★ガイドヘルパー養成研修に会員が当事者スタッフとして参加
その企画は、千葉県NPO活動提案募集事業の厳しい審査を経て、24事業の提案
の中から選抜された7事業の一つとして採用されました。これはNPO等の民間団体
が提案する創造性のある先駆的な事業を、県の委託事業とするものです。
「障害をもつ人が講師やスタッフに加わって、障害者のニーズに沿った充実した研修
にしたい」。この主旨を実現するために、JRPS千葉県支部の会員が当事者スタッ
フとして協力させていただきました。
4日目の最終日の屋外実習に10名の会員が参加し、花の美術館や街の中を受講者
と一緒に歩きました。講義やテキストだけで学習していた受講者の方々は、最初かな
り緊張されていましたが、時間を共有するうちにうちとけ、視覚障害を持つ方々を自
然に理解されていったようです。
雑談から、子育て、視覚障害者の生活、なかには浪人生の対処法まで。人生を語り
合う方々までいらっしゃり、研修を忘れるほど楽しかったという声をたくさん聞きま
した。
花の美術館では、花の形や色をどうしたら正確に伝えられるか悩みながらの、しか
したいへん丁寧な受講者の説明にしっかり耳を傾けながら、私たち当事者はさらに嗅
覚と触覚を働かせていました。
研修の最後には、当事者から受講者に対して堂本暁子知事の修了証が手渡されまし
た。
今回、当事者として参加できた私たちもたいへん貴重な経験をさせていただきまし
た。健常者同志がアイマスクを付けて擬似体験をすることも大切な訓練と思います
が、見えないことは恐怖だけではないことや、対人・コミュニケーションの大切さ、
まさに「福祉は人なり」を実践したものと思いました。
今回のこの企画は、太田浩二さんがマスコミ各社を回り、NHKでは当日の首都圏
ネットでの放送となりました。
このガイドヘルパー養成研修は、重度視覚障害者に対してだけでなく、全身性障害
者つまり脳性マヒなどの車いす利用者を対象としても行われたことを、最後に付け加
えさせていただきます。
★ガイドヘルパー養成研修実習に参加して
私に付いてくれたガイド受講生の方は2人とも男性でした。そして、付き添い人と
して、なぜか太田さんが同行することになりました。私は初めての人と話をするのは
苦手なこともあり、最初は緊張していましたが、受講生の2人は気さくに話しかけて
くれたので、少し余裕が出て自然に話をすることができました。
花の美術館では、花の匂いが漂うなか、花のそばに寄って匂いをかいでみたり、花
をさわってみたりしながら館内を受講生と一緒に歩きました。次の場所に行くまでに
まだ時間があったので、近くにある池を見に、受講生2人と太田さんの4人で行きま
した。池は大きな池で、カモがたくさんいました。
後で聞いたのですが、池にいたのはオナガガモのオスとメスだったそうです。冬に
なるとごく普通に見られ、都会の公園の池などではよく人に慣れているのだそうで
す。大きな群れをつくり、逆立ちしながらエサを探します。1羽だけですが、実際に
逆立ちしながらエサを探していたカモがいたそうです。残念ながら私にはどのカモ
だったのかわかりませんでした。
昼食はJR稲毛海岸駅近くにあるジャスコの4階のとんかつ専門店で食事をしまし
た。店の名前は忘れましたが、御飯とみそ汁はおかわり自由と聞いて、御飯が美味し
かったのでおかわりしました。JR稲毛海岸駅周辺での食事は、ジャスコの4階のと
んかつ専門店がお薦めですよ。
目が見えにくくなって10年になりますが、8年間は病院に行く日以外は外に出る
ことがまったくなかったので、野外実習は少し疲れました。また足腰が弱くなってい
るのか、路線バスの手すりがわからなくて、乗り降りするのがたいへんでしたが、ガ
イド受講生と一緒に歩きながらの雑談は楽しかったです。ガイドヘルパー養成研修実
習の当事者スタッフとして、外に出る機会を作ってくれた佐々木さんには心から感謝
し、お礼を申し上げます。ありがとうございました。
☆風の音 花の香 陽の光(かぜのおと はなのか ひのひかり)F
千葉在住の会員KHさんの俳句集『谺』(こだま:H14.3月上梓)の中から、
毎回季節に合わせて3句位づつご紹介しています。
今号もKHさんの十七文字の世界を皆様とご一緒に旅して行くのは、SI(千葉市
在住、夫MIがRP)です。どうぞよろしく!
*春浅し子のお下がりの古コート(はるあさし このおさがりの ふるこーと)
注;子(コ;子供)
*屋敷神梅一幹の花明かり(やしきがみ うめいっかんの はなあかり)
注;屋敷神(ヤシキガミ;屋敷内に祭る神) 一幹(イッカン;一本の幹)
*元気とは本音で云えぬ浅き春(げんきとは ほんねでいえぬ あさきはる)
第1句:春まだ浅き日々。コートなしの外出は剣呑(ケンノン)、さりとて厚ぼったい
厳寒用のコートにも手を通し難い。そんな時、『もう着ないから』と箪笥に眠っていた息
子のコートを羽織ってみる。これがなかなか・・・。気分も若く春めいて。
第2句:闇の中でも花のせいでそのあたりがほのかに明るい「花明かり」。‘屋敷神’と
‘花明かり’の取り合わせに何とも風情があり、馥郁(フクイク)たる梅の香りが、夜の底
から立ち上ってくるような一句。
第3句:またひとつ年を重ねた浅き春。元気かと問われて、即座に元気ですと返せる人が
どれ位いるでしょうか。“本音で云えぬ”という語句に作者の心情が滲んでいます。
いつの頃からか、筆者も「お元気ですか」と言う挨拶言葉が苦手になりました。そこで、
せめてこちらからの発信はこの言葉を避けて「お変わりありませんか」、「お変わりない
ようですね」等と言うように心がけています。『変わらない;現状維持ということ』、
これが存外難しい(ゾンガイムズカシイ)ことなのですよね。まずは今日の変わらぬ目覚め
を感謝して・・・。
それでは皆さま次回までごきげんよう。この欄へのお便り、KHさん共々お待ちしています。(SI)