あぁるぴぃJRPSちば会報132号
■ 投稿
★リレーエッセイ(2)
「RPと私」
千葉市 T・W
私とRPとのつき合いは早35年となった。いや、診断されたのは35年前だが、それは生まれたときから静かに進行していたのだから、そのつき合いは60年となる。RPは私の生活をずいぶん不便なものにしているし、ひどく気分を落ち込ませることもある。しかし、離れることができない以上、なんとかうまくつき合っていきたいと考えている。
RPと診断を受けた25歳のとき、「見えづらくなる」「見えなくなる」ということがピンとこなかった。何の根拠もなく「私は大丈夫。見えなくなることはない」と思った。今にして思えば、どうしてそんな風に思えたのか不思議でならない。
40歳までは、仕事、あわただしい退職と結婚、子育てと目の前のことに追われて、RPのことを深く考える余裕はなかった。
40歳を過ぎたころ、目の前に立っていた小さな男の子が視野に入らず、膝を当てて倒してしまった。幸い大事には至らなかったが、これを機に白杖を持つことにした。歩行訓練を受けた。歩行訓練士の方がJRPSを紹介してくれた。この時期にJRPSと出会えたことは、私にとって幸運だった。会員の皆さんの、見えにくくなっても、見えなくとも、明るく前向きな姿を目の当たりにし話を聞き、「何とかなる!」と思えた。これが、その後の私のRPとのつき合い方を決定づけたと言ってもよい。以来、同じ病気の仲間の存在、「一人ではない」という思いが、私を励まし支え続けている。
白杖を持って一人で街に出る。帰宅するまでに声をかけられないということはない。「何かお手伝いしましょうか?」「信号、青ですよ」「何かお探しですか?」私から、通りがかりの人に助けを求めることもある。そんな街の人たちと、思わず会話が弾むこともある。私は「ありがとう」と言うことが増えた。白杖を持つことがなかったら、私は今よりさらに傲慢な人間であったに違いない。
いつのころからか、私は白杖を持って一人で出かけて帰宅するまでをゲームと考えるようになった。ゲームだから、うまく進むこともあるし、うまくいかないこともある。行く先々で親切な人に出会い、点字ブロックもうまく伝え、音やにおい、足裏の感覚も手掛かりに、順調に家路を辿れることもある。また、どういうわけか何もかもうまくいかず、人や物にぶつかり、道にも迷い、ヘトヘトになって帰宅することもある。最近は、コロナの影響もあり、いよいよ見えなくなってきたこともあって、一人での外出が減ったが、まだ、体中の全感覚を使って挑む、このスリリングなゲームをしてみたいと考えている。
白杖の次に私が頼りにしているのが、パソコンとiPhoneである。読み書き、情報の入手と整理、ものの識別、コミュニケーションのツールとして使わない日はない。生来のいい加減さに加えて加齢による記憶力、理解力の衰えもあり、入力ミスや操作ミスはしょっちゅうで、思いどおりに動かないパソコンやiPhoneに四苦八苦。イライラすることも多い。だが、これらICTの進歩は目覚ましい。次に、何ができるようになるのか楽しみだ。その進歩のスピードにはとてもついていけないが、トボトボとでも後を追い、その恩恵に与りたいと願っている。
今では、明るさがわかる程度の視力となった。娘たちも独立し、主人と二人暮らしである。30年以上続けてきた家事は、主人の助けを借りることもあるが、何とかなっている(と思う)。家事の中で一番の苦手は料理である。私はもともと料理が苦手。キライなのだ。そこにもってきてこの視覚障害である。ますます料理が億劫になった。が、「あきらめたときから、できなくなる」と自分に言い聞かせ、今日もキッチンに立っている。私の料理につき合ってくれる主人には感謝である。
ここ十数年は、RPの治療法の研究にも目覚ましいものがある。治療法が確立し、私たちがその恩恵を受けられるまでには、まだまだ時間がかかりそうである。が、もしかしたら、ある日突然、治療法が確立し青い空や赤い花、子供たちの笑顔が見えるようになるかもしれない。たとえ死ぬまでそんな日がこないとしても、死の直前まで、そんな「夢見る婆さん」でいたいと思う。治療法が確立されるか、命の期限がきれるまで、私とRPのつき合いは続く。RPと仲良しとまではいきそうもないが、便利な機器や福祉制度、周囲の人の助けも借りながら、できるだけ前向きにつき合っていきたいと考えている。
★ロービジョン川柳
担当 中野 早苗
今号の作品は、先日閉幕した東京2020オリンピック・パラリンピックやコロナ感染拡大など、今ならではの句をたくさんいただきました。ご寄稿いただいた皆さまありがとうございました。
どうぞお楽しみください。
ペンネーム(千葉のピーナッツ)
