あぁるぴぃ千葉県支部だより94号


■ 投稿

★「日本点字図書館」訪問記
支部だより編集委員 中込、広瀬

 今年最初の施設訪問は、高田馬場にある「日本点字図書館」である。
 1月14日(水)、肌寒さはあるものの、陽光が差し込む中、JR津田沼で広瀬さんと待ち合わせをし、津田沼始発の地下鉄東西線に乗り込み、目指す高田馬場へ向かった。
 1時間ほど乗車し、高田馬場につくと、中野よりの階段を上り、改札を出て5番出口へ。
地上に出る階段を上り、出たら右に向かって進み、信号のない横断歩道を渡ると、小学校が角にあるので、右折して学校の塀に沿って、点字ブロックどおりに300メートル直進した左側の、何本ものステンレス製鎖が外壁に垂れ下がった、4階建てのビルが「日本点字図書館」である。
 外壁の鎖は、滝のイメージで、視覚障害者に滝のように情報を流すという意味だそうだ。
本来はこの鎖に、つる植物を這わせて、緑のシャワーを連想させるはずだったそうだが、温暖化の影響でつる植物が思惑通りに生育しなかったとのこと。
 受付で見学の旨を告げると、総務課の金木裕美子さんが応対してくださり、館内を案内していただくことになりました。
 始めに、3階の点字講習室で「日本点字図書館の歴史や事業などのレクチャーを受けました。
 創立者の本間一夫(13年前に87歳で死去)は、日本一の点字図書館にしたいという意味を込めて、「日本点字図書館」と名付けたそうである。よく国立ですかと間違えられるが、民営だそうだ。
 ちなみに、7,000冊以上の蔵書がなければ点字図書館とは呼べないそうで、全国には70の点字図書館があるそうです。
 主な業務は、点字図書(21,000タイトル)や録音図書(13,000タイトル)の製作・貸し出し、専門分野(洋書を含む)に対する対面朗読、点字教室やパソコン講習、補装具や日常生活便利グッズの販売などなど、視覚障害者のためのあらゆるニーズに応えられることを目指しているという。
 これらの業務を、職員60名(うち視覚障害者12名)、ボランティア(主に音訳、点訳など)450名で運営している。
 事業収入の主なものは、国の補助金が20%、点訳・録音の委託、用具販売、寄付金などで運営しているが、財政的には厳しいと訴える。
 説明後に、本館、別館(1、2階で本館と連絡)の各フロアを案内してもらい、地下1階の数万冊が収納されている書庫まで見る。
 最後に、1階の用具売り場を訪ね、売れ筋商品を尋ねる。1,000点ほどある各種商品の中で、今一番人気は、ニットの手袋(1,970円)で、親指と人差し指、中指の先が開いているもので、お札を数えたり、本のページなどをめくるのに便利だからとか。はめてみると、手触りが極めて柔らかいのである。他には、ガイドさんなどと二人が入れる折りたたみ傘(3,240円)で、これも手にすると軽いのに驚く。
 こうして1時間半の見学会は終了した。終始親切丁寧に応接してくれた金木さんにお礼を述べ、帰路につく。 
==いただいた資料から==
【視覚障害者へのサービス】
《貸出・配信サービス》
 ●図書・雑誌の貸出
  点字図書・録音図書、録音雑誌などを、無料で全国の視覚障害者等へ郵送などによる貸出。また、録音図書データーをSDカードなどのメディアに入れるサービス。
 ●DVD映画の音声解説CDの貸出
  映画の画面の様子を説明した音声解説CDの貸出。当館で開発した専用ソフト(無料)をパソコンにインストールすることで、自宅で簡単にDVD映画を音声解説付きで楽しむことができます。
 ●図書の配信サービス
  点字と録音図書データーを配信するサービス。パソコンをインターネットにつなげば、24時間いつでも図書を利用することができます。また、携帯電話ドコモらくらくホンを使って録音図書(デイジー形式)が聞けるサービス。
 《一人一人のニーズに応じた点訳・朗読及び本の調査》
