あぁるぴぃJRPSちば会報116号
■ 投稿
★ロービジョン川柳
担当 中野 早苗
今回もたくさんの作品を投稿してくださった「友酒」さん。視覚障害者どうし「こういうことあるよね」と肯きたくなる日常の1コマを作者の視点できりとっています。困ったり、感謝したり、皮肉ったりと声に出せない心のぼやきも伝わります。ただ最後の句ですが、やけどしないでおいしいカップ麺を作る方法をどなたか教えてあげてほしいと思いました。そうしないと余計に奥様の仕事が増えそうですから。
ペンネーム【友酒】
・どうするの? 水洗トイレで 立ちつくし
【解説】
水洗トイレは用を足した後、流し方が分からず、出るに出られない状況の句。しかも人に聞くのも自分のした便を見られてしまう恥ずかしさがあり、なかなか聞きづらいのです。
・信号は 車の動きで 見極めり
【解説】
音声信号のない交差点では、信号が見えなかったり、視野が狭く見つけられない視覚障害者は、そばに人がいれば、その人がわたるのを見てわたるが、いないときは自分がわたりたい方向の車が走っていれば、青信号なんだと判断してわたっています。ところが、隣にいる歩行者がまだ赤なのに、フライングして歩き出す人がいますのでご注意ください。
・声掛けの 日ごとに増えて ありがたし
【解説】
最近は、駅で白杖を突いていると警備員や職員が「どちらに行かれますか」などと声掛けをしてくれることが増えました。それに伴い、街中でも「何かお手伝いしましょうか」などと申し出てくれます。本当に感謝です。しかしサポートの仕方が分からずに、電車に乗り込もうとしている私を、背中を押して乗らせようとする人がいました。私は思わず「闇雲に押されるのは怖いのです」と注意しました。本人は乗せてやろうと親切心でのことなのですが。
・空席を 探せず1人 立ちつくし
【解説】
電車でもバスでも、明るい外から暗めの車内に入ったとき、空席があるにもかかわらず、見つけられずに降車駅まで立ち尽くす場合が多いのです。中にはそんな私を見て手を引いて席に案内してくれたりします。あるとき空いていると思って座ったら、人の膝の上だったということがありましたので、それからはガラガラの車内でなければ自分から座ろうとしないように努めています。
・暗い世を 遮光グラスで より暗く
【解説】
身体障害者は役に立たない生産性のない人間という風潮が、一部で沸き起こっていることを自虐的に捉えてみました。障害者雇用も形だけで、数値合わせでごまかしている現状は、障害者にとって遮光レンズで世の中を見るごとく、暗さが増すばかりです。
・歳かさね 年金減って 薬増え
【解説】
我が身のことで、年金は年々減ってゆき、高血圧、糖尿病、痛風と歳を重ねるとともに病気の数も増え、必然的に薬の数も増えるという現実の句。
・カップ麺 湯量を指で 確認し
【解説】
自分の昼飯くらい妻の手を煩わせないで、自分で何とかしようと、カップ麺にお湯を入れて作るのですが、お湯がどこまで入ったか分からず、スープが薄かったり濃すぎたりの日々でした。そこである日、カップの中に基準のラインまで指を入れ、熱いのを我慢し湯が入ったか確認することにしました。湯量は適量となりましたが、左の人差し指がしょっちゅう皮がめくれてしまいます。
※投稿先 中野 早苗 Eメール:sanae403@y3.dion.ne.jp
★お役立ち情報(bW)
会長 渡辺 友資枝
【JRPSのHPから医療講演が聴けます】
皆さんご存知のように、RP治療法の研究は近年急速に進んできました。JRPSでは、毎年日本各地で医療講演会を開催し、治療法研究の最新情報を、眼科医研究者の先生方にお話していただいています。研究助成を22年間続けてきたJRPSならではのものです。
JRPS会員であれば、その貴重な講演をJRPSのホームページの会員ページから聴くことができます。会員ページにアクセスするにはパスワードが必要です。パスワードはメールにて、会員番号、氏名、住所、電話番号を明記の上、下記アドレスまでお問合せください。
*会員ページ・パスワード問い合わせ先(渡辺):toshiewatanabe@arion.ocn.ne.jp
※このコーナーでは、カテゴリーやジャンルに関係なく、視覚障害者に役立つ情報を掲載しますので、多くの方からの投稿をお待ちしています。(匿名でも可)
◎投稿先 江澤 正広 Eメール:masa-ezawa@carrot.ocn.ne.jp
★こころの豆知識
船橋市 垣田 悦子
皆さま、お元気ですか? 今年の8月はこれでもかという猛暑日が続き、9月は連続して台風や地震に見舞われ、自然の力には逆らえないと感じる日々でしたね。それでも人は、前を向いて歩かなくてはいけません。そんな時、指令塔である脳が疲れていたり、ボケていたりしては思うように前には進めません。ということで今回は目にも良く、認知症予防にもなる青魚を使った1品を紹介します。
<サンマのホイル焼き> 4人分
(材料)
サンマ・・・・1尾(2枚におろしてあるものを買い、それを半分に切る)
ねぎ・・・・・1本
小松菜・・・・1束
しめじ・・・・1/2袋
生姜・・・・・薄切り2枚
ポン酢・・・・適量
(作り方)
@ アルミホイルを20cm長さに切る。
A それぞれ4等分に分けた具材を、アルミホイルの上に3mm幅に斜め切りにしたねぎ、サンマ、せん切りにした生姜、3cm長さに切った小松菜、しめじの順番にのせる。
B アルミホイルを縦向きにとじ先をねじり、次に両サイドをグルグルと汁がもれないようにしっかり巻く。それを4個作る。
C フライパンにホイル巻をのせ蓋をし、ごく弱火で20分蒸し焼きにする。
D 蓋をあけホイル焼きを取り出し、皿にのせポン酢を適量かける。(取り出す際、フライパンのふちが熱いので、火傷に注意してください。そのままフライパンに10分程おいておくと、フライパンのふちもさほど熱くなくなります)
ホイル焼きは、ただ包んで焼くだけなので、とても簡単ですし、煮汁ごといただけて栄養満点です。今回は今が旬のサンマにしましたが、どの魚でも旬のものは脂がのっていて美味しく、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)の含有量も豊富です。いろいろな具材でチャレンジしてみてください。抗酸化作用の強いレモンをのせてホイル焼きにすると、ほろ酸っぱい風味がひろがり、爽やかですよ。お試しあれ!