・オリパラで 好きな競技は ラジオ聞く
・この2年 テレビ電話で 孫の声
【解説】
福岡に住む息子夫婦と4歳になる孫とはこの2年以上コロナの影響で会えていませんが93歳になる母はひ孫の顔をどうしても見たいと言うのでテレビ電話にしています。私は顔は見えませんが母は耳が遠いので顔を見て喜んでいます。
・外に出て マスクしてても もう一つ
【解説】
昨年から外出するときは必ずマスクをして出かけますが、いつももう1つ予備のマスクを持っていないと心配になっています。先日もバス停に向かう途中で、予備のマスクを持つのを忘れたことに気づき、家に取りに戻りました。
ペンネーム(牡牛座の怪人)
・金メダル 噛んでみたいな どんな味
【解説】
あいさつに来た金メダリストの金メダルを噛んで大問題になった市長さんがいましたが、どんな味がするのか私も噛んでみたいですね。
ペンネーム(友酒)
・ステイホーム サピエと酒で 苦にならず
・ステイホーム サピエ三昧 日々楽し
・ボッチャなら 五輪出場 できるかも
・頑張りと 勇気もらえる パラ五輪
・目が悪い 言い訳きかぬ パラ五輪
・無観客 応援するは 蝉時雨
・障害を 受容乗り越え 目指す金(きん)
ペンネーム(青色吐息)
・欠損で 研ぎすまされる 技の妙
・闇の中 音のかけひき 勝ち進め
【解説】
ハンディをなくすためにゴーグルをつけ、全員全盲の状態で戦うゴールボール。情報は音しかない中、あえて音を出さないようにして敵にフェイントをかけるなんておもしろい競技ですね。
・RP 語らず啓発 パラ選手
・あきらめぬ あきらめさせぬ 伝える手
【解説】
選手とサポーターの絆がこれほど注目されるのはパラ競技ならではのことでしょう。
ペンネーム(グリンピース)
・信頼の 視覚支える 腕リング
・伴走者 絆を腕に 伝えつつ
・タッピング ターンみごとに 支えあう
・サポーター 役割こなし 金メダル
・晴れ舞台 壁乗り越えて 頼もしや
・差別なき 世界目指して パラ五輪
・認め合い 共生社会 光射す
【解説】
選手にサポーター、視覚障害者にとっては、陰の支えがあってこそ適うものです。多くの協力者との絆でつながるパラリンピックは、夢と希望を勇気と元気で届けてくれる。障害者への偏見に理解が広がることを願ってやみません。
※投稿先 中野 早苗 Eメール:sanae403@y3.dion.ne.jp
★お役立ち情報(bQ3)
【スクリーンリーダー(視覚障害者用PC画面読み上げソフト)を使って、Zoomミーティングに参加する方法】
渡辺 友資枝
コロナ禍を機にWeb会議システムZoomを利用して、オンラインで多くのセミナーや講演会、交流会などが開催されるようになりました。Zoomに接続するのは、メールの送受信ができれば「なーんだ!」というほどに簡単です。今回は、パソコンからスクリーンリーダーを用いて、Zoomミーティングに参加する方法をご紹介します。(ここでは、PC-Talker 10とネットリーダー 2を使用した手順を紹介しています)
JRPSちばでは10月16日に、Zoom体験・講習会を開催します。電話も使い、マンツーマン方式でZoomの接続が確実にできるよう練習しますので、ぜひ、ご参加ください。(詳細は本誌掲載の「Zoom講習・体験会のご案内」をご覧ください)
【Zoomに接続する】
@ミーティング開催時間内に、招待URLにカーソルをあて、下記のキーを押します。(招待URLは主催者から事前にメールで送られてきます)
(メールソフトが)VoicePopperの場合 Shift+Enter
Myメールの場合 F5
MMメールの場合 Ctrl+F2
Outlookの場合 Enter
Aブラウザが起動し、ダウンロードの画面が開きます。
→Tabで実行に移動し、Enterキーを押します。
→また、新しいウインドウが開き「実行しない」というので、Tabで「実行する」に移動しEnterキーを押します。
→ダウンロードが終わるとZoomが起動します。
B「名前のエディット」になるので、ミーティング参加者にわかりやすい自分の表示名を記入します。(初めてZoomに参加する場合のみ)
→Tabでミーティングに参加する」に移動し、Enterキーを押します。
Cビデオプレビュー画面になるので、Tabキーで「ビデオ付きで参加」または「ビデオなしで参加」を選び、Enterキーを押します。
※この画面はでてこないこともあります。
D「コンピューターでオーディオに参加」をEnterします。
※「ミーティングへの参加時に自動的にコンピューターでオーディオに参加」のチェックボックスというところでスペースキーを押してチェックをつけておくと、次回からこの画面は表示されなくなります。
