2025年 JRPS中国・四国ブロック研修会及び山陰網膜色素変性症協会設立30周年記念開催の報告

報告者 山陰網膜色素変性症協会 事務局長 矢野美和子

10月25日(土)~26日(日)松江ニューアーバンホテルにて、2025年JRPS中国・四国ブロック研修会及び山陰網膜色素変性症協会設立30周年記念事業を開催しました。晴れやかな秋空のもと、高知県、徳島県、愛媛県、香川県、広島県、岡山県の各地域から44名の方々にお越しいただき、定員いっぱいの60名の参加となりました。

一日目は、矢野会長による開会宣言の後、「視覚障がいと『怪談』の誕生」という演題で、島根大学法文学部言語文化学科の准教授宮澤文雄先生にご講演いただきました。晩年の小泉八雲は、妻セツの協力のもとで『怪談』を執筆します。「再話文学の傑作」と呼び声高い本作は、それぞれに苦難の半生を過ごした二人が松江という土地で奇跡的に出会ったことに端を発しています。講演では、八雲とセツの生い立ちや夫婦関係を紹介しながら、左目を失明し右目も弱視だった八雲がなぜ『怪談』という傑作を生み出せたのか、またその物語には何が描き込まれたのかなど、見えづらさが拓いた八雲の文学について掘り下げていただきました。

次は、まつえ観光創造研究所よりまつえ若武者隊の武者鎧を着た本間亀次郎さんに怪談を3話語っていただきました。その後会場のテーブルの間をゆっくり歩かれ、参加者は鎧に触れることができました。

そして、中国・四国の各県の会長さんに現状と課題のお話をしていただき、移動・休憩をはさんで懇親会に入りました。乾杯の音頭の後、市岡眼科クリニックの市岡博先生にサックス演奏をしていただき、オープニングとして盛り上げていただきました。皆さん酔いが回ったところで、矢野会長作成の松江城に関するクイズやじゃんけん大会を行い、最後まで残った方が松江や山陰にちなんだ景品をゲットされました。懇親会の終わりは、次年度開催の徳島県の藤井会長に、「来年は徳島に来ていいとも!!」という言葉で締めくくっていただきました。

二日目は、山陰網膜色素変性症協会設立30周年記念式典です。ご臨席いただいた来賓の方からご祝辞をいただいた後、松尾貴美子さん(当協会の支援員)と高橋悦子さん(サークルありんこ会長)のお二人に矢野会長より感謝状の贈呈を行いました。「30周年の歩み」トークでは、前会長で今は相談役の安部利一(あべりいち)、現副会長の石田聡、矢野美和子の3名で発足当時の出来事や思い出などを語り合いました

二つ目は「共生社会の実現をウエルビーイングで考える」という演題で島根県立大学人間文化学部保育教育学科准教授の水内豊和先生にご講演いただきました。障害の種類や程度、共生社会の中で生きていくためのヒント、マナー・ルールなど、大学の授業や現場での実践などで取り組んでおられる研究について話していただきました。

当協会の副会長の石田聡の閉会の辞で研修会の全日程を終えましたが、多くのボランティアさんや運営スタッフとして島根県、松江市、ライトハウスライブラリー、しまね難病相談支援センター、松江市社会福祉協議会の方々のご支援とご協力のおかげです。大変ありがとうございました。

今回、中国・四国地域からたくさんの皆さんが松江に来てくださったのは、10月からスタートしたNHKの朝の連続テレビ小説「ばけばけ」の影響も大きかったのではないかなと思います。松江城や小泉八雲記念館など観光もお楽しみいただいたのではないでしょうか。中国・四国地域で持ち回りで行うブロック研修会です。他県からの参加者たちとお会いし、おしゃべりをし、たくさんの笑顔と元気をもらいました。来年は、徳島でお会いしましょう!!

