あぁるぴぃ千葉県支部だより93号
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★「ワークアイ・船橋」訪問記
支部だより編集委員 中込、広瀬、丸山
小雨の煙る中、3人はJR下総中山駅に集合。今回の訪問先は、日ごろ多くの会員がお世話になっている、「社会福祉法人 あかね」の就労支援施設「ワークアイ・船橋」である。
場所は、中央の改札を出て、東京方面に向かって左側の南口へ出、構内から6段ほどの階段を降りて、目の前のまっすぐ南に延びる道を、20メートルほど直進した、右側の3階建てのYSビルである。
二階の事務所で金子理事長にお目にかかり、取材の旨を伝えると、3階の部屋に通され、待つことしばし。理事長自らお茶を淹れて持ってきてくれました。恐縮しながらも、肌寒かったので、何よりのご馳走で、遠慮なく頂きました。簡単な自己紹介の後、事業内容などを中心にお話を伺いました。
「あかね」の名称の由来を尋ねると、設立に関わった方たちの名前から一文字ずつとって名づけたとの意外な答え。でも、朝日や夕陽に燃える茜空も意識してとも。
法人設立の趣旨は、「もう一度歩きたい、もう一度働きたい」という障害者の願いを叶えるために、平成8年、小規模作業所「ワークアイ・船橋」の名で、視覚障害者中心の通所型施設を立ち上げ、同時にパソコン教室を始めた。当時はAOK(高知システム)六点入力でしたが、今はウィンドウズ7を勉強しているとのことでした。
現在は、就労継続B型(定員40名)と、ワークアイ・ジョブサポートで多機能型、就労継続A型(定員21名)就労移行支援(6名)の事業を展開している。
具体的な仕事内容は、テープ起こし(録音速記)、データ入力、点字の点訳、テープ・CDなどの録音発送管理、印刷(点字、墨字)、軽作業(精密機械の清掃など)など多岐にわたる。
課題を尋ねると、財政面で運営が厳しいことと、ここを出ても就職先がなかなか見つからないことだという。
熱っぽく語る理事長のパワーに圧倒されながらも、この仕事を天職とする情熱と、どんな苦境にも真っ向から対峙するという意志力の強さ、根底を流れる人間に対する優しさに、3人とも尊敬の念を禁じえなかった。
ただ、危惧するのは、孤軍奮闘の感が否めないので、健康に留意され、ご自愛されることを祈ります。
(追記)
現在、パソコンは、視覚障害者にとって、必需品になってきたと思います。「見えない人が、どうしてパソコンができるの?」と思われている人も多くいると思います。10年前の主人もその一人でした。しかし、今は、視覚障害者向けのソフトがたくさんあることを知り、不思議がることはなくなりました。ただ、視覚障害者にパソコンを教えてくれるところは、千葉県でも数えるほどだと思います。そのひとつが「ワークアイ・船橋」です。
目から入ってくる情報を失った者にとって、パソコンはありとあらゆる情報を得ることができますし、コミュニケーションを取り合うこともできます。また、資格をとって就労に結びつくことも。
金子理事長は、障害者の相談も受けておられます。取材をさせていただいた中で印象に残ったお話は、
・自殺願望者の対処術。
・見えなくなってきたことで、会社を辞めざるを得ないと相談に来られた方と一緒に会社に行き、熱い思いで交渉され、会社を辞めることなく高い地位に就いた。
理事長は、これまで何人の命を救ってこられたのかと、改めて心より尊敬し、直接お目にかかってお話を聞かせていただけたことを、とても幸せに感じた一日になりました。
会員の皆さま、就労、パソコン講習、悩み相談など、まずは下記連絡先に電話をしてみてください。
支部だよりに、視覚障害者を支えてくださる施設を、これからも訪問し、皆さまにお伝えしていきたいと思います。
問合せ先:ワークアイ・船橋
〒273−0035 千葉県船橋市本中山 3−21−5 YSビル
TEL:047−336−5112 FAX:047−336−5114
★緑内障講演会を聞いて
船橋市 中込 孝一
