★山武保健所主催の患者・家族の交流会&講演会のご報告
参加人数は、患者本人28名(他の地域の方3名含む)・家族14名(他の地域の方1
名含む)・その他、成田赤十字病院の地域難病相談支援センターと中核支援センターから
1名ずつ、障害者差別の広域相談員2名、市役所福祉担当者1名、他保健所の保健師1名
の合計48名。
午前10時より山武保健所健康生活支援課長のご挨拶があり、その中で、患者会を通し
て皆さんの声を聞かせていただき、保健所としてもお役に立てるように協力したいという
温かいお言葉をいただいたあと、一人ずつ自己紹介をしました。
去年は、テーブルを4つのグループで分けましたが、やはり初めて参加される方もいる
ということで、先ずは市町村ごとに3つに分かれて自己紹介を聞き、その後は自由に席を
移動して話をしてもらえるようにしました。
各テーブルに保健師さんがついてサポートしていただきました。
障害者差別の相談員さんからは、千葉銀行などで視覚障害者の代筆が認められ、窓口手
数料が身体障害者手帳の提示をするとATM料金で出来るようになったことなど、お話し
てくださり、9月に市原市で患者交流会をされるということで参加された広瀬さんには、
JRPS・もうまく基金・千視協の説明をしていただき、更に白内障手術の経験もあると
いうことでお話していただき本当に参考になりました。皆さん、見えなくなっても、まだ
やれることがあるという希望をいただきました。
初めての方も、同じ病気の方がどんな生活をしているのか聞いたり、家族の方も悩みを
打ち明ける相手ができたり、少しホッとした様子がみられました。
12時過ぎに一度中締めで、地域難病相談支援センターの方から事業紹介とアンケート
のお願い、また午前中で退席される方のご挨拶のあと、同じ部屋で昼食。
午後1時20分から別の部屋へ移動し始め、1時半より山武保健所長より挨拶があり、
安達惠美子先生の講演が始まりました。
私は安達先生の講演を聞くのは初めてでしたが、世界的に研究されていたので、説明に
使われたスライドもスイスで作られたものなど、網膜色素変性はどんな病気で、どんな症
状で、どのような見え方をするのかなど、とてもわかりやすく、家族の方や保健師さんも
中心が見え、他が見えないということが具体的に理解できたと言っていました。
ビデオなどに録画して家族などに説明できるとよかったという声もありました。その他、
ES細胞の時代からiPS細胞の時代へと研究もどんどんされているので、希望はあると
のお言葉に、皆さん勇気をいただいたのではないでしょうか。
質問も白内障のことや、紫外線の影響で病気が進行するかは立証されていないこと、ル
テインやアダプチノールの話など答えていただきました。柿栖眼科の柿栖先生もスライド
のお手伝いをしていただき、3時過ぎに閉会となりました。
5時間近くの長丁場でしたが、楽しく充実した一日となりました。皆さまありがとうご
ざいました。
★「網膜色素変性症の患者交流会と講演会」に参加して
患者会の名前は「カトレアの会」で、山武健康福祉センターと中核(山武ネットエリア)
の強い後押しで立ち上げられた、網膜色素変性症の患者会です。
交流会に参加して感じたことは、保健所の担当者だけでなく、難病支援センター(成田
赤十字病院)のコーディネーター、障害者差別の広域相談員、中核(山武エリアネット)
が参加されていたことです。山武保健所と各団体との横のつながりを強く感じました。
安達先生の講演もお聞きしたかったのですが、午後から市原市で中核の障害者部会(高
梨憲司先生の講演)が予定されていたもので、早退させていただきました。本当に残念で
した。
帰りがけ、私と同じ班で初めて参加された方(ご主人が患者)の奥さまに、玄関までエ
スコートしていただきました。私が話したことで、涙がこぼれそうになったと言われ、見
えなくなっていく患者さんもつらいと思いますが、それを見守っている家族の方も、誰に
も聞けない、相談できないなど、本人以上につらい思いをされているのだと胸が熱くなり
ました。
今回気づいた点は、やはり女性のほうが自立していると感じました。ご夫妻で参加され
ていた方(二組ずつ四組)で、奥さまが患者の方は、ご主人と離れて座り、堂々と意見を
述べられ、送ってこられたご主人は、後から入室して隅のほうに座っていました。
ところが、ご主人が患者の方は、奥さまがいつも隣の席でサポートされていました。ふ
と、JRPSの一泊交流会に参加されるご夫妻を思い出しました。
「妻がいないと困るので、同室にしてください」というのは、ご主人が患者の場合。
「こんなときこそ、主人と別れて皆さんと楽しみたい」と言い、別の部屋を希望されるの
は、奥さまが患者の場合です。
今回は、JRPS千葉県支部の会員さんが地域で頑張っている姿に接し、大変心強くう
れしい気持ちになりました。各地域で、東金地区のように「患者と家族の集い」が、保健
所主催で開かれたらと願っています。
なお、当日持参した「網膜色素変性症ってなに?」の漫画の冊子が大変好評でした。
★文芸作品
「送り盆(詩)」
私だけの人になり 眠っている
夜 時々私の眠りを邪魔に来る
いつも 昔過ごした風景の中
やっと白みかけた夏の朝
よく一緒に散歩した江戸川へ
私だけの送り盆
