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視覚障害者のスポーツ その1−パラリンピックのスポーツ−

国立神戸視力障害センター
厚生労働教官 細川 健一郎 先生

 アテネオリンピックの興奮が覚めるまもなく、アテネパラリンピックが開催されました。約140カ国・地域から4000名の選手が参加、日本からも160人の選手が派遣され、連日、熱戦を繰り広げています。

 パラリンピックでは19競技が行われます。視覚障害者が参加できる競技は陸上、水泳、柔道、自転車などの競技。中にはゴールボールのように視覚障害者独自の競技や5人制サッカーのように視覚障害者だけが行う競技、セーリングのように切断、視覚障害など違った障害を持つ人がチームを組んで出場するものもあります。

 さて、これらの競技をご存知でしょうか? 今回はパラリンピックで行われている競技のいくつかを簡単に紹介したいと思います。

ゴールボール
国際的に最も盛んに行われている視覚障害者のボールゲームです。前後半10分、合計20分で競技されます。コートは9m×18m(6人制バレーボールと同じ大きさ)、一番後ろのラインがゴールになっています。1チーム3名(アイシェード(目隠し)着用)で音源入りのボールを転がしあいゴールをねらいます。国際的には1946年より行われています。国内では1994年に全国大会が実施され、現在は西日本、東日本大会も実施されています。アテネパラリンピックに日本女子チームが出場しています。
タンデム自転車
二人乗り自転車。前にパイロット(晴眼者)、後ろにストーカー(視覚障害者)が乗り競技されます。トラックレースとロードレースがあります。国内では1990年から組織的な活動が始まり、現在は全日本大会が実施されています。アテネパラリンピックには2名の視覚障害者が参加しメダルをねらっています。
視覚障害者サッカー
主にフットサル(5人制サッカー)のルールで実施されます。B1(全盲)クラスの部では20m×40mのピッチを使い、前後半各25分で競技されます。4名のフィールドプレイヤーはアイマスクを着用、音源入りボールを使用し競技します。キーパーは弱視、または、晴眼者が行うことができます。ゴール後ろのコーチがプレイヤーへゴール位置などを指示することができます。現在のIBSAルールの原型は1980年頃にスペインで考案され、国内では2002年より全国大会が開催されています。
ブラインドセーリング
視覚障害者2名と晴眼者2名の4名でヨットを操作します。クラスは視力によりB1、B2、B3に分かれて競技されます。パラリンピックでは視覚障害者と晴眼者でチームを組むセーリング競技ではなく、他の障害者と一緒に視覚障害者がチームを組む形式(クルーボート)が行われ、日本からも参加しています。ブラインドセーリングは世界的には1980年後半にニュージーランドで始まったとされ、日本では1998年から日本選手権が実施されています。
柔道
日本のお家芸、柔道はパラリンピックでも行われています。相手を手で確認してからはじめる方法以外は一般の柔道と同様です。視力によるクラス分けはなく、体重別で競技されます。今年から女子の部が開催されています。

 以前は障害者スポーツと言えば新聞の社会面に掲載されていましたが、最近はプロ野球や相撲と同じスポーツ面での掲載になり、うれしい限りです。

☆兵庫県網膜色素変性症協会よりお知らせ
細川先生は、この文の内容、及び、視覚障害者の健康・スポーツなどについてご質問にお答えいただけるとの事です。
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