(効能)
今回は、秋魚の代表であるサンマに注目してみました。サンマはビタミンA、D、E、B12などが豊富で、栄養満点な魚です。認知症予防には、青魚に多く含まれるDHA、EPAが、年齢とともに萎縮していく脳細胞を柔軟にし、情報伝達をスムーズにしてくれるために欠かせません。脳はとてもデリケートな器官であるため、有害なものが入らないように、血液脳関門というフィルターのようなものがあり、必要な栄養成分しか入れないようになっています。EPAは全身に取り入れられ、高血圧改善や血栓予防などに対しての健康効果は高いのですが脳内には入れません。それに対し、DHAは脳に入ることができ、脳や目、心臓などの生命活動に重要な役割を担うところに、集中して存在します。
そのため
・記憶力の改善
・胎児や小児の脳の発育促進
・免疫力の向上
・動体視力の改善
・視力低下の予防
などの効能が期待できます。
最近は、食の欧米化で
・まとめ買いがしづらい
・肉よりも割高になる
・下処理や後片づけが面倒
・献立がワンパターンになりやすい
・子供があまり食べない
などの理由により、魚離れの傾向があるようですが、認知症になるリスクを減らしたいのなら、なるべく魚を摂るようにしましょう。DHA、EPAの流出が一番少ないのは生食です。煮る、焼くなどの加熱料理では10〜30%、揚げた場合は50%以上が流出してしまいます。料理法も考えながら、美味しく頂きましょう。面倒臭い人は、缶詰もおすすめです。
(まとめ)
認知症は、脳の病的な変化がもとで、認知機能が低下した状態の総称です。6割がアルツハイマー型で、アミロイドβというタンパク質が、神経細胞の回りに蓄積することで発症します。2割が脳血管性で、脳梗塞や脳出血が原因で脳細胞に十分な血液が送られず、脳の一部に障害が起こることで発症します。1割がレビー小体型で、レビー小体という特殊なタンパク質が増えることで、神経細胞が破壊され発症します。幻視などの症状が現れたりします。残りの1割は、脳の前頭葉などで神経細胞が減少「前頭側頭葉型」などがあり、2つの病気が合併する混合型タイプも含まれます。いずれの型も、脳に萎縮が起こるという点は同じです。
認知症には予備軍があり、「軽度認知症」と呼ばれ、40代から始まり20年以上かけて、じわじわと認知症の症状が現れると考えられています。「軽度認知症」になったとしても必ず認知症になるわけではなく、そのままの状態が続く人や、正常に戻る人もいます。認知症にならないために
・青魚、緑黄色野菜、未精製の穀類を食べる
・6時間以上の睡眠、30分程度の昼寝を心掛ける
・人と直接会って会話する
・ウォーキングなどの有酸素運動と、感覚神経の働きを改善する筋トレを組み合わせ、適度な運動をする
・日常生活に脳トレを取り入れる(脳トレドリルやパズルに挑戦するのもいいのですが、あえて便利な生活から離れ、いつもと違う生活をするだけでも違いますよ)
脳は何歳からでも活性化が可能ですので、以上のような生活習慣を身につけましょう。人生100年時代といわれる昨今、正しい知識とちょっとした日々の積み重ねが、将来の自分自身と家族に笑顔を届けてくれるはずです。脳はいくつになっても、私たちの努力に応えてくれますよ!
では、次回もお楽しみに!!
★編集後記
「赤い靴履いてた女の子 異人さんにつれられて行っちゃった」。これは野口雨情作詞の童謡「赤い靴」の歌詞です。私は幼いころ、この中の「異人さん」というところを「ひい爺さん」と聞き間違えて歌っていました。この子はきっとお母さんがいないのだ。だからひい爺さんにひきとられていくんだ。かわいそうにこの子。と悲しげな旋律がよけいにこの女の子の身の上をイメージして、かってに話を作って歌っていました。
「シャボン玉とんだ 屋根までとんだ」。これも野口雨情の詩です。最近の幼稚園児の話ですが、シャボン玉がとんだら、屋根も一緒にとんでしまったと解釈したそうです。さすが今どきの子。発想がアニメっぽい。
先日4歳の孫が、昆虫博に行って大きなカブトムシを見てきたといって興奮ぎみに話していました。「ヘラクレスカブトムシっていうんだよ。すっごい力持ちの!」。数日後、私は「この前いってたそのソクラテスカブトムシ、さわれたの?」と聞いてみました。「・・・」孫の反応がありません。きっとクエスチョンマークが頭の上に3つくらい並んでいたことでしょう。でも「ヘラクレス」と「ソクラテス」ってなんか似ていませんか? ただ「ソクラテス」だと力持ちというより賢そうなカブトムシになっちゃいますけど・・。
最初のが聞き間違い、次が思い違い、最後が記憶違い。この先ますます増えてきそうな3大ミステイク。困った話です。
中野 早苗
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