10月18日(土)、四街道の視覚障害者総合支援センターちばで、午前中点字の定期講習があり、落語の「まんじゅう恐い」を何とか読み終わり、帰ろうとしたとき、川崎副所長に声をかけられ、午後から講演会があることを聞いた。四視協主催で、緑内障についての講演ということで、興味があり、昼食を取って参加した。
講師は、今回で12回目となる東邦大学医療センター大橋病院眼科医の八木 文彦先生である。長身細身のイケメンである。以前は東邦佐倉病院にいらしたとのこと。
緑内障は視野の神経が圧迫されて起こり、視野が狭くなる。硝子体の水分量が調節できないで眼圧が上がり、視神経を圧迫する。
緑内障には、急性緑内障発作というものが有り、老化現象や白内障からレンズが厚くなり、突然見えなくなったり、急激な頭痛や吐き気に襲われる。片目ずつ起きるので気付きにくい。レーザー治療がよい。ほとんどが慢性緑内障である。慢性にも2種類あって、開放隅角緑内障(ほとんどがこのタイプ)と閉塞隅角緑内障である。
緑内障の判定は、以前は眼圧が10から20までが正常で、21mmHg以上を緑内障としたが、今は、視野検査で判定する。
日本人は、正常眼圧緑内障が多い。これは、視神経乳頭緩和拡大が原因である。失明原因のナンバーワンが緑内障である。初期発見が大事。特徴として、視野欠損になり、周辺部から見えなくなる。治療は目薬で、現在4種類ある。
手術としては、バイパスを作り、水を逃がすこと。
改善法としては、電極を埋める人工網膜の作成、iPS細胞の移植などが考えられている。
(質疑)
Q1.セカンドオピニオンを主治医に切り出しても嫌がられないか心配である。いかがか。
A1.切り出しても問題ない。
Q2.小眼球はなぜなるのか。
A2.先天性のものは、妊娠中の風疹によるものが多い。また後天性では、事故やけが、手術などで起こることがある。目のダメージが強い「眼球ろう」などによる。
Q3.老化の白内障から、急性緑内障になるリスクは高いか。初期の緑内障では失明しないか。
また、慢性緑内障で白内障になった場合、手軽に手術できるか。
A3.めったに失明しないが、視野が狭くなったら目薬は効かない。
初期の緑内障なら、白内障の手術を受けてもよい。
白内障から老化で、急性緑内障には、多分ならないでしょう。
Q4.緑内障の目薬が4種類と聞きましたが、最近袋の色が変わったのですが、大丈夫でしょうか。
A4.多分同じものでしょう。目薬はやめてはだめで、一生使い続けてください。目薬が2種類で増えなければ手術の必要は無い。目薬をつけて進行しなければ、手術の必要は無い。急激に進むことは無いが、視野が戻ることも無い。目薬で視野が維持できれば、よいでしょう。
Q5.ルテインなどの目薬以外のサプリなどで進行を遅らせることは可能か。
A5.ルテインなど血流をよくするものは、予防効果としてよいでしょう。また、目薬で落ち着いていれば、リスクが大きいので手術はしないほうがよいでしょう。
Q6.白内障治療の後遺症についてですが、強度の近視改善のために手術したが、右目は視力が落ちました。後発型になった。斜視がひどく、ものが二重に見えます。白内障の手術をしたらダブらなくなりました。
A6.レーザー治療で治ります。ただ、全く元には戻らないでしょう。
Q7.飛蚊症とはどのような症状か。
A7.網膜剥離の前兆の場合もあるが、ほとんどは加齢により、硝子体の濁りによるもので治療の必要は無い。網膜剥離は、網膜の9層目と10層目がはがれるのだが、予防的手術はするが、手術しても良くはならない。
Q8.白内障で、遠近両用の眼内レンズにする手術のリスクはあるか。
A8.慣れるまで歩きづらいのと、手術代金が50万から70万円とか高額である。
Q9.辛いものは目に悪いか。
A9.オーケーです。だめなものは、タバコ。ブルーベリーは目に良いとされているが、証明されていない。酒はオーケーです。
Q10.老眼鏡について、5.5度までしか市販品がありません。これ以上度を強くしたいのですが、どうすればよいですか。
A10.あつらえれば作れます。
Q11.ベーチェット病で、視力が低下し、黄斑部が消え、隅部だけ見え、白内障の手術をしたところ、最初は明るかったが、元に戻ってしまった。今は人の顔も見えない。どうすればよいか。
A11.対策は難しい。
Q12.黄斑変性とは?
