令和6年度 鳥取県の「子どものための福祉機器展」
会報誌ビッグスワン第60号より
社会福祉法人鳥取県ライトハウス点字図書館 情報支援員(読書支援担当) 山口祐子(ゆうこ)
7月25日(木)から7月26日(金)にかけて、鳥取県・鳥取県教育委員会主催の「子どものための福祉機器展」で、鳥取県立図書館と共催にて読書バリアフリーの体験会を行いました。会場には、視覚障がい者関係支援機器や、コミュニケーション関連機器(意思伝達装置、スイッチ)、車いすや介助用リフト等、福祉関係の多種多様なブースがありました。
25日(木)は鳥取市にある県立鳥取養護学校で、夏休みの開催ということもあり、児童や中高生の姿も会場内でちらほら見られました。点字図書館は、主にマルチメディアデイジー(パソコンやiPad等を使用した、見て聞くことができる図書)や音声デイジー(録音図書)といった体験会を行いました。参加された方は、昔懐かしい「金田一少年の事件簿」や、旅行誌「るるぶ」、最近映画館でも上映された「すずめの戸締り」といった、聞くことができるバリアフリー図書を読んで、「昔読んだことがあるから懐かしい。」とか「最近、映画館で上映していた物が、もう聞く読書になっているのね。」と言っておられました。
26日(金)は、米子市にある県立総合療育センターで、読書バリアフリーの体験会は、持参した読書バリアフリー関係のパンフレットがほぼ無くなる程大盛況でした。この日は、医療機関で開催されたということもあり、医師や、看護師、リハビリ関係の方が多く来場されました。ある作業療法士の方からは、「紙の本を読むことが困難な子どもが、夏休みの読書感想文の宿題に取り組む際に、マルチメディアデイジーを使ったりできたら良いと思う。」等、具体的な使用例の提案もあり、実際に多くの当事者と関わっておられる方のアドバイスに、「マルチメディアデイジーは、紙の本が読むことが難しくて困っておられる方に、そういった有効な使用ができるのだなあ。」と改めて実感した次第でした。
令和6年3月に、鳥取県ライトハウス点字図書館に入職して半年近く経ちますが、読書バリアフリーを必要とされる方が、実際に読書を楽しむ場面に居合わせたのは、この体験会が初めてでした。読書に困難のある方のニーズはそれぞれ異なるため、まずはその方のお話をお伺いしてその方に合った利用方法を一緒に考える。この度、鳥取県の子どものための福祉機器展に参加して、来場してくださった皆さんが読書を楽しむ姿を拝見し、その先には「すべての人に読書の楽しみを」と謳った読書バリアフリー法の理念があるのだと、改めて実感した次第です。
山陰両県は、お互いに身近な存在だと思います。島根ライトハウスライブラリーと鳥取県ライトハウス点字図書館は以前から日常的に交流があり、今後も連携を図りながら、読書バリアフリーの推進を行いたいと思います。