第10回ロービジョン研修会の報告
この研修会も早第10回を数えるに至りました。今回は、患者当事者3名の方からご講演をしていただきます。3名の方はそれぞれに現存する視力・視野・聴力など違う患者当事者の方です。現在は、就労されていますが、各々ここに至るまでの受容された事や職場での環境がもう少し改善して欲しい事などをお話いただきます。見えない・見えづらい患者当事者の生の声をお聞き下さい。また、見えない・見えづらい中で日常生活や社会参加をしていく上での支援やサポートの理解が増すことを願っています。
- 日時:
- 平成30年11月11日(日)午前10時~12時30分まで
- 場所:
- (社福)島根ライトハウス ライトハウスライブラリ2階交流室
- 主催:
- 島根ビジョンネットワーク
- テーマ
- 「見えない・見えづらくても就労しています」
「島根ビジョンネットワーク」は、見ることに不自由さを抱く方の支援と連携を目指し、医療(島根県眼科医会、視能訓練士勉強会)・教育(島根県立盲学校)・当事者団体(島根県視覚障害者福祉協会/山陰網膜色素変性症協会)・福祉(ライトハウスライブラリー)、及び有志メンバーで構成しています。
参加者からの感想
島根ボイスネットのメーリングリストの書き込みより
昨日、ライトハウスライブラリーにて開催されました第10回ロービジョンセミナーに出かけてきました。視覚に障がいを持った三人のかたの体験されたことを聞きました。
一人目は宇部高専の先生のお話。大学生のころに目の難病を診断され、それでも大学院で博士号を取得、アメリカでの研究員としての勤務。帰国後、宇部高専での勤務。昨年、歩行訓練、パソコン、ロービジョン訓練を受けるために休職。今年の4月に復職という先生でした。さすが研究員としての経歴、自分の障害もたんたんと受け入れてこられたとのこと。それでも近年更に視力が低下してきたことで、気持ちも不安定となり、一年間仕事を休んでロービジョンケアを受けられたとのことでした。相談先として、タートルの会(中途視覚障碍者の復職を考える会)、視覚障碍者教師の会を頼ったとのこと。また、妻である奥様の支援、応援も大きかったということでした。
二人目は視覚と聴覚に障害を持っておられ、子育てと介護事務をされている女性です。
自分の障害のことを周囲に伝えたことで、職場や地域で気づかってもらえるようになった。当たり前のことと思わずみんなに感謝していきたい。これからも家族みんなと自分らしく安全に過ごしていきたい。そのためには長らく働いていきたい。これまでのことを思い出されたのか涙を流されて語られた部分もありましたが、明るく大きな声でお話しされ力強さを感じました。
三人目は視覚障碍者ではありませんが、コンタクトレンズから角膜内に黴菌が入り、入院しての治療から最後はドナーを介しての角膜移植をされ、現在は看護師として働いておられる女性です。高校を卒業後、一年間治療と看護学校に入るべく勉強をされたということで、進路の一番きついところを病気ということで苦しい経験をされた話でした。
最後に司会者の言葉で、これまで何とか克服した。こういった考えで何とかやっている。みなさん何回か許容されてハードルをいくつか超えて、これからも超えていかないといけない。住んでいるところ、年齢、性別、いろんな条件で就労を続けていくことは大変なことです。このセミナー等を行っていくことで社会全体への啓発をしていきたいという話でした。
私もセミナー全体を聞いていて視力が落ちた時のころ、病院に入院したころのこと、ライブラリーで生活訓練、日本ライトハウスで復職に向けての頃を思い出しました。私もあらためて感謝の気持ちをもって過ごしていかなければという思いを持ちました。
最後に
JRPS山陰の松江の矢野です。ロービジョン研修会にご参加いただき、また感想もいただきありがとうございます。私は司会進行をさせていただきました。私たちのこの活動を一人でも多くの医療、福祉、教育、当事者また行政等々社会に訴えていきたいと思っています。患者当事者のこれまでの体験や思いなどを訴えなければ、それをサポートしていただく方々や一般の方々にも理解が届かないのではないかとも感じています。今後とも、この活動にご理解とご協力をお願いいたします。
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一人目の発表者の島袋さん -
二人目の発表者の広瀬さん -
三人目の発表者の山根さんと聞き手の奥美和子 -
会場全体の様子