これより後には、来賓の方々のご祝辞、山陰網膜色素変性症協会30年の歩みに関する記事を掲載しますので、どうぞお読みください。

<島根県 来賓のごあいさつ>
島根県健康福祉部 村下医療統括監 代読

皆様初めまして、島根県健康福祉部医療統括監 村下でございます。本日は、丸山知事は所用のため出席できませんでした。皆様にお詫びさせていただきますとともに、代わりに皆様への挨拶を預かって参りましたので、代読をさせていただきます。

本日は山陰網膜色素変性症協会設立30周年記念式典が、盛大に開催されますことを心よりお慶び申し上げます。

貴協会が1995年に山陰で初となる目の難病患者会を設立されて以降、目の疾患により不安を感じていらっしゃる方々の心の支えとして、30年間御尽力いただきましたこと、大変な御苦労であったと敬服いたすところでございます。また、地域の保健医療福祉を支援する我々にとりましても皆様の前向きな取り組みに深く感銘を受けるものであります。

さて、島根県では、「人口減少に打ち勝ち、笑顔で暮らせる島根」の実践に向けた、今年度からの5年間を計画期間とする「第2期島根創生計画」がスタートいたしました。計画では健やかな暮らしを支える「保健・医療・介護の充実」を柱の一つに掲げております。

これまでも、難病患者さんの支援のため、昭和51年3月に現在の旧財団法人島根難病研究所を設立し、昭和55年に難病の相談窓口を設置しました。その後平成16年度より「しまね難病相談支援センター」を開設し、難病支援を行って参りました。

発病の機構が明らかとなっていないため、治療方法が確立しておらず、長期の療養を必要とする指定難病は、現時点で網膜色素変性症を始め、348疾病となっております。地域の医療機関と連携しながら、医療体制を確保し皆様方が安心してお過ごしいただけますよう努めて参りますので、一層のご理解とお力添えを賜りますようお願い申し上げます。

結びに、山陰網膜色素変性症協会の益々のご発展と、会員の皆様のご健勝とご多幸を祈念申し上げ、お祝いの言葉といたします。

令和7年10月26日
島根県知事 丸山達也
(代読 島根県健康福祉部 村下伯)

<松江市 来賓のごあいさつ>
松江市副市長 山根幸二 代読

「JRPS中国・四国ブロック研修会」ならびに「山陰網膜色素変性症協会設立30周年記念式典」の開催、誠におめでとうございます。貴協会の設立30周年をお祝い申し上げますとともに、中国・四国地方の各地から、島根県松江市にお越しいただいた皆様を、心より歓迎いたします。

また、参加者の皆様には、長年にわたり網膜色素変性症患者の皆様に寄り添い、医療・福祉の専門家と連携して、その克服に向けて取り組んでこられましたことに、敬意と感謝を申し上げます。

網膜色素変性症は国の難病にも指定される、治療が難しい病気である一方、本市でも、同症を患う視覚障がい者が少なくありません。本市としても、市内で580人を数える視覚障がいのある方のQOLを維持・改善するため、障がい福祉サービスの充実を図り、患者の方々が自分らしく暮らすことができるよう支援しております。

そうした中、このたび関係者の皆様が一堂に会し、網膜色素変性症にかかる学びと交流を深められますことは、難病の克服に向けた有意義な機会になるものと確信しております。

また、昨日の研修会では、島根大学の宮澤先生による、小泉八雲に関する講演をお聞きになったと伺いました。皆様ご存じの通り、八雲とその妻・セツをモデルとする、松江市が舞台の連続テレビ小説「ばけばけ」の放送が先般始まりました。八雲は16歳のときに失明しており、視覚障がいをお持ちの方にとっても、なんらかの共感を得られる作品になるものと捉えております。

併せて、今回の機会に、小泉八雲旧居、小泉八雲記念館、八雲が好んだ国宝松江城にもお立ち寄りいただきますと幸いです。

結びになりますが、山陰網膜色素変性症協会様のますますの発展、ならびにお集まりの皆様のご健勝とご活躍を祈念しまして、お祝いと歓迎の言葉とさせていただきます。

令和7年10月26日
  松江市長 上定昭仁(うえさだあきひと)
(代読 松江市副市長 山根幸二)

<島根県眼科医会 来賓のごあいさつ>
島根県眼科医会 副会長 野田佐知子 代読

本日は、島根県眼科医会の高梨会長の代理でご挨拶させていただく副会長の野田佐知子でございます。山陰網膜色素変性症協会設立30周年記念誠におめでとうございます。

私は2013年から島根ビジョンネットワークの一員としてロービジョンケアにかかわっており矢野会長とも懇意にさせていただいております。「島根ビジョンネットワーク」とは当事者さんたち、医師・視能訓練士の医療関係者、島根ライトハウス・ライトハウスライブラリー、西部視聴覚障害者情報センターの福祉関係者、島根県立盲学校の教育関係者、眼鏡店協会、盲導犬協会の有志で構成されています。各団体が順番に担当して年数回のロービジョン研修会を開催しております。全国的に見ても珍しいと思います。今年で27回開催しており、来年2月に開催される研修会は「ばけばけ」の小泉八雲に関しての内容になっています。島根ビジョンネットワークを通じて、歩行訓練士不足を訴えて署名活動をおこないました。全国的に財政難で増員が厳しい中、島根県では人員を増員していただくことが可能になりました。まだまだ、不十分ではありますが、当事者さんが生活しやすい環境づくりを試行錯誤しながら行っていきたいと思っております。

