あぁるぴぃ広島 24号
■図書の紹介「見えなくなって はじめに読む本」■
視覚障害の苦悩と再起…千葉の元銀行員が自費出版
原因不明の目の難病である「ぶどう膜炎原田氏病」で視覚障害者となった千葉県船橋市の稲垣吉彦さん(42)が、自らの経験をつづった「見えなくなって はじめに読む本」(B5判、113ページ)を自費出版した。
昨年2月に設立した、視覚障害者がパソコンを利用するためのソフトなどを販売する会社を経営する傍ら、執筆を続けてきた。
「だんだん目が見えなくなる中、どうやって生きていけばいいのか分からず、不安だった。同じような境遇の人たちに、参考にしてもらいたい」と話している。
稲垣さんは、大学卒業後の1988年に京葉銀行に入行。営業担当だった92年秋、ぶどう膜炎を患い、緑内障も併発した。
右目は目の近くにかざされた手が判別できる程度、左目は目の前にある手の指の数を数えられる程度だという。
著書は、「当事者の苦悩・家族の苦悩」「見えない世界を楽しむために」など全5章。発病後に離婚や銀行退職を決意し、「文字通り、お先真っ暗でどん底だった」という当時の心境や、その後の再婚や起業に至る経緯などがつづられている。
また、眼科医や看護師、福祉関係者などの専門家、あるいは専門施設が、視覚障害者といかに接するべきかについても言及。
各章ごとに、専門病院や専門施設などの関連情報も記載し、活字は一般的な単行本の数倍の大きさの22ポイント(ゴシック体)を使用した。
稲垣さんは「視覚障害者はもっと外出して健常者とも交わるべきだ。そうすることによって、最も大切な『心のバリアフリー』も浸透すると思う」と話している。
問い合わせは、稲垣さんが経営する「アットイーズ」
(東京都新宿区高田馬場1の33の13、千年ビル501、<電>03・5287・5601)へ。
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