2023年 JRPS山陰第28回定期総会及びロービジョン研修会の報告

事務局長 矢野美和子

4月22日(土)、 23日(日)に鳥取市で2023年JRPS山陰第28回定期総会及びロービジョン研修会を開催しました。22日(土)の13時にやまびこ館に集合をして、鳥取市の樗谿公園(おおちだにこうえん)で野鳥の会鳥取県支部のみなさんのご協力によりバードリスニングを体験しました。参加者は患者15名、支援者・ボランティア7名、野鳥の会からは12名でした。最初に説明を聞いてから3つの班に別れて公園を散策しました。鳥の声を聞きながら野鳥の会のみなさんから鳥の名前を教えてもらいました。後半は、やまびこ館に帰り鳥のはく製を触らせてもらいました。その後、白兎会館の送迎バスで移動をして、定期総会と懇親会を行いました。

翌日23日(日)は9時よりさわやか会館でロービジョン研修会を開催しました。参加者は患者家族が19名(鳥取県9名、島根県10名)、来賓・講師5名、支援者・関係者7名、ボランティア(アイメイト)5名でした。講演1では、講師の鳥取県立中央病院がん相談支援センター 臨床心理士の藤松義人先生に、難病患者がATM(明るく・楽しく・前向き)で生きていくためには、というテーマでお話いただきました。講演の中で、タイミングのこと、正しい情報を取り入れること、同じ病気の仲間の大切さ等のお話は、日頃感じていることもあり十分納得できるお話でした。講演内容の要約はこの報告の後に記載しています。その後、第26回JRPS研究助成金授与式及び研究発表を視聴しました。

講演2では、日本音楽療法学会認定音楽療法士の小林圭子先生に演奏していただき、ピアニストの稲毛麻紀先生には伴奏をしていただきました。参加者の中には涙している方も数名おられ、会場内全体が音楽の力のパワーに引き寄せられているようでした。小林先生の日頃の活動につきましてもこの後に記載しますのでお読みいただければと思います。

研修会最後には、情報提供、質疑応答と意見交換を行いました。鳥取県障がい福祉課の米澤さんには、主に鳥取県の障がい福祉課に関する情報提供をしていただきました。また、矢野会長より、私たちが役に立つ制度や福祉サービス等の情報提供があり、難病法については、鳥取県健康政策課の田中さんより説明をしていただきました。鳥取県の同行援護の事業所等については米澤さんから説明がありました。

今回の第28回定期総会とロービジョン研修会については、鳥取県の視覚障がい者東 部支援センターからお知らせしていただき、鳥取市の西尾恵子さんにもお知り合いの 方にお声かけいただきました。併せて、関係者のみなさんにも大変ご協力をいただき 、鳥取県の赤十字奉仕団のボランティア(アイメイト)のみなさんにも大変お世話にな りました。みなさん、ご参加とご協力をいただきありがとうございました。

【講演内容の要約】

鳥取県立中央病院がん相談支援センター 臨床心理士 藤松義人

「明るく・楽しく・前向き(ATM)」に生きて行くことは理想的ですが、いつでも どこでも常にATMになることは難しいかもしれません。

難病や大きなストレスの告知を受けた際、患者さんの精神状態は大きく揺らぎます。最初に否認、次に怒り、さらには交渉、うつ状態、受容という5つの段階を経ることが多いです。これは「キューブラ ・ロスの5段階モデル」と呼ばれます。否認は状況を受け入れられないため、怒りは不公平さを感じるため、交渉は状況を変えようとするため、うつ状態は現実を受け止め悲しみを感じるため、そして受容は現実に対処し始めるためにあります。各段階にかかる時間や順序は個人差がありますが、多くの場合は時間とともに受容に近づくと考えられます。患者さんは自分の感情を大切にし、「明るく・楽しく・前向き」になれるような適切なタイミングを見つけることが大切です。

近年、医療情報が洪水のように溢れていて、適切な医療情報を理解し、選び取っていくことが非常に難しくなっています。ヘルスリテラシー(適切な医療情報への理解)を高めるために、信頼できる情報源を利用し、どの機関が発信した情報か、いつ更新された情報かなどを確認することが重要です。複数の情報源を比較し、専門家(とりわけ主治医の先生)に質問することを躊躇しないでください。医療行為は専門家の指示に従い、健康情報を継続的に学び、自己管理を行うことが大切です。これにより、自分の健康を守るための適切な判断ができるようになるでしょう。

次に、仲間同士の支え合い(ピアサポート)は、同じ経験を持つ人々が互いに支え合うことで、辛さの回復や生活の向上を目指す重要な方法です。共通の問題や状況を共有することで、理解や共感が生まれ、励ましや具体的なアドバイスが提供されます。ピアサポートは、孤立感を軽減し、自己肯定感を高めることができます。参加者同士で知識や情報を交換することで、問題解決力やストレス対処力が向上することが期待されます。

