【特別寄稿】網膜電気刺激治療 第3相医師主導治験

千葉大学大学院医学研究院 眼科学 三浦 玄

現在、千葉大学医学部附属病院・眼科では「網膜色素変性を対象とした経皮膚電気刺激装置の有効性及び安全性を検証するシャム対照二重遮蔽比較試験」という医師主導治験を行っています。
経皮膚電気刺激治療とは、額と両眼の下に貼った通電パッドから網膜の神経細胞に弱い電気刺激を与えることによって、視機能の改善や維持を期待する治療です。この電気刺激は、ある条件のもとで繰り返し行うことで効果を得られることが分かってきています。
2018年に、この経皮膚電気刺激治療を10名の網膜色素変性患者さんに3ヵ月間行ったところ、視力と視野が改善しました。また、治療を中止した後の視力変化もゆるやかであり、治療を行わなかった場合の推定視力と比べて約2年分進行を遅らせたという結果が得られました。この時の治療による副作用はありませんでした。
電気刺激治療はドイツなどのヨーロッパではすでに網膜色素変性患者さんに使用されていますが、日本国内ではまだ使用することができません。私たちはこの機器をさらに安全に、そして簡単に行えるように改良型の機器を開発しました。
現在行っている治験は、この医療機器を治療として国内で保険使用できるようにするための試験です。20歳以上80歳未満、矯正視力が0.1から0.7までの定型網膜色素変性患者さんを対象に、30分間の電気刺激治療を2週間に一度、6ヵ月間行います。その後は3ヵ月に一度2回受診をしていただき試験終了となります。そのため、最初の24週間は2週間ごとの通院が必要になります.
この治験は千葉大学医学部附属病院、神戸大学医学部附属病院、名古屋市立大学病院の3施設で行っています。
ご興味のある方は、治験調整事務局(電話番号:043-226-2735)までご連絡いただき、「網膜色素変性の治験について」とお伝えください。

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