「大濠公園ブラインドランナーズクラブ」ブラインドランナー代表宮崎フミさんのもう一つの顔が人権教育で視覚障がいの正しい理解を広めるために活動されている小学校のゲストティーチャーです。
私たちの活動の参考となるそのテキストを紹介していただきました。
障害者に出会ったら
太宰府市 宮崎 フミ
駅や道路で白い杖(白杖)を使った視覚障害者に出会ったことのある人は多いでしょう。
しかし手助けをしたいと思ってもどうすればいいかわからず声もかけにくかったと思います。参考にして思い切って実行してみてください!
●まずは声をかけてみましょう
・「どこまで行くのですか」「何かお手伝いしましょうか」など声のかけ方は何でも結構です。そして肩や腕につかまらせてください。
・もしあなたの申し出を断ったとしても、気にしないで下さい。その場所にとても慣れているか、誰かを待っているのかもしれません。
・視覚障害者は相手の表情が分からないため必然的に声が大きくなることがあります。
●声をかけるとき・・・
・親しい人でも、誰の声かわからなかったり雑踏の中では、誰に話しかけているのかわからないことがあります。
・肩などにそっとさわったり軽くたたいたりしてください。また「Bです。Aさんおはよう」とまず自分から名乗って下さるととても助かります。
●誘導するときは・・・
・腕を掴まれたり、後ろから押されたり、白杖を持たれると、とても不安になります。あなたが視覚障害者の身体をつかむのでなく、つかまらせてください。
・誘導の基本形は白杖を右手で使っている人には視覚障害者の左側に立って右腕右肩を貸してください。こうすると安心して歩くことができます。
●道路の横断では・・・
・いきなり腕をつかまれ、道路の反対側まで連れていかれると困ってしまいます。
・「向こう側へ渡りますか?」と聞いてから肩や腕を貸して一緒に渡ってください。
・「今は赤です」「青になりました」「段差がありますよ」など言葉だけでもとても助かります。
●歩道と階段
・歩道を上がったり下ったりするときは、直前で「上がります」「下がります」と言うだけでわかります。
・階段に手すりがあれば、使った方がよいか聞いてください。そのときは手すりまで(エスカレーターではベルトまで)手を導いて触れさせてください。
●電車やバスの乗り降り・・・
・外出慣れしている視覚障害者は電車やバスの乗り降りも心得ていますが、乗り降りする直前にいきなり後ろから押されたり白杖を持たれたりすることがありとても驚き危険です。
・乗り降りのときはまず声をかけてから手助けしていただくととても助かります。
・もし一緒に乗り降りするときは、手すりに触れさせ、あなたが先に乗り降りしてください。また電車とホームのすきまの広さや高さの違い等も教えてください。
・目の前の席が空いていてもなかなか分からないものです。この場合もまず座席に掛けるかどうかは聞いてください。つかまるところがあれば、立っていたいこともあります。「ここに椅子があります。これが椅子の背もたれです。」と手を導いて椅子の背もたれに触れさせてください。
・いつのまにか列が動き、一人だけ取り残されてしまうことがあります。列が動いたときに動いたことを教えてください。
●説明の仕方
・身振り手振りだけではわからないことがあります。「このくらいの大きさ」ではなく「煙草の箱くらいの大きさ」のように、具体的な説明を入れて話してください。
・「あそこに椅子があります」とか「前の方に自転車が道をふさいでいます」と言って、方向を指さして示してもわかりません。
視覚障害者が今向いている方向を基準にして「すぐ前に折りたたみ椅子(または長椅子など)があります」とか「前方10メートル位に自転車が右側の壁に寄りかかっています」などと具体的に詳しく言ってください。
・一緒に食事をするときなどは、「手前6時の所にごはんが、9時の所にみそ汁、12時の所にお刺身、2時の所にお茶もあります。4時の所に漬け物があります」といったように時計に見立てて説明していただくとよくわかります。
●トイレでは・・・
・慣れない場所のトイレでは、中の様子を教えていただけると助かります。
・同性の場合には、一緒に入って、洋式か和式か、トイレットペーパーや水を流すレバーの位置などを教えてください。異性の場合は、その場に居合わせた人に案内を頼んでください。
●席をはずすときには・・・
・話し相手がそこに居るかどうかわからなくて空いた椅子や空気に話しかけてしまうことも珍しくありません。席をはずすとき戻ったときは知らせてください。
・待っているときなどに置き去りにされるのはとても不安なものです。たとえ短時間であっても「ここが壁です」などと近くの壁や柱、机や椅子などに触れさせてください。
●盲導犬と一緒に歩いている人に出会ったら・・・
・盲導犬に声をかけたり食べ物を与えたり、気を引くような行為はしないでください。盲導犬の仕事の妨げにならないために、暖かい心でさり気なく無視してください。
(この手引きガイドは、東京伴伴クラブ、沖縄伴ネット、北海道等「ブラインド伴走伴歩クラブ」が啓発啓蒙活動に活用されている冊子を参照にしています