第29回 ロービジョン研修会の報告

目の不自由さと小泉八雲―私たちが八雲にできること―

主催 島根ビジョンネットワーク

報告者 山陰網膜色素変性症協会 事務局長 矢野美和子

令和8年2月1日(日)10時から12時まで、松江市総合福祉センター4階大ホールにおいて「第29回ロービジョン研修会」が開催されました。小泉八雲は、左目は失明、右目は強度近視という、今で言うなら「視覚障がい者」。現代のようなロービジョンケア(見えにくさのケア)がない中にあっても、なお後世に残る文学作品を残した小泉八雲。いままで語られなかった一面を知り、今に生きる私たちへのヒントを探りますというテーマで開催されました。当日の参加者は60名でした。

第一部の講演では、「視覚障がいと小泉八雲」というテーマで、島根大学法文学部の宮澤文雄先生にお話ししていただきました。宮澤先生は、専門分野はアメリカ文学。東日本大震災とラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の文学のつながりについて研究しておられ、また、ハーンや西田千太郎などの地域の偉人の顕彰にも取り組んでおられます。

この日の講演では、小泉八雲の幼少期から大人になるまでの生活の様子や、事故で視力を失うきっかけになったこと、家族との関わり、見えにくい状態での生活の様子など、今まであまりオープンにされてない細かい部分までお話いただきました。

第二部では、医療、福祉、眼鏡協会、当事者の4名でパネルディスカッションを行い、「現代に小泉八雲がいたら私たちに何ができるか」、「見えにくさのケア=ロービジョンケア」は、明治時代よりはるかに進んでいるので、もし現代に小泉八雲がいたら、どのようなケアが可能かを、島根県内でサポートに関わる医療や福祉などの専門家が紹介。同時に当時そのケアがあれば小泉八雲の人生や執筆にどう影響したかを探る「仮想事例検討会」がありました。

医療分野からは「目の状態を正しく検査をすればもっと見えるようになる手立てがあったのではないか」、福祉分野からは「身体障害者手帳の取得により福祉やサービスにつながるし、拡大読書器や音訳図書、点訳図書を利用すれば目をもっと楽にして本を読むことができる」、眼鏡協会からは「小泉八雲の世界観を損なわない眼鏡作成を行いたい」と、それぞれの分野からさまざまな意見が出されました。当事者の発表は私からで、「小泉八雲の生活や執筆活動で悩んでおられる話をお聴きし、必要な情報をお伝えしたい」「あなたのお話で、あなたの考えで、あなたの言葉で怪談を語って欲しいと妻のせつに言っていたので、身近で愛する妻に怪談を語ってもらうことで、小泉八雲の耳から入る想像の世界観から執筆活動ができたと思う」と話しました。

この研修会を通じて、小泉八雲は自分の視覚障がいと向き合いながら、妻せつが語る怪談話を聞いて、「書きたい」という情熱を燃やすことができたのではないかと思います。見えにくい状態だからこそ想像する楽しみがあることも、自分の体験を通してお話できてよかったと思います。

ここから写真が1枚あります。


  • 「目の不自由さと小泉八雲―私たちが八雲にできること―」というテーマでお話しているパネラーの様子

(写真説明はここまで)

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