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●わが点字の需要

一生点字訓練生


 先日、横浜で開催されたあるイベントでSさんにお会いした。Sさんは筆者が一方的に年賀状を送っている方だ。年賀状を送るようになったきっかけは記憶がうつろではっきりしないが途中でやめるのも失礼なのでそのまま時期がくると毎年送っている。
筆者が点字を覚えたので途中から点字年賀状に変わった。Sさんが点字を読めるかどうかわからなかったが必要かも知れず、また、点字を使う機会がないので送ってみることにしたように記憶している。お会いしたときにその年賀状のお礼を言われた。“いつも年賀状をありがとう。返事を出さなくてごめんね。でもぼく、点字が読めないんだよ。”そんな意味の会話だったがお互い笑ってしまった。
考えてみれば筆者の回りの同じ視覚障害者の仲間は点字をできたとしても点字でのコミュニケーションというか点字を使って情報交換したりすることはない。新年のあいさつだってメールが中心だ。会う機会が多いこともあるがわざわざ点字を使ってまでコミュニケーションはしない。
そのイベントである点字関係の機器を販売する企業さんと雑談する機会があり、その企業さんの担当者が言うには、点字を使うユーザーが年々減っていくのを実感しますという意味のお話をいただいた。点字ユーザーが減っているのは間違いないだろう。点字が完全になくなるとも思えないが点字は覚えることや書くことくらいは練習すれば誰でもできると思うが難しいのは触読であろう。最近は糖尿病などで指先の感覚のない方もいるので読むのに時間が掛かる、困難という話も聞いたことがある。
しかし、点字がなくなってしまうととても困るものだ。エレベータなどで点字が添えてあると便利である。短くて簡単だから筆者でも読める。難しいといえば点字は分かち書きも難しいと思う。こればかりは慣れなんでしょうが書き方が統一されていないというか一定していないように思えた。その辺について点字を教えてくれた指導員に尋ねたことがあったが使っていくうちにどうしても合わない、当てはまらないケースが出てくるのだというそんな意味のことを言っていたのを思い出した。
分かち書きといえば最近、ウエブ上で文章を入力すると分かち書きも含めて自動的に点字化してくれるツールのあるサイトを見つけたがとても便利である。インターネット上には無料で使える便利なものがいっぱいあってこれは本当にありがたい。前述のSさんだが点字を使う機会がこれでまた減るなあと思った。なんとか使う機会を増やさなければと思うこの頃であった。


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