<講演と実習>
テーマ1: 白杖の基本について
講師 :岡山ビジョン・リハビリテーションインストラクター協会(旧:岡山県歩行訓練士会)
今回は視覚障害者の歩行技術の1つである白杖の基本操作について実習を中心に行いました。
講習会参加者は当事者の方が11名でした。
1.白杖について(担当:岸)
(1)歩行訓練士の仕事について
歩行訓練士は定位技能(自分のいる場所を知り、周りの環境の目印や手がかりを有効的に利用すること)と移動技術(自分で安全を確保し、移動できること)を効果的に組み合わせて目的地に安全、確実に移動する訓練について紹介しました。
また、白杖を持つことは自立した自分の人生への出発点であり、専門家の訓練を受けることは自立した人生を始めるためには効果的な方法と考えています。歩行訓練士は視覚に障害がある人の自立を支援することをお話ししました。
(2)白杖について
白杖の白色または黄色である意味、法律的(道路交通法)では目が見えない者(見えにくい者も含む)は道路を通行するときには白杖を携帯しなければならないこと、白杖の3つの役割(安全性の確保、情報の入手、視覚に障害がある人としてのシンボル)、白杖の種類(直杖、折りたたみ杖、体を支える杖)、白杖の構造(石突き、シャフト、グリップ)、白杖の長さは歩行訓練士と相談して選ぶことが望ましいことについて紹介しました。白杖の購入は「日本ライトハウスエンジョイグッズサロン」、「日本点字図書館用具部」、「ジオム社」、「日本盲人会
連合用具購買部」等で購入できることや、身体障害者手帳があれば役所に申請すれば補助を受けることを紹介しまいた。
2.実習:白杖操作について(担当:岸、長尾、正条)
構え方、防御の姿勢、静止しての白杖操作(タッチテクニック、スライド法)、直線歩行、リズム歩行、スライド法、ガイド時の白杖の持ち方について実習を行いました。
※岡山ビジョン・リハビリテーションインストラクター協会のご案内
平成21年4月から岡山県歩行訓練士会の名称が、岡山ビジョン・リハビリテーションインストラクター協会変更になりました。当会は視覚に障害ある人に「自立」そして「自由な社会活動」をしていただけるよう、視覚に障害 ある人のリハビリテーション・インストラクターとして支援します。 また、視覚障害リハビリテーションの知識や技術、技能の啓蒙・普及に努めたいと考えています。(岡山ビジョン・リハビリテーションインストラクター協会 長尾)
テーマ2:ヒューマンガイドテクニック
講師 :岡山ビジョン・リハビリテーションインストラクター協会(旧:岡山県歩行訓練士会)
今回は視覚障害者の歩行技術の1つであるヒューマンガイドテクニックについて実習を中心に行いました。
講習会参加者は19名、内訳は当事者の方が3名、支援者・家族が16名でした。
1.ヒューマンガイドテクニックについて(担当:岸)
(1)歩行訓練士の仕事について
視覚に障害がある人の歩行は困難な行動、理解されにくい困難を背負っての歩行になるため、ガイド側はもちろん、当事者の方の訓練も必要になります。その訓練を担当しているのが歩行訓練士であることを紹介しました。また、ヒューマンガイド法の訓練を受けることは、能動的な行動を獲得し、自立への一歩でもあり、よりよい人生にするためであることをお話ししまいた。
(2)ヒューマンガイド法の基本について
ガイド法の基本姿勢では当事者の能動的な歩行を促すことが重要で、例えば、ガイド者の肘からの情報から環境を知る、ガイド者からの視覚的な情報を積極的に活用する、当事者の安全確保のためには半歩後ろを歩くことなどをお話ししました。
ガイド者の心構えとしては二人分の肩幅を意識することや安全性の高い側の歩行の大切さ、適切な言葉かけ(場面の説明・相談)、当事者にメリハリのある行動を相手に伝えることの重要性についてお話ししました。
2.実習:支援者・家族グループ(担当:岸)、
当事者グループ(担当:長尾、正条)
支援者・家族グループではヒューマンガイド法の基本(基本的姿勢、狭所、サイドチェンジ、階段昇降)や質疑応答、情報交換をしまいた。
当事者グループでは現在のガイド歩行の状況や生活環境が異なるため、よく話を聞きながらそれぞれの方の必要なポイントにしぼりながら練習をしました。
(岡山ビジョン・リハビリテーションインストラクター協会 正条 智広)
<ガイドボランティア養成>
