平成26年12月28日　生駒山から吹き付ける風が冷たい東大阪市花園ラクビー場第三グランド、観客数1,100人、8割が近大付属の青色応援団、和歌山から大型バス7台、近大付属大阪から友情応援200人、グランドで円陣を組む赤黒ボーダーの選手。
　「トライとるぞ！」主将のおたけび、「シャー！シャー！」連呼する選手たち。
27日の入場行進で、ドリームフィルド賞をいただき、元気がでる選手たち。　「鬼の形相してます。気合はいってます。」今回の王子の解説は、ラクビーおたくの銀行員Ｕさん。「前半5分のはいりが大事」と言うなり、メガホンで「キックの処理、落ち着いて」と大声をはりあげる。
　前半10分、敵の高速バックスを走らせない近大付属フォワードの早い出足、硬さもとれてきたその時「いけー！いけー！」の声、「いいでー栗ちゃん」の声、
Ｕさんが「4番が脱け出して22ｍライン手前にきました。」　栗ちゃんことオオゾラくんは、空手の達人。開会式3日前、一緒に夕飯たべました。「なんで、助っ人してくれたのの？」とたずねると「中学3年の時、能開で山崎から、ええガタイしてるな、ラクビーせえへんかて誘われていたのが気になっていたので」との答。「でも、ラクビーはこれでおしまい。空手で世界一を目指します。」と答。最後に一言「この仲間やから、このメンバーがすきやから」とポツリ言うと、オムライス大森、とんかつ、チキンコキールをペロリとたいらげた。
「花園で活躍したら、好きなもの食べ放題」と約束。息子が「オオゾラは、デビューはボールもって走る野獣て言われてたけど、ルール覚えてプレーが小さくなったわ、野獣にもどれ」とアドバイスで夕食会はお開きになりました。
　敵陣22ｍラインでスクラム、ボールが出た9番ハヤタからのパス、インターセプト、高速バックス陣にボールが回る、「とめてー！」応援席の母親たちの叫び。Ｕさんが「だめです、相手は選手が余ってます」、ここで長い笛がなる。
先制トライを許してしまった。　監督から「ハヤタのパスだしが遅い、敵はそこを狙ってくる」練習の時に言われていた。毎日、パス出しの練習をやってきた。遅くまで居残り練習してきたのに、そこを狙われた。　グランドから「9番カモよ」との声、Ｕさん「9番、挑発にのるな、冷静に、時間はまだあるよ」、キックは失敗、５対０。　ボールの支配は近大付属が長い、何度もナンバーエイトミサキが持ち込むが、敵も踏ん張る。Ｕさん「スクラムは押しかっていますからチャンスがきます。」
「押せ、押せ近大」一段と声援が大きくなった時、「また、ハヤタのパスが狙われた」、逆さいどへ走られた。「1番しか残っていない。ユウスケとめろ！お前だけしかないで！」、鈍足の息子ではとめられんと父ちゃんはあきらめた、Ｕさん「ユウスケくんが振り切られた。その時、1番を追い越し8番がタックルにきた。」「踏ん張れ！」長い笛、トライの追加点、キック失敗で10対０．これが7人制ベスト16の高速バックスの実力か。まだ、これからだ。下をむくな時間はある。
キックに7番ヤンシーが早い反応、Ｕさん「販促。ボール取る前にタックルしてしまいました。」　センターラインでの敵ボールのスクラム、Ｕさんが「8番ミサキくんがフルバックの位置に下がっています。敵のキックへの対応ですね。」その8番ミサキがまたまた突破して走る。前半終了のホイッスル。残りは後半30分、がんばれ近大付属和歌山。
　Ｕさんが「笑顔が見えます。まだ余裕があります。」と教えてくれる。赤黒ボーダーが円陣を組む。「絶対逆転するぞ」主将が叫ぶ。「シャー！シャー！」連呼して円陣をとき、グランドに散る15人の戦士たち。ラインアウトもスクラムも近大付属が支配している。早い時間にワントライ返せばいける。後半も敵陣に攻め込むが高速バックスのカウンターを警戒してもう一歩攻め込めない。
10分経過。モールから近大最重量3番オックンが飛び込む、「痛がり！泣き虫オックンが初トライや」湧き上がる応援団。主審の声「ノートライ」歓声がため息に。Ｕさん「グランデングできてないようですね。」すぐに泣き出すオックン、勝っておもいきり泣くていってた。がんばれオックン。
　また、敵ゴールラインまで５ｍ、アドバンテージもらった、一か八か的の裏へキック、
14番ウエが走る「」何で、新人戦から助っ人にきてくれたのと尋ねると、「12人では、合同チームになる。俺たちは赤黒ユニフォームで戦いたい、ウエ、助けてくれて頭下げられたから。」そして、「ラクビー楽しくみえたから。」そんな話をしてくれたウエ。
走れウィング14番ウエ「俺はサッカー部の落ちこぼれじゃない。サッカーから逃げたのでない。」2年生の1月まで、近大付属サッカー部所属のウエ。サッカーで試合にでれないからラクビーに逃げたと陰口に耐えた1年、君は立派なラガーマン、胸を張れ、和歌山にも高速バックスが存在するところをみせつけてやれ。
「キャリーバック」主審の声、Ｕさんが、「５ｍさがって近大ボールのスクラム」と伝えてくれる。
