市民公開講座報告


あぁるぴぃ編集局

 2月1日(日)、東京都千代田区の国際フォーラムにおいて、「実用化間

近い人工視覚」というテーマの市民公開講座が開催されました。主催者側

も驚くほど多くの参加者で会場は埋めつくされ、人工眼や人工網膜の研

究に対する関心の高さがあらためて感じられるイベントとなりました。

 今回の公開講座では、現在研究に取り組んでいる3名の先生が、それ

ぞれの立場で人工視覚に関する研究、実用化に向けての取り組みや展

望についての講演を行ないましたが、講演後の質疑応答でも、一日も早

い実用化への期待が多く寄せられました。

 今回の講演を収録したテープを、本部のテープライブラリにて頒布してお

りますので、講演の詳細、専門的な内容について知りたい人は、お問い合

わせ下さい。

[講演テーマ]

1 「網膜と人工視覚」三宅 養三(名古屋大学医学部眼科教授)

2 「工学サイドから見た人工網膜の展望」

    八木 透([株]ニデック 人工視覚研究所所長)

3 「医学サイドから見た人工網膜の展望」

    不二門 尚(大阪大学医学部眼科教授)

[講演の内容から]

 視覚の情報を電気信号に変換して、脳や目に関連する神経へ、その電

気信号を与える。そうすると、その信号が最終的には頭のほうに伝わって

、見えたと感じることができる。すなわち、視覚系の神経の電気信号で失

われた視覚を再建する人工臓器。これが人工眼、人工視覚。実用化当初

は、電光掲示板のような非常に粗い画像が人工眼で得られると思われる



 人工的な手段で脳を刺激したり視神経を刺激したり網膜を刺激したりす

るというものに関しては、2010年くらいをめどに研究を進めている。ただ

し、仮に2010年に実用化になっても、実際に患者の手元に届くまでには

、安全性確保のためにさまざまな厳しい検査をクリアする必要があるため

、さらに時間が必要と思われる。

また、実際に目で見ているように、きれいな色彩で見るためには、まだ時

間をかけて研究を続ける必要がある。現在は、32×32の画素、全部で1

,000点くらいの画素を備えた人工視覚のチップが開発段階にある。

 ただし、つなぎの技術としてバイオハイブリッド型という2つを組み合わせ

たものも考えられている。バイオハイブリッド型とは、人工的なもののうえ

に神経細胞を培養してくっつけて体内に埋め込み、神経細胞の軸策とい

われるケーブルを末梢神経を使って脳に導くという方法。この研究もでき

るだけ一刻も早く完成できるよう、研究者は懸命に取り組んでいる。



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