巻頭言
「私の想い」 JRPS広島 会長 花田 敏文
新型コロナの影響で、今年は殆ど行事が出来ない中、10月となりました。
今後は、三密を避ける為の工夫をしながら、行事を計画して行きたいと思いますので、どうぞ無理なく参加してください。
さて、私は、社会福祉法人に勤めており、障害者福祉の仕事に携わって12年になります。
入社当時0.05あった視力は、現在0.02と手動弁までになり、視野欠損がかなり進みました。
上司が転勤されたり、先輩が退職された事で、間接的な仕事が主となっています。
職場では、毎朝出勤時に体温を測定して記録するのですが、事務所に入るとすぐに、職員が非接触の体温計を私のおでこに向けて、測定と記録をしてくれます。
タイムカードも、「タイムカードをお願いします。」と言えば、打刻してくれます。
仕事上で1番助かるのは、代読をしてくれる事で、数ページの書類から必要な情報を抜き出して、読んで貰う事もしばしばです。
本当に助かっています。
また、さりげなく通路を開けてくれたり、書類のタイトルを読みながら渡して貰える等の配慮に、いつも感謝しています。
福祉の仕事を通して学んだ事がいくつもあるのですが、最近特に思う事があります。
施設には、知的障害と精神障害の利用者が多いのですが、自分の考えや思いを上手に表現する事が出来ない人がいらっしゃいます。
利用者の方がイライラしていたり、随分無口な様子になっている事に気付いた時、「困った事は無いですか?」と尋ねても、明確な答えは殆ど得られません。
丁寧に話を聞くと、「市役所から届いた書類をどうして良いかわからない。」とか、「明日病院と銀行と買い物に行く予定だが、頭がこんがらがっている。」とか、「今月の生活費を全部使ってしまい、消耗品を買うお金が無い。」等、理由はさまざまです。
理解が難しい事や、スケジュールや金銭管理が出来ない等の、生活上の困難があるのです。
このような時、私は、ご本人が「出来る事と出来ない事」「出来ない部分をどうやって補うか」を考えます。
ちょっとした工夫や声掛けで、解決出来る事もあれば、勿論どうにもならないケースもあります。
このような事から私は、利用者の立場として、「出来ない事や難しい事の、代弁者が必要な場合がある。」という事を学びました。
2018年4月に厚生労働省は、身体や心などに障害がある人の数が、約936万6千人との推計を公表しています。
日本の全人口に占める割合が、約7.4%との事。
内訳は、身体障害者が約436万人、知的障害者が約108万2千人、精神障害者が約392万4千人。その内、視覚障害者は約32万人なので、人口に占める割合は約0.25%と言えます。
この数字には、RPであっても、障害者手帳を持たない人は含まれておりませんが、人口に占める割合が少ない事に変わりは無いでしょう。
人数の割合が少ないと、なかなか社会の理解は進まないと思いますので、私達の「生活しづらさ」を理解してくださる協力者が増える事を願いたいです。
私達RPの当事者も、出来ない事もあれば、少しの工夫で何とか出来る事もたくさんあります。
「見えない」「見えにくい」事による困り事を、今一度身近におられる方に話していただきたいと思います。
自身の視力と視野の状態を改めて知っていただくことでより身近な協力者になっていただけると思います。
その際、この後ろに代表的な視野欠損の「視野狭窄」と「中心暗転」のイラストを載せていますので活用してください。
白杖で歩いていると、信号が青に変わったら声を掛けてくださる人や、バスや電車で席を譲ってくださる人に出会えます。
優しく見守ってくださっている人に、私はいつも心から感謝しております。
協力者が増えることは将来の代弁者が増えることにつながり、私たちの生活の質の向上につながると想うのです。
【網膜色素変性症 視野欠損の例】