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その1−運動の効果−

国立神戸視力障害センター
厚生労働教官 細川 健一郎 先生

 健康は私達にとってかけがえのないもの、その健康を保持・増進するために運動が有効であることはみなさん、ご存知でしょう。運動と健康の関わりは多くの研究者によって明らかにされています。そのいくつかを紹介します。

1 運動は動脈硬化を改善する

コレステロールには善玉と悪玉があるのはご存知だと思います。悪玉コレステロールは動脈硬化を促進しますが、善玉コレステロールは動脈硬化を改善します。運動を行った人の血液を調べると悪玉は減り、善玉が増えることがわかっています。運動は動脈硬化を改善する効果があるんですね。

2 糖尿病の予備軍は10人に1人

近年、糖尿病になる人が非常に多くなり、予備軍を入れると現時点で10人に1人、2010年には5人に1人の割合になるといわれています。この病気の大きな原因は過食と運動不足です。遺伝的な要因も指摘されますが、糖尿病になる人がこんなに多くなっていることを考えると遺伝だけでは説明がつきませんね。運動を行っていれば、糖尿病になる可能性は非常に低くなります。

3 運動をすれば死亡率が下がる

 運動をカロリーに換算し、1週間の運動量(活動量)と死亡率を調べた研究があります。最も死亡率の高い群は1週間の運動量が500kcal以下の人達でした。逆に死亡率の最も低い群は1週間の運動量が3,000〜3,500kcal(1日に約400〜500kcalの運動)の人達で、1週間の運動量が500kcal以下人達の半分の死亡率だったそうです。運動している人は長生きの傾向があるんですね。

全てを説明することはできませんが、高血圧、肥満、うつ病、結腸癌、骨粗しょう症など多くの病気に対して運動が良い影響を与えることがわかっています。

 運動と様々な病気、特に「生活習慣病」といわれるものの関係を探るために、京都大学の研究チームが行ったユニークな調査があります。それは、文明社会から遠く離れたマサイ族に対する調査です。マサイ族には私達が「生活習慣病」と呼んでいるような高血圧、動脈硬化、肥満、糖尿病などは見られなかったそうです。研究チームはこの要因を豊富な運動量だと分析しています。マサイ族の1日の摂取カロリーは3,500kcal、私達の一般的な摂取カロリーは2200kcal程度ですから、1000kcal以上も多いことになりますね。それだけ食べていても肥満者は一人も見られなかったマサイ族ですから、日常的に身体活動が多いことがわかります。マサイ族ほどの運動量は確保できなくても、生活の中に運動を取り入れたいものですね。

☆兵庫県網膜色素変性症協会よりお知らせ
細川先生は、この文の内容、及び、視覚障害者の健康・スポーツなどについてご質問にお答えいただけるとの事です。
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