アイフェスタ当日の午前、ガイドボランティアとして参加して下さる方々に対して、ヒューマンガイドテクニックの実習の指導をお手伝いさせていただきました。参加者は34名でした。
内容はガイドの基本姿勢、歩行者への声かけ、狭所の移動、椅子への誘導、トイレのガイド、部屋の様子などの視覚情報の伝え方などの講話と今回のガイドボランティアに必要な技術を、ペアになって実習をしました。特に階段昇降では安全面への配慮がより必要になるため時間をかけました。短時間であったためそれぞれの技術に十分な時間を割り当てることは難しかったですが、私も参加者の一人と実技をさせていただきながら周りの参加者の方の動きに目を配り、安全への配慮を第一に助言させていただきました。
(岡山ビジョン・リハビリテーションインストラクター協会 正条 智広)
<パソコン体験コーナーを担当して>
晴天に恵まれた春の日曜日、私たちゆうあいネットPCVOLの会員は、2年ぶりのアイフェスタで、パソコン体験コーナーを担当させていただきました。会場は気温の上昇と参加者の熱気により、お昼頃にはかなり暑くなっていました。パソコン体験に来られた皆さんは、遊び半分ではなくパソコンで何かをしたいという目的を持っておられる方ばかりで、たった30分間の体験でしたが、メモや録音を取りながら真剣に私たちのサポートを受けておられました。
インターネットの視覚障害者向けのサピエ図書館が4月からオープンしたということもあって、やはりそれについての質問が多かったように思います。私がサポートさせていただいた、ある中途視覚障害者の男性は、パソコンを使えばサピエ図書館で好きな読書を楽しむことができることを知って、とても喜んでおられました。
視覚障害は「情報障害」とも言われます。特に中途失明者の中には、今まで親しんできた小説や雑誌や新聞などを読むことができなくなることで落ち込んでおられる方も多いでしょう。しかし、少し高いですがパソコンを購入し、プロバイダと契約すれば、いろんな本をインターネットからダウンロードして読むことができますし、新聞記事も好きな時に興味あるものを読むことができます。
私たちゆうあいネットPCVOLは、岡山県にお住まいの視覚障害者の皆さんがパソコンやインターネットを利用できるようにサポートしています。これからも皆さんの生活がより豊かになるようにサポート活動に取り組んでいきたいと思います。
(ゆうあいネットPCVOL 原 広三)
<パソコン体験コーナーの感想>
4月25日のアイフェスタで音声パソコン体験会に参加しました。おおぜいのかたが来て体験をしていただきました。私はH.Fさんと体験のお手伝いをしました。パソコンを持っておられなくてあまりパソコンもさわったことがない方がほとんどでした。お話を聞いていて、キーから文字入力をするのがかなりハードルが高いのだと感じました。
体験をしてもらって感じたことが3つほどありました。
1つ目は、インターネットをするには検索には文字入力が必要です。メールの体験も文字入力です。確かに、マウスを使わないでパソコンを使うには文字入力は基本ではありますね。体験を見ていて、文字入力は何とかならないかと感じました。パソコンの体験だけでなく初歩のパソコン講座でも4日ぐらいでは文字入力はできるようにはならないでしょうね。最初は文字入力の少ないソフトで何かができることを知ってもらいたいと思いました。
2つ目は、パソコンを始めるにはどれくらい費用が掛かるかがわかるようにしておきたかったと反省しています。パソコンの本体の費用、必要なソフトの費用、通信回線の費用などです。
3つ目は、パソコンをしたいと思った時どうするか。このアドバイスはこうすればパソコンが使えるようになりますと言えるものが思いつきませんでした。ある程度は講座で知識を得て後はパソボラのような会へ出席などをして自分で練習するぐらいでした。
以上が私の反省と感想でした。今度の私の体験は自分のパソコンの支援のために勉強になったと思います。自分だけでは解決しないことはみなさんと少しでも前に進めるようにしたいと感じました。
(T.K)
<「アイフェスタ 2010 in おかやま」での盲導犬体験歩行>
岡山県には、日本にある9つの盲導犬育成団体のうち6団体(日本盲導犬協会・アイメイト協会・中部盲導犬協会・日本ライトハウス盲導犬訓練所・関西盲導犬協会・兵庫盲導犬協会)出身のユーザーがおられますが、「岡山県盲導犬友の会」として横のつながりを持ちながら活発に活動されている方が多いように思います。
