「生活変化の備え―転居・転職・退職時等に備えて知っておきたい手続きのこと」
松原智治
新年 明けましておめでとうございます。
社会保険労務士の松原智治(まつばらともはる)です。今回のビッグスワンでは、春という一年の節目にあたって、生活変化に備えて知っておきたいことをまとめてお伝えします。
春は、進学や就職、転居などで生活環境が大きく変わる季節です。新しい場所での生活や人間関係に慣れるだけでも大きな負担がかかる中、手続きのことまで気が回らないという方も少なくありません。とくに視覚障害のある方にとっては、移動手段や周囲の支援体制が変わることで、日常の過ごし方そのものがガラリと変わります。そんな時期だからこそ、「後で困らないために、最低限知っておいた方が良いこと」についてのポイントを整理しておきます。
まず、転居された場合です。住所変更の手続きは市区町村役場で行います。転出する自治体には転出届を、転入する自治体には転入届を、それぞれ提出します。すると、マイナンバーが登録されている方は自動的に、年金記録上の住所も変更されます。したがって、年金事務所に行く必要は、ありません。ただし、年金に関する通知書は、確実に届くようにしておくことが重要です。障害年金は、一定期間ごとに診断書の提出を求められる「更新」があります。更新と転居が重なった場合、案内を受け取らない更新期限を過ぎてしまうようなことが、起こらないようにしておく必要があります。更新しなければ、支給が一時的に止まってしまうからです。引っ越し直後は郵便物の受け取りが不安定になりがちですので、郵便局への転送届を出しておく、家族や支援者にも一声かけておくなど、「確実に受け取れる状態をつくる」ことを意識しておく必要があります。
次に、就職や働き方の変化があった場合です。新しく働き始めると、職場の環境に慣れることだけでも大変ですが、社会保険の取扱いも変わります。会社員として働く場合は厚生年金に加入し、保険料は給与から天引きされます。障害年金を受給していても、この加入や負担は原則として必要です。「障害年金を受け取っているのに、保険料を払うのか?」と感じるかもしれませんが、この保険料は将来の老齢年金につながるものです。無駄になるものではありません。
また、退職された場合や働き方が変わって社会保険から外れた場合には、満60歳までは国民年金保険料の納付が必要です。ただし、障害等級2級以上の方は法定免除の対象となり、保険料負担を軽くできる場合があります。しかもこうした制度は、自分から手続きをしなければ適用されません。「何か使える制度はないか」を、確認してみることが大切です。
環境が変わるときは、どうしても目の前の生活で手いっぱいになります。しかし、ほんの少しだけ立ち止まって制度との関係を見直しておくことで、後の安心が大きく変わります。まずはご自身で無理のない範囲でお確かめになり、時に周囲の力も借りながら、一つずつ整えられてください。
以上、参考になれば幸いです。必要な方に情報が届きますように。それではまた次回。どうぞ素敵な毎日を!
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