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匿名希望
無β・リポタンパク血症(abetalipoproteinemia)は、1950年にBassenとKornzweigがはじめて報告した。無β・リポタンパク血症の要因としてのミクロゾームトリグリセリド転移タンパク質(MTP)における分子欠損であることが確認されている。特徴はセリアック症候群(celiac diseaseと同義語。セリアック病=小児脂肪便症)、網膜色素変性症、進歩的な運動失調性の神経障害、および有棘赤血球増加症の異名を取る赤血球の先天性異常があり、通常、常染色体劣性のまれな遺伝性疾患である。食事などによる脂質の腸内吸収は不完全で、そのため、幼年期からの脂肪便がある。徴候は、フリードライヒ失調症に似ており、精神遅滞、脊髄小脳変性、脊柱側弯症などの報告がある。また、非定型的網膜色素変性症という表現も使われている。塩基性の欠陥は、低比重リポタンパク質(LDL)と超低密度リポタンパク質(VLDL)および、カイロミクロンのapoBペプチドを合成する能力のなさであると考えられ、β・リポタンパクはまったくない。また、この疾患の徴候の多くはビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンKなどの欠乏の結果であると考えられ、特別な治療法はないがビタミンEとの治療が推奨されている。男女両方に発症するが男性のほうの割合が高いという報告もある。
(作成日:2007/8/6)