関西盲導犬協会が「アイフェスタ in おかやま」の会場で盲導犬体験歩行をさせていただいて今年で3回目となりますが、いつも岡山県盲導犬友の会の皆さんが会場に詰めてくださり、体験歩行をした方に、盲導犬との生活のメリットやデメリットなど、ユーザーならではの視点からいろいろと話をしてくださっています。この会場での体験をきっかけに盲導犬ユーザーになられた方もいます。
これまでアイフェスタの会場で体験歩行をされた方のうち「初めて盲導犬と歩いた」という方は85%。そして、体験された方の多くが「楽しかった」「気楽に歩けた」「気持ち良かった」といった感想を持たれたようです。しかしその一方、「ぜひ盲導犬を使用したい」と回答したのは15%。盲導犬の使用を積極的に考えていない理由として、「犬の世話が大変そう」(35%)、「保有視力で安全に歩行できているから」(20%)、といった理由があげられています。
昨年度、盲導犬ユーザーとなられた網膜色素変性症の方は、「盲導犬をもつことにした、というと周りの人は口をそろえて、そんなに視力が低下してたの、と聞いてくる。もっている視力と盲導犬を併用すれば、すごく楽に歩けるっていうことをなかなか理解してもらえない」と笑っておっしゃっていました。
今年は小学生から60才代まで幅広い年齢層の方に体験していただきましたが、6名とちょっと寂しい盲導犬体験コーナーでした。百聞は一体験にしかず。まだ盲導犬と歩いてみたことがないという方は、ぜひ次回のアイフェスタで体験してみませんか。
財団法人 関西盲導犬協会
〒621-0027 京都府亀岡市曽我部町犬飼未ヶ谷18-2
TEL.0771-24-0323 FAX.0771-25-1054
E-mail info@kansai-guidedog.jp
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/kgdba/
(財団法人 関西盲導犬協会 久保 ますみ)
<「アイフェスタ2010 in 岡山」における「メークセミナー」を開催させていただいて>
「アイフェスタ2008 in 岡山」に引き続き、弊社にご依頼いただきメークセミナーを開催させていただきましてありがとうございました。
今年度は、女性8名(午前4名・午後4名)に参加いただきました。
奥村様をはじめJRPS岡山支部の皆さまが、メークセミナー開催について事前に呼びかけていただいており、当日参加された方は、名刺サイズの予約券を持って、メークセミナー会場にご来場いただきました。予約券にはとても可愛いマスコットが描かれており、JRPS岡山支部さまの配慮が感じられ素晴らしいと思いました。
セミナーの内容は、スキンケア(素肌の基本的なお手入れ)の方法から、メーキャップで肌色や、アイシャドー、アイブロー(まゆ毛の演出)、口紅などそれぞれの使い方や色選びをご紹介し美しくして変身いただきました。更に、仕上げに頭皮をすっきりさせる育毛料を使いヘッドマッサージ、ヘアスタイリングと、最後は「ばらの香り」を楽しんでいただきました。
参加いただいた皆さまは化粧への関心が非常に高く、いずれのプロセスも私たちセミナー担当者が、まず使い方をご紹介した後、参加された方々自身で実践いただきました。その際、皆さまが上手に手を動かしていらっしゃったことに感動しましたし、メーキャップの仕上がりもとても綺麗でした。セミナー終了後、皆さまそれぞれ笑顔でお帰りになっていかれる様子を拝見し私たちも嬉しく思いました。
また、前回のアイフェスタでもメークセミナーに参加下さったKさまと再会することができました。私は年間数多くのメークセミナーを担当しておりますが、そこでお会いする皆さまとは「一期一会」ですので、このように再会することは滅多にありません。そして、Kさまから前回メークセミナーで覚えていただいた「まゆ毛の描き方」等を実践されていらっしゃると伺い、本当に嬉しかったです。更に、久保さまがライフワークとされているマラソンを続けていらっしゃったことや、小学生の2人のお孫さまも伴走者となりご一家で走っていらっしゃることを伺い、とても微笑ましく素晴らしいと思いました。
私共資生堂は本業である「化粧」を通じて多くの方に美しさと元気をお届けできればという思いでセミナーを開催させていただいておりますが、逆に参加いただく皆さまとの出会いの中で沢山の元気をいただいております。
