ロービジョンフォーラム in 鳥取 2020 に参加して
西尾 恵子
令和2年11月21日、鳥取県庁講堂で「ロービジョンフォーラム in 鳥取 2020」が開催されました。昨年に引き続いて2回目の開催です。内容は、次の通りです(チラシを一部引用)。
講演:「夢見る力を信じて~ともに生きる未来へ~」
講師 前川博美氏(音楽家)
パネルディスカッション:ロービジョン者が安心して生活するために!
・コーディネーター 門脇保身氏(鳥取県ライトハウス点字図書館)
・パネリスト
前川裕美氏(音楽家)
大松寛氏(鳥取大学医学部付属病院 医員)
市村佳子氏(鳥取県視覚障がい者東部支援センター 相談支援員)
田村真千子氏(鳥取県立鳥取盲学校 特別支援教育コーディネーター)
西尾恵子(山陰網膜色素変性症協会鳥取の会 代表)
質疑応答
(チラシの引用はここまで)
コロナ禍の中、開催されるのか心配でしたが、しっかりと感染防止対策をとられた中、予定通り開催され、嬉しく思いました。会場には機器展示のコーナーや視覚障がい者支援センターのブース、そしてJRPS山陰のブースも設けられました。JRPS山陰のブースには、協会のしおり、病気についてのリーフレット、白黒反転のカレンダーなどを並べました。また、オレンジ色の警告ブロックも展示して、参加者からの関心も多かったようです。
講演をされた前川裕美さんは、わたしたちと同じ網膜色素変性症の患者さんで音楽家です。子どものころから、見えにくいという、晴眼者と全盲のはざまの中で、周りの理解がなかなか得られず、苦労されたことや傷ついたことなど実体験を踏まえながらお話されました。同じ当事者として共感することが多く、周囲から分かってもらえない辛さに胸が痛みました。講演の中で「自分が主人公」というお話があり、その考え方や前向きな生き方に考えさせられました。わたしはどうなんだろう?自分を大切にして自分を信じて生きているのだろうかと。
また、6年間のアメリカ留学で体験されたお話から、海外の障がい者に対する関わり方や配慮、環境の違いに驚かされました。一人ひとりを、それぞれの特性や個性として認めているならば、自然と周りの対応がその人に合ったものになるんだということを感じました。お話の合間にピアノ演奏や美しい歌声が入り、雰囲気が和み会場をひきつけます。小学1年生の息子さんとの掛け合いで歌われた「おかあさん」は、心温まるものでした。
パネルディスカッションでは、ロービジョン外来、支援センター、盲学校の各機関や団体から、それぞれの立場・分野におけるロービジョンケアの現状などを話されました。各機関や団体が連携しながらロービジョンケアに取り組み努力しているということが参加者に伝わったと思います。
私も山陰網膜色素変性症教会鳥取の会としてパネリストで参加させていただきました。当事者として感じていることや仲間づくりのことなどを中心に話しました。うまく伝えられたか自信はないのですが、当事者として思いを話せる機会を頂いたことは、大変ありがたいことでした。また、わたしたちの会を知っていただけたことも良かったと思います。
終了後、私の周りから、「ロービジョンのことを初めて知った。自分にできることを考えたい。」「もっと知りたい。教えてほしい。」「多くの人に知っていただきたい。」等の声を聞きました。まだまだロービジョンという言葉さえ知らない人もいます。県民に周知されていないのが実態でしょう。
しかし、フォーラムをきっかけとして、少しずつ県民の皆さんに関心を持っていただきつつあるのは事実だと思います。県(行政)が主体になってロービジョンケアをリードすることは、全国的にも珍しいことです。
今回のフォーラムは、鳥取県の皆さんにロービジョンのことを知ってもらい、理解してもらう大きなきっかけとなったと思います。とても有意義な会だったと思います。ロービジョンケアが充実することで、ロービジョン者が安心して日常生活・社会生活を送ることができるようなることを期待してやみません。来年は、是非中部(倉吉)での開催をと願っています。
講師の前川裕美(まえかわゆみ)さんの写真です
鳥取の会代表の西尾恵子(にしおけいこ)さん(向かって右側)の写真です
講演後にツーショットの前川裕美(向かって右側)と、奥美和子(おくみわこ、向かって左側)の写真です