最後に、網膜色素変性症の遺伝子検査に関して、がんゲノム医療の経験を活かし、遺伝子検査の有用性や、治療や研究への応用の未来について解説させていただきました。遺伝子変異と網膜色素変性症の関係、遺伝性疾患の場合の適切な遺伝カウンセリング体制、未来の治療法の開発などに関して今後の医学研究に期待することで、ATMで日々を過ごしていただけることを願っています。

【音楽療法士 小林圭子先生の紹介】

<講師プロフィール>
日本音楽療法学会認定音楽療法士(鳥取県内4名)。神経難病の在宅療養児者や終末期の患者に対して質の高い音楽を自宅に届ける「音楽」の宅配便♪を事業とするミュージック・オフィス♪DoReMi(ドレミ)代表。

日本音楽療法学会認定音楽療法士の小林先生によるバイオリン演奏は、音が聴覚や脳を刺激するだけでなく、音の波として肌や細胞レベルにまで伝わり心や身体をリラックスさせ癒しを感じる時間と空間として共有できる。

【バードリスニングを楽しみましょう!】

NPO法人日本野鳥の会鳥取県支部 理事(事務局担当) 津森宏

JRPS山陰の皆さん、4月22日のバードリスニングでは、野鳥の声を楽しんでもらえたでしょうか?数は多くありませんでしたが、いろいろな野鳥の声が聞かれたと思います。気温がやや低く、少し肌寒かったですね。狭い上り坂の遊歩道は大丈夫だったでしょうか?また、今回初めて用意したオオルリとメジロの剥製の感触はいかがだったでしょうか?

日本野鳥の会鳥取県支部では、年1回バードリスニングを開催しています。開催場所は、駐車場やトイレがあり安心して歩けるコースを優先します。野鳥の声がそれなりに聞こえることも大きな要素ですが、当日の天候によっては、鳥がほとんど鳴かないこともあります。そんな時は、水の音、風の音を聞いたり、植物の葉っぱを触ったり、花の匂いを嗅いだりします。参加者、スタッフ全員が一緒に楽しむのが基本的な考えです。

バードリスニングのベストシーズンは4月から6月上旬まで、野鳥たちにとっては繁殖の季節です。おもにオスが美しい声で鳴く「さえずり」は、メスに対するプロポーズであり、ライバルのオスたちに対する縄張り宣言です。可愛らしい小鳥たちの懸命なさえずりを、私たちは勝手に楽しんでいるというわけです。

初めてバードウォッチングやバードリスニングに参加された方の中には、「自分の周りにいろいろな野鳥がいることを初めて知りました」と言われる人があります。身近な野鳥の存在に気づくと、そのそばにいる別の野鳥も気になります。山野や水辺だけでなく、公園や街中などにも、いろいろな野鳥がいます。「なかなか名前を覚えられません」という人もあります。めったに出会わない人をなかなか覚えられなくても、いつも会っている人の声はすぐ分かりますね。普段から野鳥を意識していると、鳥の声が聞こえ、違いが分かり、名前も覚えられるようになります。

最後に、身近な野鳥の鳴き声を中心に紹介します。

◎ウグイス 冬の間は目立たない藪の中で「チャッ、チャッ」と小声で鳴いています。春が近づくと「ケキョ、ホーケキョッ」と練習を始め、「ホーーホケキョッ、ホーーーホケキョッ」と上手にさえずるようになります。

◎ヒヨドリ もともとは森林にいた鳥ですが街中に進出してきました。「ピーーヨ、 ヒーーヨ」という鳴き声からヒヨドリの名前がついたようです。

◎ホオジロ 河原や草原などで、木のてっぺんで鳴きます。鳥の鳴き声に人間の言葉をあてた「聞きなし」は、「源平つつじ、白つつじ」、「一筆啓上仕り候(いっぴつけいじょうつかまつりそうろう)」など、やや長いフレーズで鳴きます。

◎ツバメ 春に飛来し、住宅などに営巣する最も身近な渡り鳥です。最近数が減っていて心配しています。聞きなしは「土食って、虫食って、渋ーーい」です。口で土を集めて巣を作り、飛びながら虫を採って食べる習性も分かる有名な聞きなし。

◎スズメ 一年中チュン、チュンと鳴きます。はっきりしたさえずりはないようですが、繁殖期には艶っぽいチュン、チュンになるらしいです。どうでしょうか?

写真が8枚あります。

●22日 バードリスニング


  • 1枚目、やまびこ館の会場の様子

  • 2枚目、公園を散策して鳥のさえずりを聞いている様子

  • 3枚目、鳥のはく製を手のひらにのせている様子

  • 4枚目、野鳥の会の津森さんが鳥の説明をしている様子


  • ●23日 ロービジョン研修会


  • 1枚目、矢野会長が開会あいさつをしている様子

  • 2枚目、講演1で藤松さんがお話をしている様子

  • 3枚目、バイオリン演奏をしている小林さんと、ピアノ伴奏をしている稲毛さん

  • 4枚目、バイオリン演奏をしている小林さん

(写真説明はここまで)

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