平で安定的な医療費助成制度を確立。指定難病は7月に196疾患が追加され、合計306疾患までに広がった。
また、「難病は誰でもなる可能性がある」との考えのもと、患者が尊厳を持って生きられる共生社会の実現などが理念に掲げられた。難病医療法には、医療提供体制の整備や、治療に関する調査研究、就労支援の推進なども盛り込まれている。これらについては、9月下旬に告示予定の基本方針に基づき、具体的な対策が進められることになる。』

再発性多発軟骨炎を患っている患者さんが年間50万円もの治療費がかかっているそうで、こういったケースは医療費助成制度の充実は非常に恩恵があると思います。一方、我々の病気は特に治療薬があるわけでもなく、人工内耳は別にして手術とかもあるわけではないので、医療費助成を活用するシーンはあまりないと思いますが、「治療に関する調査研究」、これは岩崎先生や中西先生が今まさに携わっている事業であり、厚労省の具体的な対策もこれからということで、法整備によって難病研究がより一層スムーズに進むことを願っています。また、全国の医療機関などが連携する「難病医療支援ネットワーク」や、保健所を中心とした「難病対策地域協議会」の設置が進められるそうです。そういった仕組みづくりの中で、ア!
イヤ会としても協力できることがあると思っておりますので、岩崎先生、中西先生との連携もより一層強化しながら、難病対策に関わっていければと考えております。

アッシャー症候群が指定難病に

国際医療福祉大学三田病院耳鼻咽喉科 岩崎 聡
アッシャー症候群が平成27年7月1日より厚生労働省の指定難病に新規指定されました。今回はその制度についてお話しします。指定難病の医療費の自己負担割合が3割から2割に引き下げられました。また、指定難病の特性を配慮し、外来・入院の区別なく、世帯の所得に応じた医療費の自己負担上限額(月額)が設定されました。自己負担上限額は、受診した複数の医療機関などの自己負担をすべて合算した上で適用されます。難病医療費助成制度を申請するには以下の書類が必要になります。1)診断書(臨床調査個人票)、2)申請書(指定難病医療費支給認定用)、3)公的医療保険の被保険者証のコピー、4)市町村民税の課税状況の確認書類、5)世帯全員の住民票の写し。なお、都道府県によっては上記の書類以外の提出を求める場合があるので、お住まいの都道府県の窓口でご確認ください。具体的な流れとしては、まず難病指定医を受診し、アッシャー症候群の診断書を作成してもらいます。都道府県の窓口にその診断書と申請書を提出すると、医療受給者証が受け取れます。それを受診、治療を受けている病院へ提出すると医療費助成が受けられます。
アッシャー症候群の診断書を作成するには以下の情報が必要になりますので、事前に調べておくとよいでしょう。家族歴、感音難聴と網膜色素変性症の発症年月(病院で診断されて日でよいかと思います)、夜盲・視野狭窄・視力低下・難聴・めまいの自覚症状の有無とその経過。また、網膜色素変性症に関する検査所見も必要になります。具体的には眼底所見、網膜電図、蛍光眼底造影所見、光干渉断層像のうち2つ以上の検査結果と矯正視力を眼科の先生から診断書としていただいておく。耳鼻咽喉科医からは純音聴力閾値検査と中枢性疾患鑑別のため頭部MRI検査結果をいただいておく必要があります。診断書にはアッシャー症候群の原因遺伝子を記載する欄もあります。アッシャー症候群の原因遺伝子は現在10遺伝子(MYO7A, USH1!
C, CDH23, PCDH15, USH1G, CIB2, USH2A, GPR98, DFNB31, CLRN1)が見つかっています。ちなみに私は難病指定医であり、アッシャー症候群の遺伝子診断も行なっているので、ご相談ください。
国際医療福祉大学三田病院耳鼻咽喉科 岩崎 聡
〒108-8329 東京都港区三田1-4-3 TEL:03-3451-8121

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