EZoomミーティングの画面が開き、ミーティングに参加できます。
※お使いのメールソフト・スクリーンリーダーにより、多少操作に違いがあります。
10月16日のZoom講習・体験会では個別に対応いたします。
【ミーティング中の操作のショートカットキー】
●ミュートのonとoffの切り替え Alt+A
ミュートがonとは…自分の音声がミーティングルームに聞こえない状態になっていること。
自分の音声がミーティングルームに聞こえるようにするには、ミュートをoffにする。
または、ミュートがonの状態でもスペースキーを押している間はミュートがoffになり話すことができる。
●ビデオのonとoffの切り替え Alt+V
●Zoomを退出する Alt+Q
または、Alt+F4を押し、Tabキーを1回押して「退出」に移動しEnter
※この操作は、Zoomミーティングがアクティブになっているときにのみ有効です。
★こころの豆知識
船橋市 垣田 悦子
皆さま、お元気ですか? まだまだコロナ禍が続いていますが、新薬の開発やワクチン接種の増加などにより、少し明るい兆しが見えてきたようにも思えます。ということで今回は、ウイルスと戦うために免疫力を上げ、目にもいい一品を紹介します。
<人参ともやしのザーサイ和え> 4人分
(材料)
人参・・・・・・・・小1本
もやし・・・・・・・1袋
サラダチキン・・・・1袋
味付けザーサイ・・・30g
ごま油・・・・・・・小さじ1
塩・・・・・・・・・小さじ1/3
こしょう・・・・・・少々
ごま・・・・・・・・適量
(作り方)
@ もやし1袋は洗って水けをきり、人参はせん切りにする。
A 耐熱容器に、もやし、人参を入れラップをしてレンジで3分加熱し、水けを切るためザルにあげる。
B 器に裂いたサラダチキンとA、せん切りにしたザーサイ、ごま油、塩、こしょう、いりごまを入れ混ぜる。
レンジで加熱して混ぜるだけで、おかずにも、おつまみにもなる簡単で美味しい一品です。ぜひ、お試しあれ!
(効能)
鶏肉は皮を除けば、高たんぱくで低脂肪です。疲労回復に効果があるビタミンB群や皮膚炎予防や免疫力を高める効果があるナイアシン、不足すると夜盲症になるビタミンAも多く含まれています。ただ、鶏肉は水分が多くいたみやすいので、早く食べきるようにしましょう。抗酸化作用のあるビタミンEを含むごまやナッツと一緒に食べるのも手です。
(まとめ)
コロナ陽性患者が減少してきたとはいえ、まだまだ気は抜けません。これまで同様、予防の基本である手洗い、消毒、マスクの着用を徹底しましょう。また、免疫力が下がらないようにバランスのとれた食事をし、睡眠や休養をしっかりとるように心掛けましょう。元の生活には、すぐには戻れないかもしれませんが、そのときまでしっかりと力を蓄えておきましょう! 次回こそは、皆が笑顔でありますように・・・。
★みんなの広場
戸村 正志・みどり(プリン ハート)さんからの投稿/後編
そしてまた、5月に「ダブルレインボー音楽会」が予定されておりました。コロナウイルスの関係で、無観客状態で開催することとなりました。「お客さんに、入っていただきたかったです。」
音楽会の本番1週間前に「椎間板ヘルニア」になってしまいました。動くことも、歩くこともできなくなってしまいました。本番を前にして「どうしようー。出演を辞退するしかないかなー。」と気落ちをしていたのですが、みどりが「私が歌うから、なんとか頑張って演奏をしてちょうだい。」とお願いされてしまいました。僕もダブルレインボー音楽会に参加したかったので、当日は痛みをこらえながら車いすをお借りして会場へ行きました。痛みとの戦いでしたが、なんとか頑張って演奏をすることができました。「辞退しなくて本当によかったー。」と思いました。良き仲間の皆さんとも、お会いすることができてとても嬉しかったです。
椎間板ヘルニアになるのは、初めての経験でした。症状がでて、現在3か月になりますが、まだ通常の歩行ができません。ヘルニアのために、痛みが消えないのです。診察の結果では「かなりひどいヘルニア」とのことだったのです。早く完治をしたいです。通常に運動をしたり歩いたりしたいです。
現在、大好きなライブもここのところできておりません。また、通常のようにライブが可能となった際には「プリン ハート」を、よろしくお願いいたします。皆さんの応援が、何よりも嬉しく思うものです。
そして楽しい時間を作りながら、充実した一日を、日々過ごしてゆけるように頑張りましょう。皆さんも、健康面にはくれぐれも気をつけていただけますように。
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