葉らんの小舟に
魔除けの紅いほおずき 白いりんどう
小さなお弁当を積んで
そっと川面に浮かべる
ゆらりと・・・漂って 離れない
向こう岸は かすかに霞む朝もやの中
真夏の陽射にせかされて
また一人ぼっち・・・
あと一年 あなたを守って
それから 少し時間を下さい
騙されて 暮らしているうち 騙してた
「愛しき人の思い出(短歌)」
泣いたとて 先に延ばせぬべつりの日 一歩の勇気教えてくれた
伝えずに 知らぬ医院へ送る日は 背まで不安の 震え伝わる
恨めしく 睨む視線を そっと避け きっといい日があると祈りつ
笑顔消え 孤独に耐えて うつ向きつ 指先震え 空を見つめし
充分に 話し合いせず 他の土地へ 気持ち繋げし 心は残し
思いやり 残酷に変わる 病む人の 涙滲ませ 胸の奥知る
これで良い これしかないと 何回も 自分なだめしまだ振り返る
秋雨に 寒くは無いかと問われつつ 差し出す細き手をさする目は
わけも無く こみ上げる日は曇り空 心は飛んで待ち人のもと
辛き夏 過ぎても悲し秋の日々 遠くに響く 電車の音が
水車小屋 回る車に指を差し しばし故郷を 偲ぶ顔する
車椅子 歩み緩めし木漏れ日に かすかに揺れる 千草眺めて
これで良い 自分騙して行く先は 今日も馴染の ベッドの人に
まだ慣れぬ 空のベッドを手で探り そのまま目覚めし 朝もやの白
南天の 赤く染まりし葉を見つめ 交わした会話 難を転ずと
新そばの 季節知れども 食せずに 過ごす夕餉は 一人身の今
写真見て 鏡に向かえば 別人の 心現す 今の姿に
向かい合う 人居なくなり 食卓に 花飾らずや 心空し
秋の日に 鐘の音さえし 病床の 人を想えば 悲しさ募る
幾つもの 願いの中に 金婚の 日を二人して 祝えることよ
2時間を ただひたすらに 同じ事 今日も思いて 人込みの中
川べりを 射光を浴びて 歩く影 そっと手を出し 繋ぐ真似する
★VAIC−CCIの「新鮮魚介ランチ&マザー牧場秋風ツアー」に参加して
折しも駅は通勤ラッシュの時間帯で、出勤途上のサラリーマンやOL、学生たちが何事
かと、不思議顔に通り過ぎてゆく。そんなこと意に介せず、主催者であるVAIC−CC
Iの幹事さんが出欠のチェックをして、視覚障害者にVAICさんの介助者が一人ずつ付
いてバスの待つNTTビル前に連れて行ってもらいました。私の介助者はベテラン男性の
S氏(JRPSのOさん、Iさんは若い女性の介助者でご満悦でした)。よく気遣ってい
ただきました。特に観光地のトイレは暗いので、便器のそばまで案内いただき助かりまし
た。
まだ視力の残る私は、明るいところではさっさと一人で歩いてしまうので、もう少し介
助に協力をしてあげればよかったと反省しています。
バスは日の丸観光の大型バスで、障害者は窓側の席に座り、介助者は隣の通路側に座り
ました。
出席者は37名で、そのうち視覚障害者は13名(うちJRPS会員は8名)、サポー
トボランティア20名、事務局4名(カメラマン1名を含む)でした。よって、50人乗
りの座席は、最後部が空いていました。
超雨女が参加しているということで、雨が心配されましたが、どうやら曇り空のまま、
過ごしやすい気候の旅となりました。後で聞いたところでは、参加者の中に自称晴女が数
人いたそうです。だから曇り?
バスは定刻どおり8時半に千葉駅を出発し、途中道の駅「ふらり」によって、10時半
ごろ畠の真ん中にある「粕谷農園」に着き、コスモス摘みを介助者に色などを確認しても
らい、貸与されたハサミで、色とりどりのコスモスを根元から一人10本ずつ摘んで花束
にしてもらい、バスに積んだ。家までもたないかと思ったが、水に挿すと生気が戻った。
昼前に、金谷の「ザ・フィッシュ」に着き、野島崎や久里浜を遠景に望む海を眺めなが
ら刺身定食をいただく。みやげ物の買い物や散策後、1時15分に出発し、1時間ほどで
鹿野山にあるマザー牧場に到着。早速、ブルーベリージャムを作る。
鍋半分の量の、冷凍保存したシャーベット状のブルーベリーに、用意された砂糖を3分
の1入れて、強火の火に掛けてヘラでかき回しながら実を潰し、ほぼ潰れたら残りの砂糖
を入れてよくかき混ぜて更に煮詰める。かき混ぜていて鍋底が見えるようにとろみが出た
ら、火を止めて、小瓶にジャムを8分目ほど詰める。蓋をして逆さにして冷ます。後は冷
蔵庫に入れて3日で食べきるようにと、説明された。確かに甘酸っぱくて美味しかった。
続いて、3連の遊覧トラクター車両に乗って、牧場内を一周した。トラクターに乗る前
に、純白のアンゴラウサギに触れる。軟らかくふわふわした毛並みは感動ものでした。ま
さに毛並みの良さを実感しました。また、目は血のように赤く、真っ白な中に紅い点が二
つ。何と印象的でしょう。
運行中のトラクターから、何種類もの牛、羊、馬、アルパカ、ダチョウなどの生態を観
察できました。途中下車して、羊やアルパカ、アヒルに触れ合い、餌やり体験をしました。
また、牧羊犬の羊の追い込み訓練を見学して、4時25分に帰路につき、千葉駅には午
後6時ごろ戻りました。
今回の旅で、新しい仲間が増えたことを喜ぶとともに、私たち視覚障害者に対する理解
がいくらかでも深まってくれたのではと思っています。関係者の皆さん、楽しい旅をあり
がとうございました。