身障手帳該当者を見落とさないための取り組み
会報誌ビッグスワン第60号より
公益社団法人NEXT VISION 別府(べふ)あかね
JRPS山陰のみなさま、こんにちは。私は2022年9月から2024年4月まで静岡県焼津市の岡本石井病院に赴任していました。昨年の会報誌57号に「医療からスタートする視覚リハの取り組み」というタイトルで書かせてもらいました。現在は高知に帰ってきて、県外遠征を応援してくれた家族孝行の時間を過ごしつつ、依頼のあった研修講師や講演の仕事をしながら、次のステージに向けて準備中です。
焼津では近隣の眼科でもロービジョンケアをしっかりやっている眼科は少なく、転院してこられた患者さんの中には身障手帳を取得できるのに取得されていない方もいました。また、私の勤務している眼科でも、身障手帳に該当することが見落とされているケースもありました。
身障手帳の取得や障害年金に該当するかどうかは、医療におけるロービジョンケアの大きな役割でとても重要です。拡大読書器や遮光眼鏡などの補助申請も、すべて身障手帳を取得してからできることです。身障手帳に該当するかどうかは、視力と視野の検査結果を注意深く見ればわかることで、特別な道具は必要なく、どこの眼科でも意識すればできることだと思いますが、現状としてはまだまだ十分に対応できていないところもあります。
そこで、計算するためのメモを取れるように検査結果の数値を記入して、すぐに計算式に当てはめられるような確認シートを作成して、検査スタッフみんなが確認できるような工夫に取り組みました。これは、かなり効果的でした。こうした医療の中での取り組みがすべての眼科で取り組まれることを願っています。
そして、患者である皆さんも見えにくさの変化があった時は、ぜひ問診時に検査員に伝えてください。そうした患者からの一言で、手帳取得できるかどうか、または手帳の等級が変わるかもしれないという視点をもって検査結果を確認してくれるはずです。患者の一言が、眼科スタッフの意識を変える可能性があります。
また、ロービジョンケアを受けて良い効果があった場合は、ぜひそのことを眼科スタッフにフィードバックしてあげてください。ロービジョンケアに携わる医療のスタッフはいろいろな思いで頑張っています。みなさんからのうれしいフィードバックも今後の活力になります。
最後に、10月に高知で開催されるJRPS中国・四国ブロック研修会では、私も会場でお手伝いをしています。ご参加されるみなさま、高知でお会いできるのを楽しみに待っています。