隠岐の縁「島根県難病フォーラム」

島根県健康福祉部 健康推進課 難病支援第一係 竹本里美

秋晴れの爽やかな日、「令和6年度島根県難病フォーラムin隠岐」が開催されました。開催日の11月9日は土曜日ということもあり、フェリー乗場の七類港直行バスは隠岐へ向かう人たちで満員でした。約2時間半のベタ凪のフェリー旅は熟睡のため記憶がありませんが、到着した隠岐の島町でも清々しい青空に迎えられ、会場である「隠岐島文化会館」に到着しました。

この日は、同じ建物の別会場で大規模なイベントが重なっており、難病フォーラムで来場された方が混乱されないか少々心配をしておりました。しかし、会場入り口で対応された隠岐保健所職員の方やボランティアの方、そこは密度の濃いコミュニティーの強みを生かし(つまり、ご縁のある顔見知りということでした)、「こんにちは○○さん、待ってたよ。会場は2階だよ」と次々と誘導されており、一緒に待機していた自分は口も手も出せませんので、流れるようなやり取りを只々眺めておりました。

フォーラム開始時刻となり、会場では難病患者さんやご家族、保健・医療・福祉関係者約50名近くが、講師の話に熱心に耳を傾けていらっしゃいました。講師は2名で、島根県立大学学長の山下先生、隠岐病院作業療法士の小川先生で、どちらもパーキンソン病についての内容で講演され、IPS細胞治療への期待や遠隔医療の在り方、リハビリへの工夫など新たな知見も踏まえた興味深い内容でした。

講演会終了後は小川先生を交えた交流会もあり、少人数ではありましたが時間の許す限り、普段思っていることや悩み、リハビリに関する相談など、展示されている福祉用具の実物を手に取り、説明も交えながら交流をされていました。短い時間でしたが、難病患者さん、ご家族の皆さんの日々抱え込んでいる重い悩みが、少しでも軽くなられたのでは、と感じました。

ところで、この日一番記憶に残ったのは2つの講演の間での休憩時間の出来事です。「お茶をお持ちします」、この声の後、スタッフ総出で参加者の皆さんの席まで紙コップに注いだコーヒーやお茶を順次運びました。配慮のいる方にはコップホルダーを付けて。1000人集まる大規模なフォーラムも賑やかで良いですが、隠岐でのこの光景は見事にタイトル回収されました。まさに「隠岐の縁」があるからこその光景でした。

(令和6年12月6日寄稿)

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