あぁるぴぃJRPSちば会報127号
■ 投稿
★ロービジョン川柳
担当 中野 早苗
徐々にではありますが、街が動き始めたように感じます。今号の句もほほえましい日常を詠んだものをいただきました。まだまだ安心はできませんし、マスクとのおつきあいも長引きそうですね。
ペンネーム(ヒロちゃん)
・本読んで 孫にせがまれ 困ったな
【解説】
4歳の孫がようやく字が少し読めるようになって、遊びに来た時に持ってきた絵本を「じーじ、これ読んで」というので困ってしまいました。
・EV車 音が静かは 良し悪し
【解説】
最近EV車(電気自動車)が増えています。音が静かなのが良いとされていますが、われわれ視覚障害者には怖いです。
・サンキューカード 持っていたけど 出し忘れ
【解説】
先日、白杖を持った人と一緒に電車に乗りました。席を譲ってくれた人がいましたが、電車を降りてから「サンキューカード持っていたけど渡すの忘れた」と苦笑いでした。
・今朝もまた 「食べ残してる」と 妻が言い
【解説】
最近、バナナとかリンゴとか半分食べて、お皿に置いた後で気が付かなくて注意されることがあります。白いものが白いお皿にあると見過ごし易くなりました。
※投稿先 中野 早苗 Eメール:sanae403@y3.dion.ne.jp
★お役立ち情報(bP9)
【視覚障害における生命保険会社の高度障害認定事例】
千葉県在住 JRPS会員
私は、本年2月に高度障害による生命保険の保険金請求をおこないました。この請求のことはすでにご存じの方もいるとは思いますが、まだ視力がある方などが今後視力が低下した場合のために、申請手続きについての具体的な体験事例をお知らせします。
きっかけは、本年2月にJRPSちばの役員さんから網膜色素変性症(以下RPという)は、生命保険の高度障害の対象疾病だと伺いましたので、生命保険A社(仮称)のコールセンターに電話をして「RPで視力がなくなったので高度障害保険金の請求ができると聞いた」と告げたのですが、「あなたは特定難病特約の契約がされていないので請求ができない」と言われました。「RPは特約の契約が無くても請求ができるのでは?」と伝えましたが答えは同じでした。
1週間後、再度コールセンターへ電話をして同じことを伝えたところ、今度は「視力が0.02を下回った時期に遡って保険金を受け取ることができる」と言われました。保険金請求に関するコールセンターの専門部署で、視力低下での高度障害の事を把握していないのは困りますね。
請求書は郵送できない決まりになっているので、地域の保険外交の方が自宅に行って直接説明をすると言われました。後日、請求書と診断書の用紙を持って外交の方が来て書類に記入をして、その後かかりつけの大学病院で診断書を書いてもらい保険会社に提出しました。コロナ禍のためなのか審査に3か月かかりました。これで視力が0.02を下回った22年前に遡って、高度障害保険金を受け取ることができました。
RPと生命保険会社の高度障害の認定基準との関係は詳しく追求できませんでしたが、インターネットで検索するといろんな判断基準があるようです。まだ請求をしていない方は一度問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。それから、高度障害で保険金を受け取ると、その後は一般の生命保険会社の疾病保険(ガン保険を除く)には加入できないとのことです。
*編集長追記
本投稿は、個人情報を含むため保険会社と氏名は匿名としました。
なお、私も投稿者と同じ保険会社から視力低下により高度障害となって保険金を受け取りましたが、高度障害と認定された時点から、約20年前のRPと診断された初診日の保険額でした。
※対象となる高度障害状態は、公的な身体障害者認定基準などとは要件が異なりますので、加入している保険会社の約款にてご確認ください。
★グループホーム「oneself(ワンセルフ)」見学レポート
千葉市 菊池 英司
去る10月17日、前もって株式会社oneself代表の飯田様に電話で連絡を取りまして、船橋市にある視覚障害者のためのグループホームに見学に行ってきました。最寄りの新京成線二和向台駅まで、飯田様に迎えにお越しいただき、およそ10分ぐらい歩いたところにグループホーム「oneself」がありました。
