令和6年度米子市原子力防災住民避難訓練に参加して

鳥取県ライトハウス点字図書館 赤星亨

昨年12月に島根原子力発電所2号機が再稼働したことは報道等でみなさん御存知のことと思います。それに合わせるかのように島根県・鳥取県原子力防災訓練が11月16日(土)、及び11月23日(土)の2日にわたり広域で実施されました。

今回、米子市防災安全課の要請により初めて対象地区住民に加え、視覚障がい当事者が参加されることになり、私も観察者として参加することになりました。島根県では、松江市、出雲市、安来市及び雲南市において同様な防災訓練が実施されており、読者の中にも参加された方がいらっしゃるかもしれません。以下、当日の流れ、印象に残ったこと及び感想を記してみたいと思います。

今回、視覚障がい当事者として参加されたのは、米子市内にお住いの全盲で、お一人暮らしの男性でした。全盲かつ一人暮らしということもあり、最も避難が困難と思われる当事者のお一人です。集合場所として指定されたのは、弓ヶ浜半島に立地する崎津小学校。晴眼の御家族が同居されている場合、車での移動も容易と思われます。一人暮らしの方については、実際避難が必要となった場合、近所の方と車に乗り合わせて移動するか、タクシーを利用するか……ただし、実際に原子力災害が生じた場合、公共交通機関も混乱が予想されタクシー利用は現実的ではないと思われます。

今回は私も参加ということもあり、公用車で集合場所まで一緒に移動しました。最初に伊木米子市長(いぎ よなごしちょう)より挨拶があり、続いて米子市防災安全課の職員より今回の住民避難訓練スケジュール等について説明がありました。また、保健師の方より安定ヨウ素剤の服用についての説明がありました。以下、配付された資料に基づき、事故発生後の対応(UPZ[島根原子力発電所から30㎞]圏内)の流れについて概略を記します。

放射性物質放出前後で対応が変わります。放射性物質放出前は、[情報の入手]に注意し、自宅等で[屋内退避]となります。放出後は、[避難]となり、バス等で避難する場合[一時集結所]に集合の後、[避難退域時検査]会場で放射性物質の付着の有無を確認し、[避難所]へ移動します。ちなみに今回の避難退域時検査会場は伯耆町B&G海洋センター、避難所は倉吉市営武道館で、そこまでは崎津地区の住民の方や米子市(よなごし)職員と一緒にバスで移動しました。

全体の印象・感想としては、滞りなく訓練が進み、対応された鳥取県や米子市の職員の方も慣れた様子でした。ただ、実際に原子力災害が発生したとなると、大混乱が予想されます。今回、初めて知ったことも多く、日頃から情報入手に努めるとともに、いざ避難の必要が生じた場合のシミュレーションを各自でしておくことが大事と感じました。地区ごとに避難所が分かれていることもあり、頼ることができるのは隣近所の人たちと改めて感じた次第です。

原子力事故は起きないものと過信せず、お住いの地区でも今回のような訓練の対象になれば、一度参加してみられることをお勧めします。

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