「家族の理解と障害者支援」 |
(福)愛光相談援助室 室長 高梨 憲司
先日、遺伝性の疾患を持つ全盲のご夫婦から、出産問題の相談を受けました。おじいちゃん、おばあちゃんは、全盲の子どもたちが赤ちゃんを育てるご苦労、そして遺伝するかもしれないことを考え、出産に大反対でした。これが親心だと思います。
ご両親になる全盲のご夫婦も、出産すべきかどうか、私に相談にきました。私はご夫婦に質問しました。「あなたは、この世に視覚障害として生を受けたことを悲しんでおりますか?」。彼らは答えました。「悲しんではおりません」。私は言いました。「ならば、大切な命、喜んで出産すべきではないか。生まれてくる赤ちゃんに、もし遺伝があっても、おそらくご本人も、きっといつの日かこの世に生を受けたことを感謝するだろう」と。
かつてヘレン・ケラーが、「障害とは不便なものである。しかし決して不幸なものではない」とおっしゃったそうです。たしかに、障害にあうということは、悲しいこと、苦しいことです。しかし、皆さんは今日、このRPの世界会議に出席し、この雰囲気を感じて、どう思われていますか? おそらく、RPにならなければ、こうしたすばらしい体験を得ることには ならなかったのではないでしょうか。
障害を負うことによって、失うものはたくさんあります。しかし、それ以上の大きな喜びを得ることもたしかです。障害とは、よく個性だと言われます。しかし誰もなりたがらない個性で、マイナスの個性だと思います。でも、マイナスの個性であっても、人にはない個性である以上、それを生かさない方法はありません。自分がめぐりあった障害を、いかにプラスの個性として生きるかということが大切なことではないかと思うのです。これは、私たちが心豊かな生涯をいかに送るかという意味では、むしろ大切な栄養素をもらったように思います。
最後に、これからのリハビリテーションの課題について五点挙げておきます。一つは、地域リハビリテーションをいかにシステム化するかということです。広い国土に何カ所かの拠点があればよいというものではありません。自らの地域で、地域の実情にあった支援体制がつくられることが望まれます。
二つめは、家族支援プログラムの導入です。障害の克服は、本人、家族、それぞれに必要だということです。とくにRPの場合、子どもに対する支援プログラムはきわめて重要だと考えます。仲間の集まりも必要でしょう。家族で語り合うことも必要でしょう。しかし、家族だけでは語り合えない問題もあります。仲間の活動を深めることによって、他の家族から学ぶというプログラムが重要ではないかと思います。
三番目に、社会資源の開発と社会参加をするための支援体制の整理です。さまざまな当事者による活動は、大切な要素です。しかし最も大切なことは、国民が統合することです。身近な地域で、一般の人たちのサークル活動に自由に参加できるサポート体制がきわめて重要だと考えています。