第11回「ロービジョン研修会」の報告
- 主催
- 島根ビジョンネットワーク
- 日時
- 平成31年2月10日(日)午前10時~12時30分
- 場所
- 島根大学医学部附属病院ゼブラ棟2階(島根県出雲市塩冶町89-1)
内容
「患者の心、家族の心。両者が寄り添うための処方箋」
神戸市立神戸アイセンター病院心理カウンセラー 田中桂子先生
患者の「見えにくさ」は、他人からは理解されにくく、最も身近な家族においても同様です。一方で、患者の支援に疲弊してしまう家族もいらっしゃいます。患者・家族ともに理解し合い、前向きに暮らしていくためにはどうしたら良いのか講演およびパネルディスカッションで探っていきます。
島根大学附属病院視能訓練士による講演「視覚障害の認定基準改定について」
平成30年7月より視覚障害における身体障害者認定基準の一部改定されました。ロービジョンの方にとっては身近な話題ですので、詳しくお話しいたします。
「ロービジョン研修会」及び「島根ビジョンネットワーク」について
「ロービジョン研修会」は、見えにくさ(ロービジョン)に関する理解啓発や関係者の連携促進、及び情報提供を目的に、2013(平成25年)より開催しています。年3回開催予定です。
「島根ビジョンネットワーク」は、見ることに不自由がある方のサポートを、各分野連携して行うことを目指し、2017(平成29)年4月に発足しました。現在、医療(島根県眼科医会/視能訓練士勉強会)・教育(島根県立盲学校)・当事者団体(島根県視覚障害者福祉協会/山陰網膜色素変性症協会)・福祉(ライトハウスライブラリー)・及び有志により構成されており、「ロービジョン研修会」の主催・運営を行っています。
参加の感想
奥 美和子
2月10日に島根大学医学部附属病院のゼブラ棟2階で第11回ロービジョン研修会が開催されました。参加者は東は鳥取市、西は江津市までの広い範囲から来ていただき、参加人数は85名でした。会場もとても広く雰囲気のいい場所だなあと思いました。
講師の田中先生は、神戸市立神戸アイセンター病院で心理カウンセラーをしておられ、普段から患者や家族、当事者にかかわる関係者などに対して心理カウンセラーなどをしておられるそうです。経験や知識もとても豊富で、全国各地で講演会や相談会など行われているそうです。講演のテーマも「患者の心、家族の心。両者が寄り添うための処方箋」という言い回しが、えっ なになに、という感じでみなさんの興味を引いたのではないでしょうか。
後日、講師の田中先生のお話を聞いた患者の方から感想をいただき、家族のことについて普段気づかなかったことを再認識して、少々反省した部分もあったと言っておられました。ご家族にも一緒に参加をしてもらい、家族の立場の話を聞いてもらえたことがよかったと言っておられました。
患者当事者としては、家族に甘えがあったり素直に伝えられない部分もたくさんあります。家族や周りの方と話し合うことでコミュニケーションをとることや、自分ができることをやるという役割分担の大切さを改めて考えさせられました。
私の娘は、主催者から「家族の立場で話をしていただけないか」という依頼があったとき、今までのことを振り返っていろいろ思い出して文章にしてくれたようです。家族の立場で患者である母親のことを考えたら、見えにくいことを抱えている母に対していろいろな思いや、何もしてあげれないのではという気持ちになっている自分に気づいたと言っていました。
当日は、司会者である田中桂子先生に「しゃべりたい田中理恵子さん」とふっていただき、フロアのみなさんの視線が自分に集中したような気がして少々恥ずかしかったようです。娘の話を聞いて泣いていたのは母だけではなく、他に数名の人も涙しておられたよと後で教えてもらい、私の気持ちに共有していただいたのか、また、その方の苦労されている立場などに置き換えておらえたのかなあと思いました。この研修会に参加をされた方々も、ここに至るまでのさまざまな人生があるだろうなあと感じることができました。
ロービジョン研修会で、患者の家族が初めてお話する場面であったため、松江のTさんの奥様や娘のお話を聞いてもらえる機会を作っていただいたこともよかったなあと思いました。Tさんの奥様の、妻としてさりげないやさしさと深い愛情も感じることができました。
みなさん、娘の話を聞いていただきありがとうございました。娘にとってもよい体験になったと思います。会場に長女もきていて、姉も妹の話に同感してくれたようです。私は娘たちに心配をかけないように、明日自分の命がどうなるかわからないので 、今やりたいことを一生懸命やろうと思いました。
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「患者の心、家族の心。両者が寄り添うための処方箋」というテーマで、ご講演いただいた神戸市立神戸アイセンター病院 心理カウンセラーの田中桂子先生 -
田中桂子先生の司会進行で、4人がパネルディスカッションをしている様子 -
会場全体の様子