時間をかける、その時、近大応援団の対面から「いけ、いけ近大」「おせ、おせ近大」すごい声援。動転優勝の和歌山工業高等学校の友情応援。この声援を受け、スクラムをつくる赤黒ボーダーのフォワード、グランドから「8番ミサキがくるでマーク」「13番ドゴシが狙っている、マークはずすな」敵の声が飛び交う。Ｕさんが「8番ミサキくんが後ろに回りました。9番、8番でブラインド側に突っ込む作戦ですね」と予想。ボールが入る。8番ミサキが左サイドへ動く。敵がミサキの動きにあわす様に守備陣が流れる。真ん中に開いたスペースに7番ヤンシーが飛び込む。ホイッスル、トライ！近大付属の初トライは、ミサキをおとりに使った狙い通りのヤンシーのどや顔トライ、「ええでー岡本！近大はミサキだけじゃないでー」「いけ！いけ！近大」勢い増す応援団。横でＵさん「ミサキくん、歩き方おかしい、どこかいためたかな」。この時、ミサキのヒザは悲鳴をあげていた。靭帯のケガが治っていない。かばったプレーで逆の足がつった、残り15分我慢してくれ、司令塔が無くなったら追いつけない。「がんばれミサキ。」応援団から声がかかる。
　Ｕさん「この角度のキックは、高校生では無理ですね。」時間をかけるカラモン、1月センター試験がんばって大阪大学受験したいと言ってた、運試しや、入れてやれカラモン。「これ入れたら大学も受かるよー」と黄色い声援。
狙いすましてけったボールはみごとゴール。これで10対７、ワントライで逆転、ええでーカラモン。
　敵の高速バックスに、センターバックのトゴシが、ウィングのウエが、フルバック山井がおそいかかる。止めたあとのフォワードの終結が早い。痛む足で岬が抜けた。ボールをとられた。13番トゴシのタックル、ノックオン。1年生ながら、近大バックスを引っ張るスーパールーキー、赤黒ボーダーが倒れている。誰だ、14番ウエや、大丈夫かとスタンドからの声に大きくうなずく。Ｕさん「上にのられて足をひねったみたいです。」ミサキ、ウエが戦力ダウン、残り10ｍどうする近大付属、ここは、フォワードで責める。モールをつくり、押す。「押せ、押せ近大」長い笛、トライの声、主将テルキが飛び込んでトライ、「よっしゃー逆転や。」神戸大学受験を控え、ラクビーとの両立に悩んだ主将がきめた。このまま押し切れ、応援団から熱い声援が飛ぶ。あと残り5分、敵も最後の力で攻めあがる。「とめてー」「引き倒せ」の声、Ｕさん「敵の選手が多い、あかん」逆転トライ15対12残りは1分、あとワンプレイ。相手ボール、絶対絶命。「ぬかれる、やばい」
「えぐいタックルや」の声、沸きあがる歓声、赤黒ボーダー13番1年トゴシが、「こんなとこで負けられるか」と敵バックスを吹っ飛ばす猛タックル。ボールを奪った、すばやく起きて走り出す。いけトゴシ、大阪有名校から誘われたラクビーセンス見せ付けてやれ。敵の高速バックスも戻りガ早い。ウィングのウエが走れない、フルバック山井、1年生ウィングコウノがフォローに走る。トゴシがつかまる。後ろにヤマイがいてる、「コウノ、前に出すぎや」の声がとぶ
、最後のパス、「行けコウノ、ゴールラインまで走り抜けろ。」笛の音が鳴り響く、「何だ！何があった。」呆然とする応援団。ノーサイドを告げる無常のホイッスル。棒立ちの赤黒ボーダーの選手たち、13番トゴシが「先輩、ごめん」と頭を下げる。ラクビーの基本の基本、前へのパス、トゴシがそんな凡ミス、花園には何かがある。でも、トゴシよ胸をはれ、「君が近大付属にきてくれたから、みんなが花園でプレーできた。」素人1年生を背中で引っ張ってきたのは君だ。長崎国体で90対０で敗れた時、和歌山のラクビーは全国で通用しない、同じ高校生、花園でやってやるて言ってたな。本当によくやった。
　良い試合やった。勝てなかったけれども、力を出し切った。1月12日からは新人戦や。トゴシよ、コウノよ、オックン、この経験を生かして来年もこのグランドに立って活躍期待してます。
　「一人はみんなのために！みんなは一人のために！」よい言葉です。
2番　キャプテン　河内　通称「テルキ」和歌山予選決勝、抽選勝ちの時も冷静。もう涙みせても・・・
4番　栗山　通称「オオゾラ」　助っ人ありがとう。空手世界チャンピオンに向かってがんばれ。けっしてラクビーは回り道でないと思う・・・・
6番　唐門　通称「カラモン」　小さい体で、難しいキックきめました。花園でのキックは伝説になるかも・・・・
7番　岡本　通称「ヤンシー」　近大付属の初トライおめでとう。この功績はいつまでも近大付属ラクビー部の歴史に残ります・・・・
8番　御崎　通称「ミサキ」　大車輪の活躍でした。近畿大学ラクビー部に行っても応援するから・・・・・
9番　早田　通称「ハヤタ」　パス出し狙われましたね。相手の挑発によく我慢しました・・・・
10番　福島　通称「フックン」　よくぞラクビー部に戻ってくれました。君がいたからバックス陣が引き締まりました。
14番　上恵　通称「ウエ」　サッカー部で鍛えた脚力、君の足が花園への道を切り開いてくれたと思う・・・・・
15番　山井　通称「フライ屋ジュニア」　6０キロの体で、大きな敵にぶちあたる向こう意気、迫力ありました・・・・・・・
そして、1番　山崎　通称「ユウスケ」　未熟児でうまれたので心配したけど、・・・花園ではラインアウト、ノットストレート出なくてよかった・・・・
　最後に　見えない目の父ちゃんに　感動をありがとう。　これで、息子の学童野球から始まり、娘のフェンシング、そして息子のラクビーに続いた見えない眼での観戦記は終了します。長くのご愛読ありがとうございました。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　《完》