A12.緑内障は、硝子体内の水(房水)の流入が悪いために発症するが、黄斑変性は、網膜の10層目(網膜上皮細胞)の細胞の下に、VGFという新しい血管を作る作用が起こり、血管内皮増殖因子により異常な血管を作って見えにくくさせてしまうのです。今、黄斑変性症にiPS細胞を植えつけて網膜を再生させる治験が始まったが、過度な期待はしないほうがよいと思われる。網膜は10層でできていて、RPの人は、他の9層に負荷を与えるような研究をしているが、シナプスができていないので再生するのか、課題が多い。以上
★こころの豆知識
船橋市 垣田 悦子
皆さま、お元気ですか? 早いもので、もう12月です。
この師走の忙しい中、風邪を引いて寝込んでいる人はいませんか? ということで、今回は、目にもよく風邪対策にもなる一品を紹介します。
“なんちゃって、ギョーザごはん”
<材料> (4人分)
米・・・・・・・・・・・・・・・2合
マーボ豆腐の素(マルミヤのなら2本)
にんにく・・・・・・・・・・・・小1/2
ニラ・・・・・・・・・・・・・・1/2束
キャベツ・・・・・・・・・・・・2枚
ごま・・・・・・・・・・・・・・少々
<作り方>
@お米をとぎ、普段通りの分量の水を入れ、そこにマーボ豆腐の素、にんにく、生姜のみじん切りを入れて炊く。
A炊き上がったら、ニラ、キャベツを入れ、10分程おく。
B茶碗に盛り、ごまを散らす。
<効能>
今回は、ニラの成分に注目してみました。
ニラは、β−カロテンが豊富で、
・疲れ目の改善
・夜間の視力維持
・角膜を保護する働きがあり、ドライアイの予防に役立つ
・正常な視力の維持
・加齢黄斑変性や白内障のリスクを軽減させる効果
などがあります。
また、ニラとにんにくに含まれるアリシンには、
・血液サラサラ効果
・免疫力を高める
・血行促進
・抗がん作用
・動脈硬化予防
などがあります。
ビタミンB1の利用効率を高めてくれるので視神経の働きを維持したり、疲れ目対策の手助けもしてくれます。さらに、ニラには風邪の予防や症状の緩和に必要なビタミンCも多く含まれるので、冬にはもってこいの食材です。
風邪はひき始めが肝心なので、風邪かな・・・と思ったら体を温め、発汗を促す、ねぎ、ニラ、にんにく、生姜などの香味野菜をどんどん食べて、ウィルスと戦ってくれるビタミンCを多めにとり、安静を心がけましょう。動けば動く程、体内のウィルスは増殖するようですよ。
<まとめ>
風邪の原因の9割がウィルスです。インフルエンザもウィルスが原因ですが、風邪に比べて症状が重く、流行性が高いため、風邪とは別格に扱われています。ウィルスは、低温、乾燥を好むものが多いので、部屋の温度は20〜25℃、湿度は40〜50%を保ちましょう。
また、予防のために、外出時はマスクをして鼻と喉を守り、外出から帰ったら、手洗い、うがいを必ず行いましょう。ウィルスはのどの奥まで侵入する為、しっかりと上を向き、「ガラガラ」と15秒ほどうがいをするといいようです。きちんとうがいをすることにより、風邪の発症率が40%抑えられるそうですよ。では次回もお楽しみに!!
★編集後記
私は、JRPSの会員(平成20年4月入会)となって、貴女の存在を知り、恋に落
ちた。私の心を魅了するように、突然現れた貴女。
しかし、ベールに包まれた貴女は、まだ全容は見せない。私はストーカーとなって、貴
女を追いかけ薄い衣を剥がしてゆく。それでも貴女は、「パンドラの箱」に残った「希
望」のように、頑なに繭の中に閉じこもったまま姿を見せない。貴女は、そうやって見
え隠れしながら、5年間私を一喜一憂させてきた。
ところが今年になって、ようやく貴女は、最後の薄絹一枚を残すのみとなる。iPS
細胞による黄斑変性症の治験が始まったのだ。
これにより、長い間恋焦がれてきた貴女(治療法の確立)を手に入れることが、現実味
を帯びてきたのだ。
来年の未年には、すべてのベールが取れて、貴女の全貌が見られ、待望の恋が成就す
ることを願う。
(中込 孝一)
【表紙のことば】
今回家内が描いた表紙の挿絵は、クリスマスパーティーをイメージして、ケーキと2個のグラスに注がれたシャンパンにパーティーグッズのクラッカーです。本来、クリスマスとはキリストの降誕を祝う祭りですが、日本人は異文化を慣習としてしまうのが得意な民族ですね。皆さんは、クリスマスをいかにお過ごしでしょうか。また、2014年はどのような一年でしたでしょうか。
JRPSにとっては、本年は設立20年を迎え節目の年となりました。4月は、国際眼科学会の中の市民講座として「国際網脈絡膜変性フォーラム」を開催し、RPの研究と治療法の最新情報を聴講することができました。また、JRPS本部は一般社団法人を取得して、6月に「第一回社員総会」を開催し、すべての議案が賛成多数で可決され新たな一歩を踏み出しました。その翌日には「JRPS設立20周年記念式典と祝賀会」を盛大に開催し、祝賀ムードの中、成功裡に終了しました。
一方、千葉県支部では新たに「ヨガ体験教室」や「QOL講演会」を企画し、会員の健康と生活の質の向上を目的とした行事を実施し好評を得ることができました。また、毎月第二木曜日に開催している「ミニミニ交流サロン」では、RPで悩んでいる患者さんが訪れるようになり、情報交換の場として一定の成果を挙げています。
本部、支部ともに本年は充実した一年でした。しかしながら、RPの治療法が確立するまでにはまだまだ先のこととなります。自助努力は必要です。来年も、役員一同より一層
充実した支部運営に取り組みますので、みなさんのご理解とご協力をお願いいたします。
なお、ボランティアの方々を含め多くの方には、今年もたいへんお世話になり、厚く御礼申し上げます。なにとぞ、来年もよろしくお願いいたします。
では、皆さん良いお年をお迎えください。
(江澤 正広)
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