先週、島根県立盲学校120周年記念祝賀会が開催され出席いたしました。盲学校の生徒さんたちの「盲導犬サーブ」の音楽劇を聞いて感激させられました。主人を交通事故から守るために自らの判断で暴走車に飛び込み左前足をなくす大けがをし、それをきっかけに盲導犬の存在が広く知られ、盲導犬にも自賠責保険の適応に繋がったとの話でした。盲導犬を希望されても数も少なく十分ではありません。希望される方々に十分に行き届くように協力できればと思いました。

再生医療も含め医療の進歩が期待されますが、それでも視覚障害はなくなりません。いろいろな分野での人とのつながりの中でお互いに情報交換して心のケアを図り、充実した生活ができる社会を作っていきたいと思います。その点でもJRPS山陰の果たす役割はとても重要です。今後もこの会の幅広いご活躍をご祈念申し上げます。本日は誠におめでとうございました。

【山陰網膜色素変性症協会(JRPS山陰)の歩み】
1995年2月に、荒木英之氏が自分と同じ病気で苦しんでいる網膜色素変性症の患者の集まりをしたいと山陰地方紙に記事を掲載された。その後、同年に数回会合を重ね、荒木氏が発起人となり山陰で初となる目の難病患者会を設立し、やがて山陰支部長に就任された。また、当時荒木氏は、日本網膜色素変性症協会(JRPS)の本部理事となり、同協会の基盤や策定づくりに尽力された。

※網膜色素変性症・・・指定年度
1996年1月1日、疾患番号37

<主な行事>
・1995年2月5日 網膜色素変性症患者の集まり
 会場:ライトハウスライブラリー(松江市)
・1995年8月27日 網膜色素変性症患者の集まり
 会場:ライトハウスライブラリー(松江市)
・1996年2月2日~3日 網膜色素変性症患者・家族と関係者の交流会
 会場:島根県立青少年の家・サンレイク(出雲市、旧平田市)
・2000年6月 山陰機関誌創刊号発行
・2002年8月3日~4日 第12回国際網膜世界会議 世界網膜の日in千葉(主催JRPS)
 会場:千葉幕張メッセ・プリンスホテル(千葉県) 山陰から10名参加
・2006年10月21日~22日 山陰初開催 中国・四国地区リーダー研修会
 会場:米子保健所(鳥取県米子市)、宿泊:大山ロイヤルホテル
・2010年11月13日~14日 山陰2回目 中国・四国地区リーダー研修会
 会場:島根あさひ訓練センター(浜田市)
・2013年12月22日 山陰初開催 ロービジョン研修会
 会場:島根県民会館 講演:国立リハビリテーションセンター 久保明夫氏
・2015年7月11日~12日 山陰網膜色素変性症協会(JRPS山陰)設立20周年記念開催
 会場:ホテル宍道湖(松江市)
・2016年10月15日~16日 山陰3回目 中国・四国地区リーダー研修会
 会場:ホテル宍道湖(松江市)
・2022年9月23日~24日 世界網膜の日in山陰
 会場:サンラポーむらくも(松江市)
・2025年10月25日~26日 山陰4回目 中国・四国ブロック研修会及び山陰網膜色素変性症協会設立30周年記念 会場:松江ニューアーバンホテル(松江市)

写真が4枚あります。


  • 1枚目、矢野会長が開会あいさつをしている様子

  • 2枚目、島根大学法文学部言語文化学科の准教授宮澤文雄先生が、「視覚障がいと『怪談』の誕生」という演題で講演されている様子

  • 3枚目、中国・四国の各県会長さんが現状と課題を話している様子

  • 4枚目、島根県立大学人間文化学部保育教育学科准教授の水内豊和先生が、「共生社会の実現をウエルビーイングで考える」という演題で講演されている様子

(写真説明はここまで)

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