コロナ感染症対策に関する国際的協力推進の取り組み

 ここ数か月間、国境を越えた科学的協力への大きな変化がおきている。コロナウイルスに対して安全かつ効果的に効くワクチン開発を加速するために知識とリソースを共有することにより、世界中のさまざまな疾患専門分野の研究者が協力している。このように、本来機密に属する健康データに、彼ら研究者が安全にアクセス出来るようにするデジタルプラットフォームが、研究を進め、最終的には希少遺伝性網膜疾患を含む多数の疾患の治療法と完治に向けての方法を開発するために、緊急に必要とされることが、さらに明らかになった。
テクノロジーの観点から見ると、データや情報を世界中で収集、保存、共有することがこれまでになく簡単になった。ただし、安全でアクセス可能なデータベースを開発する上での課題として、国際的協力を妨げるデータ規制と保護法の複雑な状況に対処する必要があるという点が残っている。
2020年7月、世界経済フォーラムは「機密性の高い健康データ共有連合(コンソーシアム)モデル」と呼ばれるレポートを公開した。以下は、データ共有連合を構築して、機密性の高い健康データへの制限付きアクセスを許可する効果的な方法※1を確立するための8つのステップガイドである。このレポートは、2018年7月から2020年7月に世界経済フォーラムによって実施された「Breaking Barriers to Health Data」プロジェクトの以前の研究に基づいており、国境を越えたデータ共有を促進するためのデータ共有連合システムモデルの使用を奨励し、その方法を説明している。つまり、個人データのプライバシーも保証する方法で、持続可能かつ効率的に確立および運用できるというわけである※2
そのためには、これらのデータ共有連合システムに保存されているデータにアクセスできる政府、利害関係者、関係者の間での信頼感と透明性を確立することが重要である。また、治療法と完治に向けての方法の開発を加速するという観点から、現在のデータ法を国際基準に合わせて修正し、その成功、普遍的な適用、持続可能性を最大化することの重要性を主張することが肝要である。
データが共有されること、特にデータ共有連合システムを通じて疾患の原因または疾患発症に関わる複数の要因を特定するために使用できるDNAなどのゲノムデータは、研究者が使用するコンピューター上で分析することができる。研究や臨床試験を実施、企画したい研究者は、データ共有がない時より、多様で非常に大きなデータセットにアクセスできる。これにより、研究者たちはより正確な結果が得られる。特に、一地域において大量のサンプルを収集することが困難な希少疾患研究者の場合に役立つ。
ただし、国際データ共有連合システムに関して、政府や他の利害関係者と重要な情報を共有する場合、安全、かつ有効な手段であると強調するには、事前に、先述したような対策を講じておく必要がある。それができれば、多くの疾患に関する知識を進歩させることに貢献し、特に、さまざまなまれな遺伝性網膜疾患の治療法の確立と完治に向けての道筋を加速させるものと期待される。

参照:

1 . 世界経済フォーラム
機密性の高い健康データ共有連合(コンソーシアム)報告書。 http://www3.weforum.org/docs/WEF_Sharing_Sensitive_Health_Data_2020.pdf
で入手できます。
2. 世界経済フォーラム。健康データプロジェクトへの障壁を破る。 https://www.weforum.org/projects/breaking-barriers-to-health-data-project
で入手できます。

日本語訳:森田三郎(JRPS)

元データ(英文:20200801)
https://www.retina-international.org/resources/covid-19-news-bulletin/covid-19-news-bulletin-12-08-2020/covid-19-driving-cross-border-collaboration/

 

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