 ●専門対面リーディングサービス
  来館可能な方を対象に医学、コンピュータ、音楽、法律などの専門図書や資料を対面で読み上げるサービス。
 ●希望点訳・個人朗読(プライベートサービス)
  全国の点字図書館にない教養図書、個人がお持ちの活字資料を、点訳または録音してご希望の形態でお渡しします。(東京都に在住、在学、在勤している方のみ)
 ●レファレンスサービス
  図書や資料の検索と紹介を行う情報提供サービス。視覚障害関係の施設・団体等のサービスの紹介。
 《教室・相談会・各種体験会》
 ●中途視覚障害者のための点字教室
  人生の途上で目が不自由になった方のために、受講者一人一人のニーズに合わせ、点字の読み書きを指導。また、生活上のさまざまな問題についての相談。
 ●視覚障害者のためのパソコン教室
  視覚障害の方も画面を音声で読み上げるソフトを使えば、インターネットやメールを使うことができます。マンツーマンでわかりやすく指導。
 ●見えにくさの相談会
  視野が狭い、視野の一部が見えにくい等の「見えにくさ」によって困っている方のための相談会です。拡大読書器やルーペの選び方をはじめ、生活上の工夫、利用できる福祉サービスの紹介。
 ●各種体験会
  録音図書再生機、点字電子機器など、最新機器を手にとって実際に使ってみることができる体験会を随時開催。
 《その他のサービス》
 ●用具の販売
  点字器や白杖はもちろん、調理器具、拡大読書器など、日常生活に便利な商品1,000点以上を取り扱う日本最大の用具販売所です。補装具・日常生活用具の給付制度も利用できます。
 ●点字図書の販売
  古典的な名著から最新の話題作までを網羅した約1,000タイトルの点字図書を販売。
 ●視覚障害に関する活字資料の収集(奥村文庫)
  視覚障害に関する著述や視覚障害者自身が著した活字資料を収集し、一般の方々へも閲覧・レファレンスサービス。
【図書の製作・図書配信サービスサーバーの保守管理】
 ●点字図書の製作
 ●録音図書の製作
 ●図書配信サーバーへのデーターアップと保守管理
 【情報の点字化・音声化・ユニバーサルデザイン】
 ●各種広報誌、カタログ、雑誌などの点字化・音声化
 ●情報のユニバーサルデザイン
 企業や地方自治体などから委託を受けて、公共施設などに設置される点字サインや触知案内図などの製作・監修。 視覚障害者にも使いやすい商品企画・モニターなどの相談。
【海外支援】
 ●アジア盲人図書館協力事業
 ●ICT奨学金事業
【館内見学について】
  曜日:開館日の水曜・金曜
  時間:@午前10:00〜 A午後1:30〜(所要時間約1時間半)
  予約先:総務部総務課(事前に予約が必要)
《問合せ先一覧》
 ●日本点字図書館に関するお問合せ
   総務部 総務課(代表)
   TEL:03−3209−0241  FAX:03−3204−5641
   Eメール: nitten@nittento.or.jp
 ●図書の貸出、図書検索
   図書情報課(直通)
   TEL: 03−3209−2442  FAX: 03−3209−2431
   Eメール :reference@nittento.or.jp(図書の検索)
 ●視覚障害者用具の販売
   用具事業課(直通)
   TEL:03−3209−0751  FAX:03−3200−4133
   Eメール:yougu@nittento.or.jp
 ●点字図書の販売、点字広報誌・カタログの製作
   点字製作課(直通)
   TEL:03−3209−0671   FAX:03−3209−0672
   Eメール:tenji@nittento.or.jp
 ●情報のユニバーサルデザインについて
   ユニバーサルデザイン推進室
   TEL:03−3209−3202  FAX:03−3209−3203