私にとって、今回のアイフェスタ2010in岡山は、晴天にも恵まれさわやかな春風を感じ、そして素敵な皆さまに出会えたそんな素晴らしい1日でした。本当にありがとうございました。
(株式会社資生堂 CSR部 舘 真寿美)
<交流スペース>
今回もアイフェスタに交流スペースを開設しました。大きな会議室の真ん中に、長いテーブルを置き、その左右に小テーブルを置きました。
アイフェスタも3度目で、交流スペースは毎回好評なので、回を重ねるごとに、どんどん設置する部屋が広くなります。
交流スペースは、お知り合いと談笑する人、待ち合わせをする人、次の講演まで待っている人、JRPSの役員と相談事をしている人と、大変にぎやかになり、見る間に席はうまりました。50名分くらいの席は用意したのですが、お昼どきには、一杯になりました。
メニューは、熱いコーヒー、紅茶、ココア、煎茶、抹茶、冷たいお茶、ウーロン茶などでした。当日は好天に恵まれたこともあって、冷たい飲み物もよく出たと思います。
ボランティアでお手伝い下さったのは、常連の「朗読ボランティアグループふらここ」さんと、初参加の「岡大茶道部有志」の皆さんでした。ありがとうございました。
(JRPS岡山県支部事務局 K.M)
<視覚障害サポートボランティアレポート>
今回は大学生になって初めてボランティア活動に参加させてもらいました。目の見えにくくなっている方の館内の案内やサポートと言った活動内容でした。 僕自身、年々視力が低下していて、1ヶ月前には網膜に異常があったらしく左目にレーザー手術を受けていたので、目に関して困っている方のサポートが出来ればと思っていました。ですが、正直ボランティア活動と言っても自分が誰かの役に立つことができるのかどうか不安でした。
今回はボランティアの初心者ということで、講習会で学ぶところから始まりました。中には大阪からボランティアに来ている人もいれば、普段はこういったボランティア活動を企画する側だけれども、今回はサポートする側になりたいと思って来られている社会人の人もいました。
基本的にボランティアは相手のためになればいいのではと思っていましたが、具体的に注意しなければいけないこと、例えば、今回は案内でしたが、コミュニケーションや階段、イスやトイレへの案内など技術的なことを自分は全く知らないんだと思いました。まして、実際に体験的に学んでみると、頭ではわかっていたことでも、どうしていいかわからなくなったり、うまく相手に意思が伝わらなかったりして難しいものでした。
そういった、大丈夫なのかなといった状態のままアイフェスタが始まりました。受付のフロアにはすでに大勢の方がいました。午前中は総合受付への案内をしていましたが、白杖を持っている人や盲導犬を連れている人、家族にサポートしてもらっている人など、さまざまな人が来られていました。JRPSの方にもいろいろと話を聞かせてもらいましたが、岡山県外からも訪ねてこられる方も多く、この日を楽しみにしていたという方もいるとのことでした。こちらから積極的に話しかけていくことがボランティアをするには大切な事なんだなと思います。
午後からは1人の男性を案内させてもらいました。不器用な案内になってしまったかもしれませんが、サポートになったのであれば幸いです。休憩時間なども一緒にお菓子を食べたり、話をしたりしていましたが、今回の福祉機器展を楽しみにしていたというよりも、こういった人との交流を楽しんでいるという印象を強く受けました。実際に、視力に障害を持ってからは人と話す機会が少なくなったり、目が見えにくいから楽しいことが少なくなったりとも聞かせてもらいました。辺りにはソファーに座って、本当にいろいろな人と会話を楽しんでいる方が多かった
です。その方は福祉施設でリハビリを受けていたこともあったようですが、自分と同じような人たちと交流ができ、友達ができたことが施設に入って一番大きかったことと話していました。
今回のアイフェスタを通して思ったのは、人と人との交流の大きさを強く感じたということです。こういう機会をもつのはなかなか難しいことかもしれないけれども、いろんな人が集まる場をもつというのは大切な事だと思います。ボランティア活動に限らず、多くの人との交流を楽しむ、あるいは経験するのはより良く生きるということにつながっていくのではないかと思います。
(E.Y)