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続・海外に情報を求めて

匿名希望


 海外をサーチすると驚くほどではないのですが、わが国との違いを如実に感じます。例えば最近、ある遺伝性の疾患を検索したところ、わが国では数件しかない情報が海外のウェブでは数千件と膨大な数の情報がありました。このとき、初めてわが国には症候群や遺伝性の疾患の一般的な知識、文献的な情報が(サイトとして)ほとんどないことに気が付きました。確かに成人病や一般的に良く知られている病気の解説などはありますし、紹介しているサイトも多いです。また、RPの情報などはここ数年格段に増えてきました。しかし、症候群も含めた遺伝性の疾患について、患者たちは自分たちの病気についてあまりにも知るすべがないのです。

また、情報と言ってもわが国と海外とはおもむきが異なります。わが国のウェブにおいてはあくまでも検索(サーチ)の対象語としてヒットするのに対して海外、特に英語圏は専門的、文献的でしっかりした情報提供なのです。(反面、どのサイトも似たり寄ったりと言えなくもありませんが・・・)その病気がどういうものであるか、特徴と症状、原因など概要と歴史なども記載されていることも珍しくありません。遺伝子、分子レベルの質の高い文献もあります。症候群も含めた遺伝性の疾患の情報はないものはないと言っても過言ではありません。患者が希望するならばあらゆる病気についての知識とより専門的な情報はウェブから求めることができます。(患者でなくてもですが・・・)どうしてこんなに差があるのでしょうか?

 ウェブの歴史が違うせいかと思いましたが、調べてみるとウェブはインターネットに含まれるものですが、ウェブそのものは1989年に開発されたものの、爆発的に普及したのは1990年代の半ばですから、比較的歴史が浅いと言えます。これはわが国も条件は一緒だと思います。次に著作権がネックになっているのかと調べましたが、これもベルヌ条約などの国際条約があるそうです。(加盟国同士のルールですが・・・)極端に堅いのかと言うとそうでもありません。その旨記せば「引用」することも可能ですし、許可を得る必要もないそうです。(※この場合の「引用」とは出版物のことだと思います。病気の説明についてのもともとの著作権は出版物、学会などの報告書にあると考えられます。)著作権についても海外に比べて条件が著しく不利とも思えません。

 また、海外の(病気の)サイトは内容も造詣が深く、スマートな印象を受けました。わが国ですと企業は別として、個人のサイトでもCMが入っていることは珍しくありませんが、海外の(病気の)サイトはノンコマーシャルが主流です。病気について解説されているBOOKを販売しているサイトは別にして、CMの入った(病気の)サイトは珍しいと言えます。海外は大学も含めた専門の医療機関などのサイトが遺伝性の疾患について情報を提供していることが多いことにもよるのかも知れませんが、意識の違いだと思います。

 いずれにしろ、すべての遺伝性の疾患において、患者自身が容易にアクセス、コンタクトできるサイトが増えてくれることを願うものであります。

追記

 この稿を書き終えた時点でいつも利用しているサーチエンジンが翻訳サービスを開始しました。(もちろん無料です)専門用語は翻訳されず、また長文の場合、途中で翻訳が終わってしまうなど、使い勝手はいまひとつですが、長い目で見れば進化していくことでしょう。翻訳ソフトを立ち上げ、操作するのは意外と億劫(おっくう)なのです。サーチしたウェブページの英文をワンクリックで翻訳してくれる・・・。敷居が高かった海外の情報が身近になることが期待されます。

(2004年11月19日 記)


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