RP−net川柳会
「もやい傘」
[2022年3月の課題]




[更新日 : 2022年2月28日]



[3月の課題] 

 昨年の10月に退陣した菅・前総理の辞任劇を一言で表現すれば「四面楚歌退陣」
と言われるが、「四面楚歌」とはどういう意味合いだろうか。よく使われる四文字熟
語だが、誤って理解している人が多いのではないだろうか。
 辞書には「周囲がすべて敵や反対者で、まったく孤立して、助けや味方がいないこ
と。孤立無援」とあります。これはよく理解されているところです。
 出典は、『史記』項羽紀。楚の項羽が漢の高祖に敗れて、垓下(がいか)という所
で包囲された時、夜更けに四面の漢軍が盛んに楚の歌を歌うのを聞き、楚の民がすで
に漢に降伏したと思い絶望したという故事からですが、敵は楚と思っている人はいま
せんか。敵は漢ですよ。

 ところで、司馬遼太郎の作品に『項羽と劉邦』があります。勇猛さでは不世出の武
人といえる楚の項羽と、戦下手だがその人柄によって周囲を賢人に恵まれ最後には天
下を手にした漢の劉邦。秦末の始皇帝の死から書き起こし、2人の英雄を軸として数
多の群像の興亡を語り、項羽の死を最後に筆を置いている。 

 さて、四面楚歌退陣の菅・前首相後を襲った岸田文雄首相は、10月の総選挙で大
方の予想を裏切って、自民党単独過半数の議席を確保したが、内政・外交ともに課題
が山積し前途多難である。どういう国の梶取りをするのだろうか。

※1 劉邦〜前247〜前195。前漢の初代皇帝。在位、前206〜前195。廟号は高祖。始皇
帝没後の前209年、陳勝・呉広の乱を機に挙兵。項梁・項羽と連合して軍を進め、項
羽に先立って咸陽を陥れ、漢王に封ぜられた。さらに前202年、項羽を垓下(がいか)
の戦いに破って天下を統一、長安を都として漢朝を創始。
※2 項羽〜前232〜前202。秦末の武将。叔父項梁とともに兵を挙げ、漢の高祖(劉邦
)と協力して秦を倒し、楚王となった。のち、劉邦と天下を争うが、垓下(がいか)の
戦いに敗れ、烏江(うこう)で自殺。
※3 虞美人(ぐびじん)〜楚王項羽の寵姫。垓下(がいか)で漢軍に包囲されたとき、
頸部を切って自殺。
※4虞美人草〜ヒナゲシの別名。虞美人が自決したときの血が、この花になったとい
う伝説がある。
※5 虞美人草〜夏目漱石の小説。明治40年(1907)発表。自我の強い高慢な女藤尾を
通して、利己と道義の相克を描く。

 それでは、例によって上記の中から出題します。

■2022年3月(No.128) 
題:「味方」 (航太郎 選) 
題:「最後」 (かずよ 三小田静男 選) 
題:「周囲」 (進 選) 
 (各題2句出し)
◎今月の締切:3月24日(木) 正午必着




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