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●特定疾患という名の難病

アノニムライター

現在、特定疾患と定める難病は123疾患あり、それらは難治性疾患克服研究事業の対象疾患となっており、うち45疾患の医療費は一定の認定基準をみたされていればその治療にかかる医療費の一部を公費で負担してもらえる特定疾患治療研究事業の対象疾患となっているのはご存知の方も多いと思います。
“網膜色素変性症(RP)”は現在指定されている45疾患の37番目として平成8年1月1日に指定されましたが、アッシャー症候群は網膜色素変性症と先天性の聴覚障害のみを発症する疾患ですから必然的に特定疾患であるともいえます。従ってアッシャー症候群は123疾患、45疾患の中に疾患名として記載されてはいませんが実質、特定疾患であるというのが筆者の認識です。
それはよいのですが、45の特定疾患の中で命にかかわらない難病はRPだけという話を聞いたことがあります。ある難病の集まりの会合があって、つい最近会ったばかりなのに死にましたと言われるケースがままあるそうです。45疾患のすべてが明日の命にかかわるというわけでもないでしょうが命にかかわる難病が45の特定疾患に多いのも確かだと思います。RPの患者同士で飲み会をやっていると聞くとびっくりされたという話を聞いたこともあります。それだけ命にかかわる難病が多いということなんだと思います。なんともせつない話です。筆者自身はそういったはかなく死んでいく難病の存在も同じ難病患者として知っておく必要があるように感じました。
筆者のように“症候群とは何か?”と文献の世界を探索すると命にかかわる難病とはどのような難病なのか遭遇することがあります。ある程度の年齢以上を生きることが許されない難病、症候群の患者が存在するという歴然たる事実があるのです。少なくても筆者のように患者自身がこうやって遺伝性の疾患である症候群を語るときはほかの症候群のことも多少なりとも知っていなければならないと思うことがあります。最近はアッシャー症候群や網膜色素変性症の患者に限らず、多発性奇形症候群や遺伝性疾患の難病の患者に対して遺伝子診断・解析・相談を行う機会がわが国でも増えてきました。
ロボットやクローンが作れて肝心の治療法が見つからない不可思議な時代を生きているとどこかで書いたことがありますが遺伝子診断が行われる時代になるとは想像もつかなかったがこれだと筆者が思っていた以上に治療法の解明は早いのかも知れない。孫子の時代までという言葉がありますが今の子供の世代には治療法が見つかるかも知れないと思うこのごろであった。


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