  社会福祉法人 日本点字図書館
  開館時間:午前9時〜午後5時
  休館日:日曜、月曜、祝日、夏季休館、年末年始
  〒169−8586  東京都新宿区高田馬場1−23−4
  ホームページアドレス:http://www.nittento.or.jp/

★こころの豆知識
船橋市 垣田 悦子

 JRPSの皆さん、今年もよろしくお願いします。
 皆さんは「健康寿命」って、聞いたことがありますか? 昨年、平均寿命では日本は堂々の世界1位でしたが、病気や認知症などで介護の必要のない「健康寿命」となると、ぐんと低くなります。一般に長寿国では、平均寿命と健康寿命の開きが大きく、日本は、晩年寝たきりなどになる期間が6年以上と聞くと、びっくりです。どうせ長生きするのなら、健康でなくては意味がありません。私たちRP患者は、目のことだけでも大変なのに、これ以上他の病気を増やす訳にはいきません。ということで、今回は、穴が開いていることから「先が見通せる」と、縁起の良い根菜といわれる“れんこん”を使って、健康寿命をのばし、目にもよい一品を紹介します。

    『ふわふわレンコン』
<材料>
 れんこん・・・100g   鶏挽肉・・・・30g   豆腐・・・・・1/5丁   塩・・・・・・小1/2   しょうゆ・・・小1/2
<作り方>
 @れんこんを、すりおろす。
 A鶏挽肉に塩を入れ、よくこねる。粘りがでたら、しょうゆ、豆腐、すりおろしたれんこんを入れ、混ぜ合わせる。
 B皿に入れ、ラップをかけ、レンジで3分加熱する。
 とても簡単で、美味しいですよ。加熱し過ぎると固くなるので、要注意。れんこんの食感を残したい方は、全部すりおろさず、少しみじん切りにして加えると、シャキシャキ感も味わえ、これまた美味ですよ。今日、私は、目のことを考え、β-カロテンの多い人参のすりおろしを少し加え作ってみました。これもおすすめです。こんな風に、冷蔵庫にある残り物を加え、チャレンジしてみて下さい。あれこれ考えながら料理すると楽しいし、脳の活性化にもなりますよ!!
<効能>
 れんこんの主成分は、でんぷんです。食感である粘り成分のムチンには、胃壁を保護したり、たんぱく質の分解を助ける作用があります。また、アクにはポリフェノールの一種であるタンニンが含まれ、
 ・消炎、咳止めの効果
 ・抗酸化作用
(ただしタンニンは、鉄分の吸収を妨げるため、貧血気味の人は、あまり大量の摂取は控えて下さい。)
 また、ビタミンB1、B2も含まれ、
 ビタミンB1には、
 ・視神経の働きを維持する
 ・疲れ目対策
 ・肉体的、精神的疲労回復
 ・悪酔い、二日酔い対策
 ・不眠改善
などがあります。
ビタミンB2には、
 ・目の充血改善
 ・視神経の働きを維持する
・疲労回復のサポート    
などがあります。
さらに、レモン果汁と同等のビタミンCも含まれるので、抗酸化効果もバッチリです。
<まとめ>
 健康の定義といえば、「自分で動いて自分で判断し、自分で食事ができる」こととあります。私たち患者は、可能といえば可能ですが、やはり、人の手を借りなければ生活できない面も多々あります。そんな状況の中でも、少しでも健康長寿をかなえる為に、すぐにできるポイントとして、
 @2つの動作を同時に行い、認知症予防
例えば、
 ・話しながら歩く
 ・計算しながら、そうじをする。など
 A少しのトレーニングを、毎日続け、動ける体を保つ。
例えば、 
 ・ゆっくりスクワット5回
 ・椅子などにつかまり、開眼片足立ちを、左右1分間ずつ、3セット。など
 B必要な栄養をきちんと摂る。
 ・日本人に、不足しがちな緑黄色野菜やカルシウムを毎日摂り、老化防止などがあります。健康長寿は日々の生活から育まれます。毎日、続けることが大切なので、無理なく続けられるものを見つけ、今日からチャレンジして下さい。自分の身体は、自分で守るしかないのです!!
 次回は、「花粉症について」を予定しています。今から、てん茶をのんで鼻の通りをよくし、予防しといて下さいね。

