あぁるぴぃ千葉県支部だより57号


■投稿■

★山武健康福祉センター主催による交流会

山武市 伊藤 勲
 10月1日(水)午後2時から、今年で第4回になる「網膜色素変性症療養者家族の会」 が東金市の同センターで開かれました。
 今年は、我が支部長・太田浩二さんが講師として招請され、また支部だより編集長・広瀬 富美子さんも出席しました。
(当日出席者 患者12名・家族9名、およびボランティア、関係者を含め約30名。また 同管内支部会員は、私を含め3名出席。なお、山武管内で特定疾患認定届済みは現在52名)
 交流会は、二部形式で行われ、一部は講演会。休憩ののち地区を二班に分けての情報交換 会で、午後4時過ぎに散会となりました。
◆ 一部:講演 「病気とのつき合い方」 JRPS千葉県支部長・太田浩二
1.ご自身の発症から現在までの経緯にについて。
2.JRPSという組織。その設立。活動状況。
3.最近の次々と報告される飛躍的な治療方法の現状。
等々質疑応答を交えながら約1時間の講演をされました。
◆ 二部:情報交換会
 支部長、広瀬さんも加わり、自己紹介及び日ごろ一般の方とはなかなか通じあえない話題に ついて大いに活発な意見交換がなされました。
その中で、私のグループで特に印象に残ったお二人の事例。
1.70代女性の場合
 何となく眼の調子が気になっていたので、眼科医を訪れたところ、網膜色素変性症と診断 されたものの、詳しい説明は受けなかった。(残存視野50%・障害手帳5級)たまたま、 今日の交流会に参加したところ、夢にも思わなかった「失明」という言葉に出くわして大変 な衝撃を受け、「これからどうしたら良いかわかりません!」と涙ながらに突然の恐怖にお ののいていました。「あなたの場合は、そんなに心配はありませんよ!」「劇的な治療方法 が開発されつつあるではありませんか!」等々皆さんから励ましの言葉が飛び交いました。
2.20台の女性の場合
 一昨年、この交流会に参加したとき、やはり眼科医から網膜色素変性症の診断を受けたと ころ、絶望的な説明を受けました。社会人になったばかりの彼女にはとても受け入れられな い残酷な眼科医の言葉です。涙をこらえながらの自己紹介でした。今回はお母様のみが参加 され、最近の目覚しい医学の進歩に驚きながら、「今日はいろいろなうれしいお話が聞けて 本当によかった!」その後、今度は周囲の人たちが驚かされました。「娘のすべてを理解し てくれる恋人が現れて、結婚することになりました!」期せずして歓声が巻き起こりました。
 あらためて、眼科医の丁寧なフォローが切に要求されます。
※今回の交流会実現に際して東金在住の支部会員、Sさんがセンターと千葉支部等と調整に 尽力されました。
二児の小学生の母であるSさんは、いまわしい東金市で発生した事件が未解決のため、当日 は欠席せざるを得ませんでした。


