2024年山陰網膜色素変性症協会(JRPS山陰) 第29回定期総会及び研修会の報告
山陰網膜色素変性症協会(JRPS山陰) 事務局長 矢野美和子
4月20日(土)から21日(日)にかけて、雲南市吉田町の国民宿舎「清嵐荘(せいらんそう)」にて第29回定期総会及びロービジョン研修会を開催しました。この「清嵐荘(せいらんそう)」は、4年前に計画をしていたものの、新型コロナウイルス感染症の影響により中止になりましたが、今年度は、関係者のみなさんのご支援とご協力により無事に開催できました。参加者数は20日の宿泊が10名で懇親会は12名、21日の研修会は患者・家族、関係者、ボランティアさんを含めて24名でした。
今年度は次のような目的を掲げて開催しました。見えづらい私たちは、少しでも見えやすくなる補助機器があることを知り体験をしましょう。そして、今より日常生活を楽しく暮らすために、福祉制度や生活の知恵や工夫などを学びましょう。また、家族や支援施設の方は、見えづらい私たちがどのようなことに不便を感じたり困っているかを知り、介助方法や支援できることを学びましょう(開催要項より引用)。
一日目は、「たたら製鉄の概要 歴史や技術等」というテーマで、鉄の歴史村 地域振興事業団の事務局長岡本怜嗣(おかもとさとし)さんによる講演がありました。1,現代の製鉄法、2,日本の製鉄技術の歴史、3,「たたら製鉄」の技術、4,今も残るたたら製鉄の面影、5,たたら製鉄の未来へ、という順番でお話いただきました。
印象に残ったのは、中国山地は良質な砂鉄が多く、特に島根県東部の雲南市周辺には多くあったこと。「たたら製鉄」とは、砂鉄を粘土で作った炉に入れ、風を送って木炭を燃え上がらせ、砂鉄に化学変化を起こして鉄を得るという製造方法であること。かつて栄えた「たたら製鉄」が行われていた建物「高殿(たかどの)」が日本で唯一残っている場所が、島根県雲南市の吉田町菅谷(すがや)たたら山内(さんない)・鉄の歴史博物館であることなどです。
「たたら製鉄」技術と歴史文化についての詳細は、講演いただいた岡本さんより原稿をいただきましたので、どうぞお読みください。
講演終了後は、定期総会と懇親会を行いました。おいしい料理にお酒も進み、おしゃべりも弾んで楽しい時間を過ごしました。
二日目はロービジョン研修会を開催しました。お忙しい中お越しいただいた来賓の方々よりごあいさつを、講師3名の方にご講演いただきました。講演1は、「眼疾患の早期受診と早期発見の重要性」というテーマで、島根大学医学部附属病院眼科、助教の真鍋薫先生にお話いただきました。内容は、眼の構造を踏まえた見える仕組み、検診で発見できる眼の病気、そして網膜色素変性症の症状や治療法についてでした。その後の参加者3名からの質問にも丁寧にお答えいただきました。講演2では、「視覚リハビリテーションについて」というテーマで、島根ライトハウス ライトハウスライブラリーの情報支援員伊藤聡(いとうあきら)さんにお話いただきました。自己紹介からはじまり、視覚リハビリテーションの定義や事例、補装具や日常生活用具の利用といった内容で、生活をより豊かにするためにお困りごとなどある方は一度ご相談くださいとのことでした。講演3では、「視覚障がい者の福祉制度について」というテーマで、雲南市健康福祉部長寿障がい福祉課の加本玲可(かもとれいか)さんのお話でした。訪問や通所により利用するサービス、日常生活用具、補装具の支給、地域生活支援事業、医療費の減免、外出を支援するサービス等についてでした。その後、全体を通して質疑応答・情報交換を行い、閉会あいさつで研修会を終了しました。
この研修会の開催にあたり、雲南市、飯南町、奥出雲町の関係者のみなさんには、チラシの郵送、有線放送やケーブルテレビ等で告知など、ご協力いただきました。
会場の「清嵐荘(せいらんそう)」では、私たちが安全に安心して宿泊できるようにいろいろな配慮をしてくださいました。例えば、宿泊のお部屋の中の説明や、食事の時の説明や介助、ボディソープには輪ゴムをかけてシャンプーとリンスの違いがわかるようにしてあり、とても助かりました。
また、雲南市のボランティアの郷原(ごうばら)さんには、2日間を通して誘導していただき、安心して移動ができました。雲南保健所の宇都宮保健師さんや雲南市健康福祉部の加本(かもと)さんには、研修会の運営や進行のお手伝いを、しまね難病相談支援センターの今若(いまわか)センター長には、難病患者団体への助成支援や当日の補助等をしていただきました。参加のみなさん、また、ご協力をいただいたみなさん大変ありがとうございました。
ここから写真が3枚あります。
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矢野会長が研修会の開会あいさつをしている様子 -
会場の様子 -
参加者が機器や用具の見学をしている様子
(写真説明はここまで)