あぁるぴぃJRPSちば会報140号
■ 投稿
★リレーエッセイ(8)
JRPSちば ペンネーム 高安 樹恵(たかやす きえ)
【総武線 各駅停車】
〈プロローグ〉
ついこの間始まったと思っていた、令和という時代も、あっという間に5年となった。今は過去になってしまった平成の30年間、私は毎日総武線に乗って、学校や職場に通った。
学生だったころ、私の視力はまだ白杖なしで歩くのに充分だった。次第に視力が低下し、歩きにくくなった。特に混雑する乗換駅では、人とぶつかりそうになることが多くなった。周りからは、白杖を持つことを薦められた。だが、当時の私にとって白杖を持つことは、視覚障害者であることを「カミングアウト」することであり、対外的にも、内面的にも耐え難いことだった。白杖を持つことに対する抵抗は、中途視覚障害者が必ず越えなければならないハードルなのだ。
就職を期に、通勤時、意を決して白杖を出してみた(実家の周辺ではその後何年も出すことはできなかったのだが)。あんなに嫌だった白杖だったのに、それを持った私の正直な感想は、「歩くの楽・・・。みんなよけてくれる。こんなことなら、もう少し早く持てばよかったかな。」というものだった。
白杖を持って総武線各駅停車に乗って千葉に出た。その道のりで、いろいろな人が声をかけてくれ手引きをしてくれた。電車に乗っている10分あまりの間に、いろいろな話をした。1回だけの出会いもあったし、何年も手引きしてくれた人もあった。お互いに名乗りあった人もいたし、毎日話をするのに名前も知らない人もいた。いつの間にか出会い、いつの間にかいなくなった人もいた。引っ越しや退職のために、総武線には乗らなくなることを知らせてくれ、お互いに感謝の気持ちを伝え別れた人もいた。
人は何年も、ときには何十年も、毎日電車やバスで学校や職場に通っている。だが、車内で他人と話をすることはあまりない。皆、黙々と自分のことに集中している。平成の最初のころは新聞や本を読んでいる人、ヘッドフォンで音楽を聴いている若者などが多かった。このごろは皆スマホを見ている。SNSを見たり、ゲームをしているのかもしれない。そうそう、朝から大いびきをかいて寝ているおじさんもいる。会話をしている人はほとんどいない。白杖を突いてもたもた歩いている私を見かねて、「お手伝いしましょうか」とか「ドアはこちらですよ」と声をかけてくれる。そこから新しい出会いが始まる。今の時代、こんな風に人と関われることはある意味幸せかもしれない。
平成が終わった年、私の仕事も終わりを迎えた。30年間通勤通学の行き帰りにサポートをしてくれたたくさんの人々。彼らは彼ら自身の人生を生き、それぞれの物語の主人公だった。手引きをしてくれたことをきっかけに、私は彼らの物語の一端を垣間見る幸運に恵まれた。そのことに感謝し、総武線各駅停車での出会いを記したい。
=次号に続く=
★お役立ち情報(bR0)
【サピエ図書が聴けるパソコンソフト「雛菊の時間(スクリーンリーダー対応読書支援システム)」のご紹介】
JRPSちば役員 江澤 正広
会員の皆さんのなかでは、サピエ図書を録音図書再生機器を使用して読書を楽しんでいる方も多いと思いますが、その方法を習得するのに支援施設が遠い、仕事があり時間がとれないなどの理由により、読書を楽しみたいがどうしたらよいのかわからない方への情報です。この情報は、ワークアイ船橋の磯部様からいただき、私が実際に自宅のパソコンを使って、利用登録と「雛菊の時間」という無料ソフトをダウンロードして、数日でサピエ図書を聴くことができましたので、その手順をご紹介いたします。
「サピエ」とは、視覚障害者を始め、目で文字を読むことが困難な方々に対して、さまざまな情報を点字、音声データなどで提供するネットワークです。また、サピエ図書館のご利用にはお住まいの地域の点字図書館への利用登録、サピエIDとパスワードが必要です。
ご興味のある方は、以下にアクセスしてみてください。
<雛菊の時間公式サイト>
https://kmzwakr.net/hina.html
【動作環境】
・対応OS:Windows8/Windows10 Ver1909以上/Windows11
・対応音声化ソフト:PC-Talker Neo/NVDA
JAWS 2019日本語版以後のバージョン/Narrator
【利用登録、サピエIDとパスワードの入手手順】
@以下のいずれかのパスワードで検索し、リンク先をエンターする。
「会員登録 サピエ図書館」または「https://www.sapie.or.jp ? entry」
A会員登録の画面が表示されるので、「利用規約(個人)」に「同意する」を選択。
B「Web会員登録申請(一般利用者)」の画面が表示される。
・会員の種類:「A会員」を選択。
・都道府県:「千葉県」を選択。
C「申請内容入力」をエンターし、「Web会員登録申請フォーム」の画面を表示する。
・入力フォームにしたがって、氏名、住所など必要事項を入力する。
D「申請内容確認画面へ」をエンターし、「登録内容確認」の画面を表示する。
E登録内容を確認し、「申請」をエンターすると、処理完了メッセージが表示され、会員登録の申請が完了する。
F後日、サピエ事務局よりサピエIDとパスワードがメールで届く。
(登録までには、数日かかります)
【「雛菊の時間」ダウンロード手順】
@まずは、以下の紹介動画を参考までにご覧ください。