★編集後記
編集員 早川 源造

 病気の進行とともに、見え方が変わってきています。この2年ほどは、色が判別できなくなってきました。空が青いのか、曇っていて灰色なのか、区別がつきません。視力も低下したので、昔の白黒テレビのように、無彩色のピンボケで、明るい部分と暗い部分だけの世界になってきました。そのうえ、視野が極端に狭いため、物が二重三重になって見えます。
 「ひかり」がまったく無い、暗黒の世界ではないのが救いですが、再生医療の発展に「のぞみ」を大きく抱いています。iPS細胞を使った網膜移植も未だ、黄斑部のみですが始まりました。進行を遅らせる、または止める薬の登場で、色の有る「ひかり」が戻ってくる時を待てるようになることを「のぞみ」ます。
 病気そのものの治療に「ひかり」が見えてきましたが、ロービジョンケアの方面にも、近年、進展が見られます。医療機関でロービジョンケアが受けられるところも増えてきました。ハード面からは、家電製品に「音声案内」の機能がついた製品が増えてきました。高齢者対象の製品開発に依ると思われます。勿論、私たちにとって有益であることに違いありません。こういった製品を使うことで、QOL向上に「のぞみ」が持てます。「ひかり」「のぞみ」が、頻発する文章になりました。まるで、新幹線のようです。あ!! そうそう。千葉県支部の女性人には、「こまち」も多数おられます。

★【表紙のことば】
支部長 江澤 正広

 今回、家内が描いた表紙の挿絵は、春を代表する「菜の花」です。千葉県の県花で、公園や道路脇の花壇に植えられています。昔みたいに一面に咲き乱れる菜の花畑は見られなくなりましたが、南房総の和田浦やマザー牧場などには、広大な菜の花畑があるそうです。
 また、最近、人気の春の観光スポットとして、内房線五井駅から外房線大原駅まで、房総半島を横断する「小湊鉄道」と、黄色い車体から「菜の花列車」と呼ばれている「いすみ鉄道」を乗り継ぐコースは、沿線に菜の花が咲く頃になると観光客が多く訪れます。よろしければ、私が住んでいる大多喜町も通過しますので、のどかな山野の風景を感じに来てください。
 菜の花の花言葉を調べていたら、以下の文章がありました。

「豊かさ、財産」 心を支えてくれる人へ
黄色に群生している菜の花が、黄金色に輝いている景色からきた言葉ではないでしょうか。お金だけではなく、心も豊かに満たされていきたいものです。心の豊かさ、財産というと、何を思い浮かべますか? 健康、友情、夢に向かっての努力・・。
人それぞれですが、いつも心を潤してくれる人に、この花言葉とともに、菜の花をプレゼントすると喜ばれると思います。と書かれていました。
 私にとって「財産」は、JRPSです。また「心を支えてくれる人」は、JRPSの会員、学術理事、支援理事、本部事務局の方、ボランティアの方々です。だんだん見えなくなるにつれ、職場や社会から浮いた存在になっていくのを感じます。でも、私にはJRPSの仲間がいることに安堵し、心の支えとなっています。皆さんに、本物の菜の花は送れませんが、家内が書いた表紙の菜の花を、感謝を込めて送ります。
 本号をもって、家内の「挿絵」と私の「表紙のことば」は最後となります。つたない文章でしたが、長い間お付き合いいただきありがとうございました。次回、支部だより95号より、担当者が変わります。ご期待ください。


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