「JRPSワークショップ2018 in 神戸」実施報告

2018年11月18日、患者自ら臨床試験(臨床研究・治験)を考えるワークショップがJRPSと日本医療研究開発機構(AMED)の研究班(研究代表・武藤香織)の共催として行われました。神戸の主会場と東京、札幌のサテライト会場をライブで結んで同時進行し、JRPS会員と一般公募あわせて約170名が参加しました。

JRPS佐々木理事長の開会挨拶に続き、理化学研究所の高橋政代先生が「RP治療法開発に向けて~中長期的な戦略」と題して講演されました。内容の一部を以下に記します。

・RP患者を対象とする視細胞移植治療の臨床研究を来年土申請する予定である。
・対象となるのは視細胞が失われて早い時期の患者であるが、詳しい参加条件は試験開始後に神戸アイセンター病院のホームページに掲載される。
・あり得るリスクなどについて、これまでの加齢黄斑変性患者に対する臨床研究の経験がすべて生かされる。リスクを含め、説明をよく理解して参加してほしい。臨床試験が一般治療と違うことを理解していることが参加の最低条件である。
・再生医療安全確保法のもとで医師主導臨床研究を実施するが、引き続いて行う治験で一般の治療になる可能性がある。そのほか、先進医療、自由診療という道筋もある。

続いて東京大学医化学研究所の武藤香織先生により「患者が研究者のよきパートナーになるために 倫理的観点から」と題するお話があり、臨床試験に誘われた時に考えるべき
こととして5点挙げられました。

1.丁寧に説明を聞き、考える時間を十分とり、よく考えて参加・不参加の意思決定をする。
2.研究参加後の体調変化など、また新たに生じた疑問を伝えることは義務である。
3.途中で参加をやめてもよい。
4.続ける場合は、定められた通院回数、検査、生活上の制限などをきちんと守る。
5.臨床試験終了後には試験全体の結果を聞くことができる。

これらを独力で行うのは難しいので、医師と患者をつなぐ役割を持つ臨床試験コーディネーター(CRC)さんが助けてくれる。

両先生の講演終了後、3会場参加者全員が27グループに分かれ、「臨床試験を患者の立場から考える」をテーマに討論しました。
最後に、高橋、武藤両先生のほかに企画を担当したJRPSの患者理事も加えてまとめ発言があり、ワークショップを終了しました。三者が揃って強調したことは、最先端の治療をいち早く受けることと誤解せず、将来の治療の開発のために臨床試験に参加するということでした。最初の臨床試験は神戸で実施されますが、地理的に離れた患者も含め、試験に参加する患者の立場になってともに考えた意義は大きいと思います。今後はJRPSや地域協会として果たす役割についても認識が深まればよいと感じました。

カテゴリー: QOL活動, お知らせ, イベント情報, ニュース, 医療講演会, 情報公開, 本部, 視覚障害者向けイベント案内 パーマリンク

コメントは停止中です。