あぁるぴぃ広島 53号
■巻頭言
「ご近所さんは大切」 幹事 荒尾 富士雄
今日もお出かけ
白杖スリスリ、ご近所さんに、「おはようございます。」
おっと、垣根越しに人の気配。すかさず、「おはようございます。」
先日アーバンビューへ向かって歩いていた時のことです。
自分自身の居る場所がわからなくなり、どっちへ行ったらいいのかとあちらこちらと杖でつついていると、「何かお困りですか?」と、女性の声。きっと美人に違いない。秘そかにこんな出合いも期待しているのです。
通勤していたころは道中多くの人から声かけをしてもらいました。
その内の或る人から聞きました。
「ずうっと見かけていたのですがいつ声をかけようかと思っていました。やっとできました。」と。
また、別の話しです。以前、紙屋町で声をかけてもらった人がいました。それが、自宅近くの交差点で信号待ちをしていた時のことです。
「青になりましたよ。」と、女性の声。
こんな時、ひと言ふた言み言言葉を交わすのが私の悪い癖なのです。
「ありがとうございます。初めてお会いするのでしょうか?」と言ったのです。
「いいえ。先日、紙屋町で声かけをさせてもらいましたよ。」と。
そこで、「えっ、そうでしたか。済みません。お宅の声を想い出せませんでした。」と。
これまで、わたしが声をかけてもらった人の「声のデータ」がどれくらいあるのでしょう。
すぐに出てくる人からワンテンポ置いて出る人、説明を受けて出てくる人、それでも出て来ない人といろいろです。
この日は説明を受けてはじめて思い出しました。
なんと近所に住んでいる人だったんです。
いつも遠くからまた近くから見守ってもらっているのだと気づかされます。
昨年は地域の老人会に入れてもらいました。
町内会へのデビューのつもりです。
ちょっとわたしの存在を知ってもらおうという思いもあってのことでした。
残りの寿命を思えばできるだけ地域で生きていきたいし、そうなるとお世話にもならざるを得ないでしょう。
そうはいうもののわたしも少しはお役に立ちたいと、またお役に立てることもあるのではないかと…。
ひょっとしたらわたしが町内にいること、それだけでもお役に立たないか、などと都合のよいように考えている今日このごろです。
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