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●コーエン症候群

匿名希望


コーエン症候群(Cohen syndrome)は、1973年にCohenらが3症例を報告したのがはじまり。1978年にCareyとHallが4症例を追加報告した。臨床徴候は厳しい精神運動遅延、鈍い運動神経、小頭症、小顎症、高さがアーチ形天井の口蓋、めだつ切歯、波形の眼瞼(外下がりの眼瞼)を含む独特な目鼻立ち、幼年期低血圧、および関節弛緩、進行性脈絡網膜炎ジストロフィ、近視、間欠性分離好中球減少などがみられ、まれな常染色体劣性の遺伝性疾患である。そのほか、視神経萎縮、斜視、眼振、肥満などの報告がある。また、色素性脈絡網膜炎の表現の文献もある。コーエン症候群は、臨床検査によって診断されるがそれを診断するのはしばしば難しい。Kondoら(1990年)によって、網膜の異型(mottled retina)を伴うものをフィンランド人型、異型を伴わないものをユダヤ人型とする二つの別個の臨床の表現型に分類することが提唱されている。

(フィンランドとイスラエルからの報告が多いがわが国でもまれに報告されている。)

※参考文献
#216550 COHEN SYNDROME; COH1ほか
※サーチ件数(サーチ日 2007/8/10)
“Cohen syndrome” 約 26,700 件
■参考
コーエン症候群(Cohen syndrome)の同義語として、ペッパー症候群(Pepper syndrome)、Cervenka(チェルベンカ、セルベンカ)症候群(Cervenka syndrome)がある。変異した遺伝子がマッピングする遺伝子座は、8q22-q23。筆者が調べた範囲内では、コーエン症候群は比較的歴史が浅い疾患であるにもかかわらず、文献、および症例により、臨床徴候はばらつきがあり、確定していない印象を受けた。特に網膜の疾患については、記載されていない文献もあることからまだまだ勉強すべき未知の部分が多い疾患である。

(作成日:2007/08/10)


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