★還暦同窓会
夕食後、42年間の空白を埋めるかのように、酒を酌み交わしての清談は深更に及び、
尽きることを知らず。ついに鶏鳴を聞いて床に就く。
翌日、寝不足、二日酔いにもかかわらず若き日を思い出し、心情心地よく、来年の再会
を期してそれぞれが帰路についた。
★世界大会ツアーに参加して〜北欧旅行記@
そんな私が7月4日と5日にヘルシンキで行われた世界大会に行ってきました。という
と聞こえはよいのですが・・・。実は、それを口実にフィンランドの首都ヘルシンキとロ
シアの古都サンクトペテルブルグに観光旅行に行ってきたというのが本当のところです。
それは日本各地から集まった、個性豊かなJRPS会員の面々と巡った楽しい旅でした。
出発の日。成田空港までは主人に車で送ってもらいました。この後すぐに、仕事に向か
わなければならない彼は、出発ロビーの入り口の1つに車をつけました。10秒ほどしか
停車できません。彼は私と荷物をロビーの中に押し込むように入れると、ドアの向こうか
ら「左に行くと集合場所があるはずだから。いってらっしゃい。楽しんでおいで」と手を
振り、車の中に消えました。
さあ、これから私はこの広い出発ロビーで無事、ツアーのみんなと合流できるだろうか?
思わず白杖を握りしめました。柱に書かれた大きなアルファベットを頼りに、集合場所
まで行きました。が、それらしき人は見あたりません。不安な気持ちで立っていると「J
RPSのツアーに参加される方ですか?」と明るい声をかけてくれたのは、大きなスーツ
ケースと白杖を持った女の方でした。柏市からこられたKさんでした。昨年12月にRP
と診断されたばかりで、このツアーがJRPSの行事初参加ということです。仲間に出会
えた安心感とKさんの明るい笑顔につられて、私の顔もほころびました。
1人、2人とメンバーが集まり、添乗員のOさんも登場です。Oさんは、よく笑う明る
い女性の方。きびきびと動き、私達への説明、指示も的確です。私はもう大船に乗った気
になっていました。今日、成田空港から出発するのは添乗員さんを含め、15名です。
いよいよ、フィンランド航空074便機に乗り、あこがれのヨーロッパに出発です。キ
ャビンアテンダントは、日本人の方が1人いましたが、あとはみなフィンランドの方のよ
うでした。フィンランドの母国語はフィンランド語ですが、機内ではもちろん英語です。
英語を使ってのやりとりは添乗員の方がしてくださるので、私たちが英語を使う必要はな
いのですが、「やっぱり、英語は話せた方がいい!」と痛感する出来事がありました。
機内は冷房が効きすぎていて、寒がりの私はブランケット1枚では足りません。そこで、
トイレに行ったついでにキャビンアテンダントに「I want one more bla
nket」と話かけてみました。すると「Blanket? Cold?」という返事が
返ってくるではありませんか。「Yes」と答えながら、私の英語力もまんざらではない
なと悦に入っていると、彼女はすごいスピードで英語を話し始めるではありませんか。私
は全く理解できません。彼女はしきりに上を指さしながら話しています。私は以前、国内
線に乗った時に、座席の上のキャビンからブランケットをだしてもらったことを思い出し
ました。「ああ、なるほど。ブランケットは上にあると言っているんだな」と勝手に判断
した私は、その旨、一緒に千葉から参加したYKさんに告げ、席に戻ろうとしました。す
るとその時、私たちのやりとりを聞いていた日本人の乗客の方が慌てて「違う、違う」と
話しだしました。「この方は、ブランケットはもうないから、機長に言って、エアコンの
温度を上げてもらうと言っているのよ」と説明してくれました。旅の恥はかき捨てといい
ますが、目的地に着く前からこれでは、先が思いやられます。
ロシアをはさんで日本から最も近いヨーロッパ、フィンランドへの空の旅は9時間ほど
で終わり、私たちはヘルシンキのヴァンター空港に到着しました。現地時間の午後3時半
頃のことでした。到着後はバスでホテルに直行です。
ホテルの部屋は明るく清潔で日本のホテルと変わりありません。ただ1つ違っていたの
はトイレの水洗のボタンでした。日本ではさまざまなものがありますが、ここ北欧とロシ
アでは、タンクの上のT時型のボタンを押すのではなく、引くのが一般的なようです。水
洗トイレのボタンの位置と操作が統一されていることは、視覚障害者にとって大変ありが
たいことでした。
関西空港から来た5人のメンバーを待ち、2日前から世界大会に先だって行われる会議
のために現地入りしていた堀口理事も加わっての夕食です。これで、今回の旅のメンバー、
添乗員さん2名を含む22名が揃いました。このメンバーが私のはじめてのヨーロッパ旅
行をより楽しく、より思い出深いものにしてくれたのです。
メインディッシュはバイキング(海賊)の国らしく、大きな鱈の切り身を使ったもので
した。ワインで、記念すべきヨーロッパ旅行の幕開けに乾杯です。
北欧の夜といえば、白夜です。私たちが行った7月は午後10時を過ぎても太陽は沈ま
ず、外は夕方の明るさです。陽が沈んだのは11時を過ぎてからでしょうか。前日までの
疲れとワインのほどよい酔いで眠くなった私はお日様より早く、ベッドに入りました。明
日はヘルシンキの街に出ます。