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その2−肥満と運動(2)−

国立神戸視力障害センター
厚生労働教官 細川 健一郎 先生

1 肥満解消のための運動

 「運動」というと「しんどい」「息がきれる」などのイメージを持っている方も多いのでは。いくら「健康のため」「ダイエットのため」といっても、「しんどい」運動を続けることは難しいのが現実ですね。

 でも、そんな運動は必要ありません。肥満解消のため、脂肪を燃やすための運動はこんなイメージとは全く逆で、「楽にできる」「息がきれない」ものが有効です。

 身体を動かすためにはエネルギーが必要です。運動強度が高く(激しい運動)なると、脂肪はエネルギーとして使われにくくなり、運動強度が低いもの(楽な運動)ほど、脂肪がエネルギーとして使われます。ただし、脂肪を燃やすためには10〜15分以上、運動を継続する必要があります。

2 運動と消費カロリー

 「運動をしても体重が減らない」体験をした方の話をよく聞きます。

 例えば、ゆっくりとしたウォーキングを60分程度続けたとします。それで消費するカロリーは200kcal、体脂肪にするとわずか20g程度。「エッ!60分も頑張って、たった20gしか脂肪が減らないの・・・」と思われるかもしれません。

1週間毎日してもたった140gだけ。そうです、脂肪はすごいエネルギーの塊なんです。脂肪1kgで約9000kcal、食事にすると約3〜4日分、そんなにすぐには減りません。「1週間で3〜5kgやせる」などの話を聞きますが、そのほとんどが水分や体内の宿便などを排出することによる体重減であり、体脂肪がなくなったわけではありません。

 肥満解消の運動は1〜3ヶ月単位で考える必要があります。

3 食事によるダイエット

 「運動はしんどいし、食事のダイエットの方が良いわ」という女性は非常に多いですね。本屋に行くと食事によるダイエット関係の本がズラ〜と並んでいます。

 「太らない(太り難い)身体」というのは、座っていても、寝ていてもどんどんエネルギーを消費してくれる身体です。これは言い換えれば筋肉の多い人といえます。逆に、筋肉の少ない人は太りやすい人ということもできます。

 食事によるダイエットのほとんどは、偏った食事を強制します。人間の身体は偏った食事ではうまく動きません。例えば、ご飯などの炭水化物を制限したとしましょう。脳はこの炭水化物しかエネルギーにすることができません。脳が動かないと死んでしまいますから、体の中でこれを作ります。このもとは筋肉です。

炭水化物を制限すると筋肉をどんどん減らして脳のエネルギーにします。ダイエットが終わり、普段どおりの食事に戻したとしましょう。ダイエット中に筋肉を減らし太りやすい身体(筋肉の少ない身体)になっていますから、すぐにまた、太ってしまいます。

 これと同様、食事だけのダイエットは身体に悪いだけでなく、失敗する可能性(ダイエット前より太ることも含む)が高いと言われています。

4 肥満解消には運動と食事

 肥満を解消するには運動は必須です。しかし、食事にも注意する必要があります。例えば、間食にショートケーキと缶コーヒー(糖分有り)を摂取すると、ショートケーキのカロリーが280kcal、缶コーヒーが100kcalで、合計380kcalとなります。これはウォーキングで消費しようとすれば1時間30分〜2時間程度、行う必要があります。友達としゃべりながらポテトチップスをバリバリ、一袋完食で500kcalなり! 

 いくら運動を心がけても、だらしない食生活では肥満は解消できませんね。

 ある大学の試みです。以下の4つを守った学生のほとんどが肥満解消に成功したそうです。

1 毎日体重をチェックする
2 朝食を摂る
3 間食は1日1品(ジュースなども1品に入る、ジュースとお菓子はダメ)
4 1日10,000歩

 最近、体重が気になる方は、やってみてはいかがでしょうか。

☆兵庫県網膜色素変性症協会よりお知らせ
細川先生は、この文の内容、及び、視覚障害者の健康・スポーツなどについてご質問にお答えいただけるとの事です。
細川先生への質問メールは兵庫県網膜色素変性症協会までお願いします。

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