JRPSトップ > アイヤ会トップ > バックナンバー > 目次

●アルポート症候群

匿名希望


 アルポート症候群(Alport's syndrome(AS, ATS))は1927年Alportによって、最初に報告された腎症と難聴を特徴とする。遺伝形式はX連鎖性優性遺伝のタイプが多いが、常染色体劣性遺伝の2つの主要な別個のタイプが認められ、遺伝的にかなりの異質を示す疾患である。1986年にAtkin(アトキンス)らが6つのタイプの優性形質のアルポート症候群の存在を提案したという報告がある。T:難聴を伴った典型的(古典的)な若年型アルポート症候群、U:難聴を伴ったX連鎖性の若年型アルポート症候群、III:難聴を伴ったX連鎖性の成人型アルポート症候群、IV:難聴そのほか腎臟病などの異常を伴わないX連鎖性の成人型アルポート症候群、V:難聴と血小板減少を伴った常染色体のアルポート症候群、Y:難聴を伴った常染色体劣性遺伝の若年型アルポート症候群である。腎症は血尿、蛋白尿の異常が特徴であるが、異常がなくても遺伝子レベルでアルポート症候群と診断される場合もある。原因遺伝子がIV型コラーゲン遺伝子であることが明らかになってから幾つかの診断基準がある。X連鎖性の遺伝形式が多いこと、女性のX染色体が2本であるのに対し、男性はX染色体が1本しかない関係で男性のほうの症状が進行すると言われている。女性の場合はX染色体の1つが変異してももうひとつのX染色体が補うのでそれだけリスクが少なく、症状も軽い傾向にある。アルポート症候群の報告のあった症状として、顔面中央の発育不全、小顎症(しょうがくしょう)、魚鱗癬(ぎょりんせん)、手足の指異常、鼡径(そけい)ヘルニア、緩慢な腹筋、腹直筋正中離開、関節の過伸展性(四肢)、低血圧(症)、筋緊張低下、気管と気管支の平滑筋腫(呼吸器系)、食堂の平滑筋腫(胃腸系)、糸球体腎炎および腎炎、糸球体基底膜の損傷(泌尿生殖器系)、副甲状腺機能低下、マクロ血小板減少、楕円赤血球症、白血球封入体、高ビリルビン血(症)など、進行すると種々の症状を伴うことが多い。難聴は神経性難聴で、眼疾患は円錐水晶体、球状水晶体、白内障、黄斑または周辺斑点、隔離症などを伴うことがあるが、腎臓病、難聴、眼疾患の順に頻度は低下する。(難聴は30〜50%で存在するという報告がある)なお、網膜色素変性症(RP)を伴った患者の報告例はない。アルポート症候群についてはわが国のウェブでも情報が多い。

※A. Cecil Alport(1880-1959)南アフリカの医師

※ "Alport's syndrome"のサーチ件数、約35,900件。アルポート症候群のサーチ件数、約13,300 件(サーチ日2006/5/3)

参考文献:
#301050 ALPORT SYNDROME, X-LINKED; ATS
%104200 ALPORT SYNDROME, AUTOSOMAL DOMINANT
 その他

免責事項:
 作者はほかの症候群のイチ患者に過ぎない。少なくとも医療に携わる関係者が患者に説明するに、患者が医者に質問するためにここに掲載した情報は使われるべきではありません。アルポート症候群の治療とケアはプロフェッショナルな医師と相談するべきです。


[前ページ]-[目次]-[次ページ]