<紹介YouTube>
https://youtu.be/t2dqFJhHjJw
A以下のURLにアクセスし、「雛菊の時間」をダウンロードする。
<雛菊の時間ダウンロード直リンク>
https://okaka.sakura.ne.jp/dt/hinasetup.exe
Bスタートメニューに追加された「雛菊の時間」をエンターし、サピエIDとサピエパスワードを登録する。
C「新たに図書を入手」をエンターし、本のタイトルまたは著者名で検索し図書をダウンロードする。
上記の手順で、私は司馬遼太郎の小説を聴くことができました。不明な点などありましたら、以下までご連絡ください。
問合せ先 江澤 正広
携帯:090−8800−4181
Eメール:masa-ezawa@carrot.ocn.ne.jp
★こころの豆知識
船橋市 垣田 悦子
皆さま、お元気ですか? つい最近、令和が始まったと思ったら、もう令和5年になってしまいました。大人になったら時間の経つのが早く感じる気がします。子供のころのように感動することが少なくなったのも要因のひとつらしいです。せめて気持ちだけでも若々しくいきましょうね。今回はリクエストのあった、お正月に残ったお餅を使った一品を紹介します。
<なめこおろし餅> 2人分
(材料)
お餅・・・・・・・・・・2個
大根・・・・・・・・・・中1/3本
なめこ・・・・・・・・・1袋
大葉・・・・・・・・・・1/2袋
しょうゆ・・・・・・・・大さじ2
(作り方)
@お餅1個を6等分に切り、クッキングペーパーの上にくっつかないように間隔をあけて並べ、180度のオーブントースターで5分ほど焼く。
A大根は皮をむき、すりおろしておく。
B大葉は、細いせん切りにする。
Cなめこは袋からだし、器にいれ、電子レンジで2分加熱する。
D器に@からCを入れ、しょうゆを加え混ぜ合わせる。
オーブントースターからお餅を取り出す際は、熱いので火傷に注意してください。また、お餅は時間が経過するとかたくなるので、食べきれる量をご自身で加減してください。しょうゆの代わりにポン酢でも美味しいですし、鰹節やちりめんじゃこ、ごまなどを加えても美味しいですし、うどんやそばにトッピングするのもありですよ。お餅は揚げたりフライパンで焼いても、違った食感を楽しめます。
(効能)
今回は大根に注目してみました。大根は、根も葉も皮も捨てるところがないくらい、しっかり食べられます。春の七草の「すずしろ」は大根のことです。葉もとは甘く、胃酸の働きを整えるジアスターゼなどの酵素を多く含んでおり、それらの酵素は熱に弱いのでサラダなどの生食にむいています。中間部は辛さと甘さの中間なので、煮物でも生食でも、お好みにあわせ使用してください。先端のほうは、ピロリ菌の育成阻害効果のある辛味成分イソチオシアネードを多く含むので、漬物や煮物にむいています。
大根は部位だけではなく、おろし方でも辛さが違ってきます。甘くしたい場合は、大根を繊維にそって縦に切ってから、円を描くようにおろします。辛くしたい場合は、おろし金に垂直に直線的におろすと繊維が破壊され、辛味成分が育成され辛味が増します。葉にはβーカロテンやカルシウム、ビタミンCなどの多くの栄養素が含まれていますし、皮には毛細血管を強化するビタミンP(フラボノイド化合物)が含まれているので、夜盲症予防効果や免疫力強化などの効能があります。いろいろな料理にチャレンジしてみてください。
では、次回もお楽しみに!
★みんなの広場
皆さまこんにちは。齊藤淳子と申します。昨年12月から編集委員として、微力ながら会報誌のお手伝いをさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
入会したのは自身の病を知った3年前で、ホームページや会報誌、メーリングからさまざまな情報を得ることができ、知人もできたことで、ずいぶんと気持ちが軽くなり感謝しております。
私は甘いものが大好きで、順調なときはもちろんのこと、しんどいときもスイーツをいただくと、自然と笑顔になり元気がでてきます。若いころは断然洋菓子派でしたが、近ごろは健康が気になる中年期ということもあり、原材料として植物由来のものが多くカロリーも控えめな和菓子に、より魅力を感じるようになりました。四季を感じられるところもいいですし、お茶やお祝いの席に用いられる上生菓子(じょうなまがし)は、職人さんが素材、色、形など工夫をこらし、四季折々の花鳥風月などのテーマを表現する芸術作品ともいわれていて、あまりの美しさに見とれてしまうほどで、改めて日本文化のすばらしさを感じています。
また、それぞれのスイーツに込められた、人々の幸せを願う気持ちやおもてなしの心、歴史や文化など、お菓子にまつわるあれこれを知ることも興味深く、楽しみのひとつとなっています。ちなみにマイベストスリーは、白玉クリームあんみつ、モンブラン、ようかん、といったところでしょうか。
私にとってスイーツは、単に味わうだけではなく、心のゆとりや安らぎを与えてくれる存在であり、慌ただしい日々のなかでもお茶のお供にして、ほっとひと息つく時間をこれからも大切にしていきたいです。機会がありましたら皆さまのイチオシをお聞かせいただければうれしく思います。寒さ厳しき折、ご自愛くださいませ。
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