第26回 ロービジョン研修会「目の不自由さと自然災害~島根の現在とこれから~」

会報誌ビッグスワン第60号より

主催:島根ビジョンネットワーク
共催:公益社団法人 日本眼科医会
報告者 山陰網膜色素変性症協会 事務局長 矢野美和子

7月21日(日)10時~12時に、出雲市の駅南にありますビッグハート出雲の黒のスタジオで第26回ロービジョン研修会が開催されました。会場参加者数は50名でした。この研修会の主な目的は次のとおりです。(当日のチラシより引用)

大規模災害は各地で後をたちません。全国的には今年1月の「能登半島地震」、島根でも2018年4月には「島根県西部地震」が発生し、大きな被害が出ました。災害時に重要となる「情報の入手」や「移動」は、目の不自由な人々が日常的に困難を抱える問題そのもので、災害時には命に関わる問題ともなりえます。島根県内の当事者・行政・医療・福祉等での備えの現状、そして、それぞれの立場で今後何にどう取り組むべきかを考えます。(引用はここまで)

研修会の第一部として、「大規模災害における視覚障害者とその支援」というテーマで、堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター 所長の原田敦史(はらたあつし)さんを講師にお招きしました。

原田さんには、東日本や熊本・能登半島での大規模災害時、被災した視覚障害者の支援や支援者のコーディネートに当たられたご経験をもとにお話しいただきました。原田さんのプロフィールは次のとおりです。

※原田氏プロフィール
1971年名古屋市生まれ。大学卒業後、国立の視力障害センターに勤務。その後、日本盲導犬協会仙台訓練センターで勤務。その際東日本大震災に遭い、現地対策本部で支援活動を実施。現在、上記センター勤務。歩行訓練士・社会福祉士。(プロフィールはここまで)

原田さんのお話には、ご自分の経験をもとに大規模災害の現状と課題をはじめ、私たちに役立つことが数多くありました。次のようなことです。自分の家の周辺のハザードマップを知ること。避難所の第1と第2を確認しておくこと。家具や食器棚に転倒防止の装具を付けて置くこと。簡易トイレの購入と買い置きを用意することと、事前に使い方の練習をすること。一緒に避難してくれる方を見つけておくこと等々。特に「この研修会の帰りに寄り道をしてホームセンターで必要な物の買い物をしてもらいたい。」とのお願いがあり、お話を聴いた後、すぐに行動することの重要性を強く感じました。原田さんは、各地で災害についての講演を行っておられますので、会場の参加者に質問を出しながら、自分ごととして一緒に考えていきましょうという姿勢で、分かりやすく納得できるものでした。

第二部では「島根の現在とこれから」と題して、当事者団体から島根県視覚障害者福祉協会、行政から島根県防災危機管理課、医療から島根県眼科医会、福祉からライトハウスライブラリー、以上4団体によるパネルディスカッションが行われました。当事者から行政に対し、島根における防災に関わる重要事項を検討すること、避難行動における要配慮者支援リストの個人対応を急ぎ作成することをお願いしました。行政からは、避難指示の発令の基準や避難所の設置方法等、医療からは各眼科委員での患者さんリストの必要性について、福祉からは利用者さんの把握と利用会員の名簿開示について等々、それぞれの関係者の現状と課題のお話でした。第一部で講演いただいた原田さんに司会進行をしていただき、各関係者からの発言をうまく引き出しまとめていただきました。

原田さんは、日頃の業務のお忙しい中、全国で大規模災害に関わる講演を数年にわたり続けておられます。今回もわざわざ出雲市までお越しいただき、大変貴重なお話を聴くことができました。一人でも多くの方が災害を自分のこととして考え行動していただきたいと思いました。

ここから写真が4枚あります。


  • 司会進行をしている矢野美和子(左側)とサポートの島根県立盲学校の田﨑さん(右側)

  • 会場の出雲市のビッグハート出雲の2階の黒のスタジオで、多くの参加者が席に座っている様子。

  • 第一部の講師である堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター 所長の原田敦史(はらたあつし)さんが講演している様子

  • 第二部のパネルディスカッションで、島根県視覚障害者福祉協会、島根県防災危機管理課、島根県眼科医会、ライトハウスライブラリーの4団体のみなさんが会場の前の方で横に並んで座っている様子。

(写真説明はここまで)

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