あぁるぴぃ広島 第26号


■巻頭言 Tさんへのメール

                   会員 福山市 KO

 ようやく秋の気配が感じられるようになりました。しかしながら、今年の暑さは筋 金いりでしたね。本当に参ってしまいました。あまりの暑さに可愛い家の2匹の犬達 とまるでトドのように床に転がっていました。
 最近送られてきたTさんのメールに対しての皆さんの心あるメールに思わず反応し ます。長い間に積み重なったいろんな問題や悩みが何かをきっかけに爆発したんでし ょうね?
 私の場合は父からの遺伝で、兄と私がRP患者です。また、私の子どもや兄の子ど もにも、それが遺伝しています。つまり、子どもの立場でも親の立場でもあります。
自分自身も本当に目の事では悩みました。どちらかと言うと子どもの立場での悩みの 方が数段、楽でした。私の父は自分の目の事を周りに隠していたので、最後まで白杖 をつくことはありませんでした。ですので、50歳過ぎてからは一人ではほとんど外出 をしませんでした。私の場合は30代の後半には、かなり進行がはやかったので、白杖 をつくようにしました。
 初めて白杖をついたのは遠い土地へ外出した時です。どんなに白杖の訓練をしても 、やはり、近所や特に主人の仕事関係の人、また、子どもの関係の人の前で、白杖を つくのには最後まで悩みました。また、約3年前の姪や甥の婚礼の時には、兄と私と2 人、白杖をつく事でも相当悩みました。このように現在も多くの事を戸惑いながら生 活しています。
 目も進行性なら、障害者としても進行形です。私の母がよく話してくれたことの中 で、私が参考にしていることがあります。私が子どものことで悩みを話すと、「親と いう字をよく見てみなさい。木の上に立って見るとかくでしょ。親になったら、子ど もの言葉や行動に注意しながら、静かに見守ってやれば、いつか本人が落ち着く時が くるよ。子どもが不安を抱えている時は何も言わずに抱きしめてあげなさい。」とア ドバイスをしてくれました。家の子どももいろいろありましたが、私の白杖のことも 理解をしてくれましたし、今の私は颯爽と歩くことを心がけています。
私そのものが 子どもの目にどのように映っているのかはわかりませんが、私自身が幸せな心になれ なければ、周りの人にも理解してはもらえないと思っています。約3年前ぐらいから 、点字を始め、多くの本を読むようになりました。目が見えなくなるのを指をくわえ て待っているのは悔しいし、残された時間を思うと、不安で暮らすより、見えなくな っているからこそ楽しめそうな点字での読書を楽しもうと暇を見つけては読んでいま す。寝たきりの母の所でも、点字で歌詞を読みながら歌を歌ったり、本を読んであげ ます。入院先の看護師さんたちも私が点字の本を読んでいると「見せて。見せて。こ れで読むんだね。」と言いながら、寄ってきてくれます。母の身の回りの事も看護師 さんに聞きながら、着替えや体ふき、マッサージやおしめ交換等、自然な形で出来る ようになりました。
 Tさん、まず自分を大切にしてください。同じような経験をしている多くの仲間が います。なかなか自分の気持ちを話せる友達はいません。このメールでの仲間の言葉 には心があります。悩んだときは話してみてください。必ず、きっかけが見つかりま すよ。お互いに幸せになりましょうね。

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