あぁるぴい医療情報                        

 このコーナーはホームページ担当理事がインターネットと新聞から収集した情報の中から、私たちが興味を持てそうなものを選び、著作権を侵害せぬよう要約してお伝えしています。なお収集したものはJRPSのホームページで読むことができます。

●11月18日、再生医療に大手が続々参入
 −歯、血液、皮膚・・・毛髪まで 国内市場5兆円ー

 医療機器メーカー日立メディコ(本社・東京)は今年6月、名古屋大との共同研究で歯の再生事業に参入すると発表した。歯の一部の細胞から歯の基になる「歯胚(しはい)」を再生することで、本物の歯と同じ機能を取り戻す。セラミックスなどの人工歯と違い、神経が伸びて感覚が戻るため、本来のかみごたえが得られるほか、虫歯になれば痛くもなるという。乳歯、永久歯の次に「第3の歯」ができることになり、高齢化の進展に伴う需要増は確実だ。日立メディコは2007年に商品化し、2010年に100億円の売り上げを見込む。

 このほか、キリンビールは今夏、京都大学と共同で血液の再生事業に着手し、田辺製薬も京大と共同で血管再生の基礎研究に乗り出した。また、やけど治療などに用いられる培養皮膚については、愛知医科大学と研究を進めているメニコンが2005年の厚生労働省認可を目指している。

 また、米企業との提携や技術買収の動きも目立っている。医療機器メーカーのテルモ(本社・東京)は9月、米ベンチャー企業と提携し、心筋再生の事業化に参入。心筋こうそくなどで心筋細胞が壊死(えし)した際に、筋組織に育つ細胞を注入して心筋機能をよみがえらせるものだ。

 開発中の補助人工心臓と組み合わせれば、移植に頼らなくても重度の心疾患治療に道が開けることから、テルモは「将来、事業の柱の一つになり得る」と期待している。2004年に大学病院などで臨床試験を始め、2008年に事業化したい考えだ。2010年代前半には100億円程度の事業規模を目指すという。

 また、アデランスも今年6月、米企業の技術を買収し、ロサンゼルスに新会社を設立して毛髪再生に取り組み始めた。毛根細胞を培養して「タネ」を作り、それを頭皮に植えて再び頭髪を生えさせようとの試みだ。


●11月28日、自分の細胞培養し角膜再生

 自分の目の角膜の細胞を培養して角膜をシート状に再生させることに、大阪大病院眼科の西田幸二講師らのグループが成功し、角膜表面が損傷した患者に移植する臨床試験を12月から始める。口の粘膜から採った細胞からも同様に再生することを動物実験で確認しており、慢性的に提供が不足している角膜移植に代わる可能性を持つ治療法として期待される。

 グループは、岡野光夫・東京女子医科大教授らとの共同研究で、培養に用いる薬品や温度を工夫。角膜の上皮に含まれる幹細胞(角膜組織のもとになる細胞)をシャーレで増やし、薄いシート状に再生させることに成功した。

 ウサギの片目に再生させた角膜上皮を移植し、3カ月ほど観察したところ、手術後の炎症がおさまるにつれて透明性が増し、はがれることもなかった。口の粘膜の細胞を培養しても、ほぼ同じ成績が得られた。すでに学内の医学倫理委員会が臨床応用を承認。化学薬品が目に入って角膜が傷つき、視力を失った患者ら約10人を対象に移植を行なう。

 西田講師は「眼球表面にしばらく置くだけで生着するので、手術も難しくない。拒絶反応の心配もなく、従来の角膜移植の欠点も克服できるはずだ」と話している。


●12月15日、内耳「有毛細胞」を再生、動物実験で京大チーム成功

 音を聞き取るのに重要な役割を果たす内耳の「有毛細胞」を再生させることに、

伊藤寿一・京都大教授らの研究チームがネズミの実験で成功した。聴力回復に新たな可能性を開く基礎研究として注目される。

 音は鼓膜から内耳にある蝸牛(かぎゅう)という渦を巻いた管状の器官に伝わる。中はリンパ液で満たされ、その振動を1万個以上の有毛細胞が電気信号に変換し、聴神経を通じて脳に伝える。 

 難聴には中耳が原因の場合と内耳が原因の場合がある。薬の副作用や騒音で聴力を失った場合、大半は有毛細胞が損傷している。先天性の難聴でも、有毛細胞の変異が多く確認される。

 研究チームは、ネズミの有毛細胞を人工的に壊し、蝸牛に穴をあけて神経のもとになる神経幹細胞に発光物質を組み込んで注入、再生するか観察した。その結果、有毛細胞が存在する溝に、光る細胞が1%未満だが入り込み、有毛細胞の形になった。

 蝸牛のリンパ液は、電位差を作るために、体内の他の部分に比べてカリウム濃度が極めて高く、細胞を人工的に入れても生き延びるのは難しいと考えられていた。まだ再生の効率が低く、難聴を治療できる段階ではないが、幹細胞の活動が確かめられたのは初めて。

 伊藤教授は「幹細胞を有毛細胞に分化させる物質を見つけるのがカギ。5年後の臨床試験を目指したい」と話している。