2月13日に千葉市民会館で開催した第1回ロービジョンケア千葉講演会の挨拶と パネルディスカッションを本号でお伝えします。磯辺真理子先生の「小児のロービ ジョンケア」と高相道彦先生の「ロービジョンケアの実際」は特集号で掲載します。
★挨拶
●進行係
第1回ロービジョンケア千葉講演会をはじめます。まず、会長の高相道彦、千葉県
千葉リハビリテーションセンター眼科部長よりご挨拶申し上げます。
●高相先生
みなさま、お忙しい中また、寒い中こんなに大勢お出でいただきまして、ありがと
うございます。私が一応会長ということですが、事務局長から庶務係まですべてこな
しております。挨拶にあたりましてこの会の主旨についてご説明申し上げたいと思い
ます。ロービジョンという中身についてはあとの講演でお話し申し上げますが、ロー
ビジョンケアをやっていく上ではやはりいろんな職種の方が必要となります。本来で
あればそういう職種の方が集まって総合的に行なう施設があれば良いですが、本来で
あれば私が勤務している千葉リハビリテーションセンターでそれができれば理想的
だったのですが、残念ながら私の力量不足とバブルがはじけたお陰でそこには至って
おりません。故に現状としましては、いろんな施設がばらばらで対応しているといっ
た状態です。そこでばらばらで対応している中でも、なんか連携を取っていこうじゃ
ないか、といった目的がまず一つです。
二つ目としましては、ここにいらっしゃる一般の方でもまだまだロービジョンケア
の中身をご存知ない方がいっぱいいらっしゃると思います。それによりロービジョン
の方が一体どこに行って良いのかわからない、迷われているという話も良く聞きます
ので、一般の方にもう少しロービジョンケアについてアナウンスしていこうじゃない
か、これら二つが目的です。ですから今日は医療関係者から一般の方々までいっぱい
いらっしゃるかと思います。講演の内容に関しましては、その点も考慮しているつも
りですけれども、如何せん予備知識に差がありますので、中には簡単すぎるとか、ま
た難しすぎると、文句が出るかと思いますが、この状況をご理解の上ご容赦いただき
たいと思います。
また、今回お出でいただいた一般の方々には後日、ここへ行けばこういったサービ
スが受けられるといったパンフレット、眼科医の方には、眼科医会を通じて、同じよ
うなパンフレットを郵送するつもりです。では、ちょっと長い時間になりますけれど
もよろしくお願いします。
●進行係 続きまして、日本網膜色素変性症協会、JRPS学術理事長、翠明会山王病院感覚 器病センター長、安達惠美子よりご挨拶申し上げます。
●安達先生
みなさま、こんにちは。もと千葉大学におりました安達でございます。今日はほと
んどの方がロービジョンと申しましても網膜色素変性症協会の方かもしれません。
ロービジョンというのは、生まれつき弱視であったり見えなかったり、それから中途
で失明した状態などを言います。網膜色素変性症だけではなくて、糖尿病とか緑内障
とかいろんな病気があり、非常に幅広いものになりますから、なかなかその結束とい
いますか、まとまった会を持つことが難しいところでした。日本網膜色素変性症協会
は、ライオンズの方がたのご支援によりまして国際大会まで開くことができました。
確かにロービジョンの対象ではありますけれども、他の病気に比べますと患者さんの
数も非常に少ないので、ロービジョンに対策を行なうということに、私自身正直に申
し上げますと、あまり賛成はしておりませんでした。と申しますのは、いま難病で研
究を発展させてこれから予防とか治療の解明に向けたい網膜色素変性症に限っていた
のです。しかし、現実の問題として、ロービジョン対策というのは患者さんにいちば
ん必要なことという患者さんからの希望で日本網膜色素変性症協会が患者さんのご意
志で寄付金をそちらの方に活かしたいというお話がございました。今回は第1回目
で、千葉の小出さんと太田さんが申請書類を出されまして、わずかですが支援をいた
だきまして、この会を開催することになりました。
中央ではもう30年も前から開発が行なわれているのですけれども、医者も地方に
行きますとロービジョンに対する感覚が進んでおりませんでした。千葉が田舎とは言
いませんけれども、これを機会に眼科医もそしてその他の方たちも一緒になって対策
を考えていこうという良い機会ではないかと思います。私たち眼科医もできるだけ多
くが参加していただきたいと協力をさせていただいた次第です。
今日はそういうわけで、網膜色素変性症の立場から、あるいは緑内障の立場から、
それから網膜・硝子体の立場から、ロービジョンになられた方々への対応というもの
を、一般社会のロービジョンケアをリードされている先生方とご一緒に討論して、私
たちも勉強させていただきたいと思います。それではよろしくお願いいたします。