★世界大会ツアーに参加して〜北欧旅行記A

千葉市 渡辺 友資枝
 私の視野は5〜10度。中心視力は矯正で0,4ほどありますが、最近、老眼が進んだこ ともあって文字も読みにくくなってきました。
 そんな私が7月4日と5日にヘルシンキで行われた世界大会に行ってきました。というと 聞こえはよいのですが・・・。実は、それを口実にフィンランドの首都ヘルシンキとロシア の古都サンクトペテルブルグに観光旅行に行ってきたというのが本当のところです。それは 日本各地から集まった個性豊かなJRPS会員の面々と過ごした、楽しい8日間でした。
 ヘルシンキでの初めての朝。
 まずは腹ごしらえです。ホテルの朝食は通常バイキング形式ですが、眼の悪い私たちにと って、それはとても難しいこと。添乗員の方がホテルと交渉してくださったのでしょう。私 たちの朝食はテーブルの上に既にセッティングされてありました。メニューはパンにハム、 ベーコン、チーズ、野菜など日本でもおなじみのもの。が、どれも日本のものより少し大き めです。飲み物はホテルの方がサービスしてくれます。添乗員の方もパンをトーストしたり、 デザートを配ったり、大忙しです。そんな中でもしっかり、朝食を食べた添乗員のお二人。 さすがプロ!
 お腹をいっぱいにした私たちは、今日も世界会議に参加する堀口理事と別れ、ヘルシンキ の街へ。ヘルシンキは、首都ですが、さほど大きな街ではありません。日本でいえば、札幌 ぐらいの規模でしょうか。緑も多く、高層ビルも見あたりません。街を行く人々もゆったり しているように感じられます。
 街の中心部は歩いても回れる距離ですが、私たちは大型バスに乗って移動します。ガイド のSさん(日本人の女性)は、現地の方と結婚し、ヘルシンキ在住20数年というベテラン。 フィンランド語での運転手さんとのやりとりも慣れたものです。住んでみなければわからな いことを、具体的な数字をおりまぜながら、淡々とわかりやすく説明してくれます。
 北欧の7月初旬の気温は20度を少し超えた程度。湿度も低く快適な季節です。初夏の日 本からきた私達には肌寒くさえ感じられます。が、ヘルシンキの街を行く人々の中にはノー スリーブ姿もめずらしくありません。北欧の人々は生後1週間の赤ちゃんをベビーカーに乗 せて、マイナス5度の戸外に出し、寒さに慣らすとか。体感温度が日本人とはまるで違うよ うです。
 また、北欧は福祉制度が充実した地域としても知られています。フィンランドでは、幼稚 園から大学院まで、授業料も教科書も給食もタダ。ベビーカーを押している人はバスも無料 で乗れます。老人や障害者への福祉も手厚いようです。ただし、消費税率は22パーセント。 充実した福祉を享受するためには、それなりの義務を果たさなければならないということで しょう。
 福祉の充実した国ですが、離婚率は50パーセント、自殺率も世界有数の高さだそうです。 福祉の充実と人々の心の充足は別のところにあるようです。
 Sさんの説明に耳を傾けながら、バスはまず、朝のマーケット広場へ。たくさん並んだテ ントの中には色鮮やかな果物や野菜、新鮮な魚貝類、手工芸品などが並んでいます。中でも いちごやブルーベリーなどのべリー類やアプリコットは日本のものよりも粒が大きく甘さも あり、おいしかったです。スナップエンドウに似た豆はこちらの人は生で食べるそうです、 私も食べてみました。柔らかく甘みがありました。
 マーケット広場での試食と買い物のあとは、教会や公園を訪れました。赤レンガの伝統的 な建築様式のウズベンスキー寺院。緑のドームと白い外壁のコントラストの美しいロシア風 のヘルシンキ大聖堂。岩の中央を掘り、天井を総ガラス張りにした現代的な建築物のテンペ リアウキオ教会。御影石が敷き詰められた広場にネオクラシック調の建物が並ぶ元老院広場。 木々と芝の美しい緑の中にシベリウスの交響曲をイメージしたシルバーのモニュメントと気 難しそうな顔のシベリウスの頭像が映えるシベリウス記念公園。それぞれが持つ雰囲気や大 きさなどは、その場に立ってみて、肌で感じることができました。
 ヘルシンキはロシアの名残とモダンな建築で、ヨーロッパ随一の美しさを醸し出し、「バ ルト海の乙女」と呼ばれています。ロシアによる支配が100年も続いたこの街では、いた るところにロシア風の石造りの建物が残されています。建物の多くはクリーム色や明るい赤 茶色で、すばらしい彫刻が施され、現在もなお使われています。デパートやショッピングモ ールなどに利用されているところもありました。窓にはおしゃれな洋服や雑貨などが並び、 フィンランド語で「売り出し中」を意味する「ALE」と書かれた赤い張り紙がしてありま す。これもまた、伝統と現代が調和した風景の1つでしょう。
 こうして、ヘルシンキの街を堪能し、旅の2日目が終わりました。
 明日から いよいよ、この旅の本来の目的であるRI世界大会が始まります。


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