建物は2階建てで、1階の玄関を入ると向かって右側にお風呂と脱衣所と洗面所があり、洗濯機2台と脱衣カゴが置かれています。廊下を挟んで左側に事務所があり、その奥にリビングと台所があります。さらに奥に進むと部屋があり、部屋は一人部屋で6畳にクローゼットもあり、実質5.5畳ぐらいだそうです。さらに、廊下の突き当たりにあるコの字型の階段を上った2階には、入居者用の部屋が4室ありました。案内が一通り終わった後、詳しい説明になりました。
● まず一番気になるのは、入居費用で敷金や礼金はなく、月々に支払うお金は家賃と食事代、光熱費で約8万2千円ぐらいで、千葉県や各自治体などからの補助もあるので3万から4万ぐらいの負担になるそうです。
● 日々の生活の際、ちょっとした買い物や外食、郵便局や銀行に行く時はスタッフの方々が同行しますが、遠いところに行くときは、同行援護のヘルパーさんを手配してほしいとの事でした。
● それから私が危惧しているのは、今後の少子高齢化で身寄りのない独りぼっちの高齢者や障害者が増えてきて、入所希望者も多くなり保証人もいない方の受け入れについてです。何かあった場合の事を考えると保証人は必要ですが、どうしてもいない方は関係機関と交渉して適宜対応をするそうです。
見学が終わり、グループホームから駅にもどる途中、飯田様が「うちのグループホームは職員と入居者で分けるのではなく、ともに築き上げてよりよい環境で生活をお互いにしていこうという考えなんです」と言ってました。素晴らしいことですよね。とかく施設やグループホームでは、職員がルールを決めて入居者がそれに従うというようになってますが、ここでは規則はありますが、職員と入居者が一丸となってよりよい生活をしていこうという発想が、お互いの信頼、さらには信用につながり、明るく楽しく充実した生活空間をかもし出すのではないかと確信しております。さらに来年の春先ぐらいに今のグループホームの近くに、もう一つ新しいグループホームを造るというお話を聞きました。今日は、私にとりましてとても大きな収穫になりました。
※グループホーム「oneself」についての詳しいことは以下をご覧ください。
株式会社oneself(ワンセルフ)
https://oneself.life/
電話 047−440−8580
★編集後記
別府旅行記/後編
2日目は、K氏の姪御さんの案内で、源泉が湧き出ている「別府地獄めぐり」と言われる7つの「海地獄」「鬼石(おにいし)坊主地獄」「かまど地獄」「鬼山地獄」「白池地獄」「血の池地獄」「龍巻(たつまき)地獄」を巡り、随所で姪御さんが特徴や色など説明してくれたので、各地獄の雰囲気を味わうことができました。地獄めぐりのあとは、野生のサルに餌付けしている高崎山自然動物園に行き、足元を歩く子猿に心が和みました。ホテルに帰ったあとは、屋上の露天風呂で一日の疲れを癒し、天候に恵まれたことに感謝しました。
当日の昼食には、伝統の調理法「地獄蒸し料理」を体験しました。温泉の蒸気で蒸されたサツマイモ、ジャガイモ、カボチャ、肉まん、卵、鶏肉など素材の味が生かされており絶品でした。(地獄蒸し料理とは:食材をざるにのせ「地獄蒸し釜」と呼ばれる約100度の蒸気が噴き出す釜の中に入れ、蓋をするだけ。塩分を含む温泉蒸気で一気に蒸すため、食材本来の旨味が閉じ込められます)
3日目の朝、K氏のいとこの息子さんにホテルまで車で迎えに来ていただき、1日目とは別の砂風呂の施設まで送っていただきました。施設の従業員は、私たちが視覚障害者なので、砂風呂まで降りる階段が危険ということで断られてしまいました。砂風呂には縁がなかったようです。
帰路は別府駅から大分空港にバスで向かい、空港からは手助けリレーにより羽田空港に到着。係員さんに付き添われて高速バスの切符購入からバス乗り場まで案内していただき、全員無事帰宅できました。この体験は、視覚障害者でもサポートを受ければ日本中どこにでも行けることを実感した貴重な経験でした。
江澤 正広
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